目標は息子と試合をすること。ブレイブルーパスのアニセ サムエラ、38歳で充実。
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進歩する38歳だ。東芝ブレイブルーパス東京でチーム最年長となるアニセ サムエラは、いまなおラグビー選手としての能力を高めている。
働き場のLOで見せ場となるラインアウトにおいて、ジャンプのばねときれが増したと感じる。
「S&Cコーチ、FWコーチがよいものを提供してくれているおかげで、調子はいいです。膝や足首の関節周りといった、若い頃は気にもしないような小さな筋肉のエクササイズで刺激できています」
身長198センチ、体重118キロのLOは、2008年にフィジーから来日。日野自動車(現日野レッドドルフィンズ)に8季、キヤノン(21年より横浜キヤノンイーグルス)に6季、静岡ブルーレヴズに1季、在籍し、その間には日本代表として12キャップを獲得した。日本からスーパーラグビーへ派遣されたサンウルブズとも契約したことがある。
ブレイブルーパスに来たのは前年度。通算4つめとなる日本のクラブにあっては、加盟するジャパンラグビーリーグワンを制しながら身体を見つめ直せた。
何より、各種プレーの手順などの「詳細」へこだわる。
「いままで所属した日本のどのチームも勤勉でした。どのコーチも(動きの)詳細が大事だと思うし、口にもします。ただ、その中でもブレイブルーパスはより一貫してディテールを追求します。FW戦でも、チームのプレーでも、細かいところをどれだけ高いレベルで遂行するかに常にフォーカス。自分も含めて少しでも違う点のある選手がいたら、周りがすぐに指摘してくれます。それが、毎週、毎週の成長につながっています」
家族にも支えられる。練習に出かける際は、妻に米、ツナ、野菜、果物の入った栄養バランスのよい弁当を持たせてもらっている。同僚に人気の近所の定食屋に行きづらくなった代わりに、体重をコントロールしやすくなった。
最近は、もっとも重たかった頃よりは3キロ減。効果を実感する。
それにしても、かねて自分が想像していたよりも長くこの国でプレーしている。
2人の子どもには、都内の公立小、中学校で義務教育を授けた。そのおかげか、正直な子どもに育ったのではないかと目を細める。
生後7か月で来日した長男のマウシオは、昨春より福島の聖光学院高ラグビー部へ預けた。イーグルス時代の同僚だった宇佐美和彦氏がコーチを務めるチームだ。年末年始には全国大会に出た。
高校進学前のマウシオは、多摩ラグビースクール、多摩R&Bジュニアラグビークラブで楕円球を追っていた。家を離れる直前には、ブレイブルーパスのアカデミーに加わった。毎週水曜の夕方、本家と同じグラウンドで活動する。
ここでは練習を終えたばかりの父が、臨時指導を施すこともあったようだ。
「子どもたちには、私からラグビーをやりなさいと言ったことはありません。自主的にプレーを始め、学業でもスポーツでも自ら道を切り開いてくれています。誇らしいです」
10歳のサイラサを含めた2人についてこう述べながら、「私も長く現役を続け、(息子と)と対戦できたらいいな」。40歳を過ぎても、成長と挑戦はやめられない。