【リーグワン】まさに死闘。双方7トライずつの攻め合いを制し、ブレイブルーパスがブラックラムズに勝利。
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挙げたトライは双方7本ずつ。そのいずれもがスペシャルで印象的なものだった。お互い存分に強みを発揮して攻め合った80分。この日秩父宮の観客席を埋めた8,380人のファンは、ラグビーの魅力とスリリングさを堪能したはずだ。
試合は開始早々のノーホイッスルトライで幕を開けた。東芝ブレイブルーパス東京が中盤のキックレシーブからテンポよく右ショートサイドを攻略し、WTBジョネ・ナイカブラが右コーナーに飛び込む。
5分にリコーブラックラムズ東京がSO中楠一期のPGで3点を返すも、ブレイブルーパスは13分にふたたび中盤の連続攻撃でショートサイドを攻めてFB松永拓朗がトライ。さらに19分にはゴール前のペナルティからタップキックで仕掛け、CTBロブ・トンプソンが左中間を陥れた(19-3)。
ここまでは完全なブレイブルーパスペース。このまま一気に引き離すかと思われた場面だったが、ゲームはここから目まぐるしく主導権が入れ替わる予想外の展開となる。
21分、ブラックラムズは相手陣22メートル線内でのスクラムを起点にSHのTJ・ペレナラがハーフブレイクを作り、WTBメイン平が反撃の狼煙を上げるトライ。ブレイブルーパスも27分に自陣ゴール前から攻撃を継続して松永が2本目のトライを挙げたが、ブラックラムズは35分、右コーナーのラインアウトで狭いスペースにサインプレーを仕掛け、LOジョシュ・グッドヒューが押さえる。
これで波に乗ったブラックラムズは42分にもペレナラがピンポイントのキックパスを通し、FL松橋周平がグラウンディング。18-26とスコアを縮めて前半を折り返した。
サイドが入れ替わった後半も、ブラックラムズの勢いは続く。7分、ゴール前でスクラムを押し込み、ペレナラがサイドを突破して1点差に詰め寄ると、13分過ぎには相手陣22メートル線内のスクラムからペレナラの防御裏へのパントをCTB池田悠希が胸に収めトライゾーンへ。30-26とついにブラックラムズが前に出た。
ただ、前年度王者のブレイブルーパスはここからがたくましかった。直後の16分、中盤での連続攻撃をCTBロブ・トンプソンが仕上げてすかさず逆転すると、21分には左右に大きく振ってWTBナイカブラがフィニッシュ。ふたたび38-30とワンチャンスでは追いつかれない点差に引き離す。
しかし試合はこれで決まらなかった。31分、ブラックラムズは相手のイエローカードによる数的優位に乗じて攻め立て、PR津村大志がトライ。ブレイブルーパスも34分にCTB眞野泰地のトライで8点差に戻したが、ブラックラムズは37分に自陣22メートル線内からWTBメインが大きく切り返し、最後はWTBセミシ・トゥポウが中央へ走り抜ける。ゴールも決まり、44-45の1点差に。
場内を異様な空気が包む中、ブラックラムズはラストプレーで自陣スクラムから攻撃を継続し、相手陣10メートル線付近まで前進したが、最後はペレナラのパスがわずかにブレて痛恨のノックフォワード。直後にフルタイムの笛が鳴り響き、激闘に終止符が打たれた。