3月16日は歴史的一日に。三菱重工相模原ダイナボアーズ、京都開催にかけた思い。

2025年3月16日は、三菱重工相模原ダイナボアーズにとって忘れられない1日となった。
理由のひとつは、京都府で初となるリーグワンの公式戦を開催したこと。もうひとつは、その試合で東京サントリーサンゴリアスからクラブ史上初の勝利を挙げたことだ。
昨シーズンは三菱発祥の地である長崎県でも初のリーグワン公式戦をおこなったダイナボアーズ。地元相模原以外でのホストゲーム開催に積極的なのは、競合する他競技のチームが多く全日程で本拠地相模原ギオンスタジアムを確保するのが難しい『スタジアム問題』の解決策であることに加え、特定の地域に開催が偏っているリーグワンを全国各地に広めていきたい――という思いがあるからだ。
石井晃GMが明かす。
「ホストタウンを大切にすることは大前提ですが、そこにとどまっているだけではラグビーが広がっていきません。リーグワンチームがないけれどラグビーが盛んな地域は、日本全国にたくさんあります。そしてそこにはラグビーを応援している方々が数多くいらっしゃいます。そういう人たちを取り込んでいく努力は必要だし、こうした部分にリーグとして目を向けていくべきだと思っています」
かつて三菱自工京都が全国社会人大会を2度制するなど、三菱のラグビーと京都は深い縁がある。もとより京都は、伏見工(現京都工学院)や京都成章、同志社大に京産大など、高校大学とも全国区の強豪が存在する日本有数のラグビーどころだ。
そうした地盤に加え、自治体や地元ラグビー協会の強い意欲と情熱が、今回のリーグワン開催を後押しした。
三菱自工京都の全国優勝メンバーであり、現在は京都府ラグビー協会の会長を務める橋本光夫さんはいう。
「大学の公式戦はずっとおこなっていますし、トップリーグ時代は京都でも試合を開催していたのですが、今回初めてリーグワンの公式戦が開催されて、その盛り上がりにびっくりしたというのが第一印象です。まず試合のレベルがすごく上がったし、プレーの合間に音楽が流れたりして、これが最高峰のラグビーか、と感銘を受けました。観戦にきてくださったみなさまにもきっとそういう気持ちを持っていただけたと思いますし、ラグビーの普及につながっていくと感じました」
当日はあいにくの雨となったが、会場のたけびしスタジアム京都には6,035人のファンが来場。ダイナボアーズのチームカラーの緑とサンゴリアスの黄色でカラフルに彩られた観客席は、この日を楽しみにしていた人がいかに多かったかを表していた。ちなみに試合後は、「ぜひ来年以降も継続して京都で開催を」という話がさっそくあがったという。
「リーグワンの試合を開催するにあたっては、自治体の理解、協会の方々の協力、何よりラグビーへの熱がなければ成立しません。去年の長崎もそうでしたが、そこがあったからこそ京都でも同じように開催できたのだと思います。ここは、ホストゲームを開催する意義に関わる部分で、どこでもやれるというものではない。リーグワンの地方開催のヒントも、そこにあると感じます」(石井GM)
試合は気迫みなぎるプレーでコンタクト局面を支配したダイナボアーズが、5トライを奪って34-22で快勝。対サンゴリアス戦初勝利という快挙で歴史的一日に花を添えた。“縁起のいい土地”というイメージは、ダイナボアーズと京都の絆をさらに強くする追い風になるだろう。
「京都と同じようにリーグワンを開催したい気持ちを持っている地域はいっぱいあると思いますし、この輪を全国的に広げていかなければいけない。この試合が、その第一歩になればいいと思っています」と橋本会長。ラグビーとリーグワンの可能性を、あらためて実感する一日となった。