【シックスネーションズ・フランス代表情報】SOンタマックが久しぶりの復帰。盟友SHデュポンとのコンビで先発。
「I’ll be back(帰ってくるぜ)」という映画『ターミネーター』のアーノルド・シュワルツネッガーの決め台詞を自身のSNSに投稿したのは、2023年8月。自国開催のワールドカップ(以下、W杯)準備試合のスコットランド戦で左膝前十字靭帯を断裂した直後のことだった。それから538日、ロマン・ンタマック(25歳、37キャップ)が、再びブルーのジャージーの背番号10を着けてSHアントワンヌ・デュポン(28歳、55キャップ)とハーフバックを組む。
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所属するトゥールーズでは昨季終盤に復帰し、チャンピオンズカップとトップ14の決勝トーナメントで勇姿を見せていたが、11月のオータムネーションズ・シリーズ(以下、ANS)の直前に、今度は右のふくらはぎを傷めて代表復帰が予定より遅れてしまった。
「目標にしていた11月の代表合宿の2週間前に怪我をしたのはとてもショックだった」と『レキップ』紙のインタビューで打ち明けている。このシリーズでは、オリンピック参加のために昨年のシックスネーションズに出場していなかったデュポンが15人制代表に復帰し、ニュージーランドにも勝利を挙げた(30-29)。「みんなの試合をまたテレビで見るのは辛かった」と漏らしている。
「旧来のハーフバックが新たにコンビを組む。彼らはクラブでもコンビを組んでいて、若いが一緒にプレーしてきた経験がある」とファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下、HC)がコメントする。代表でも先発でコンビを組むのは27回目で、フランス代表チーム最多記録を更新している。
「私の現役時代は、負けるたびにハーフバックが責任を負わされて選手が代わった。チームというトラックの鍵を渡されていたが、それはレンタカーだった。今、私たちはより強固なものを築こうとしている。信頼という言葉の裏には現実がある。アントワンヌとロマンは、余裕を持って、より自由にプレーできているだろう」と自身もSHだったガルチエHCの選手時代の経験を交えて、2人への信頼を強調した。
第1列は左PRジャン=バティスト・グロ(25歳、32キャップ)、HOペアト・モヴァカ(28歳、37キャップ)、右PRウイニ・アトニオ(34歳、63キャップ)が先発し、左PRシリル・バイユ(31歳、52キャップ)、HOジュリアン・マルシャン(29歳、40キャップ)、右PRジョルジュ=アンリ・コロンブ(26歳、7キャップ)がベンチに控える。ガルチエ体制になってから、ずっとバイユの控えだったグロが、バイユ不在となった昨夏の南米遠征と11月のANSでのパフォーマンスでスタッフからの評価を上げたことと、バイユが負傷から戦列復帰してまだ日が浅いことが、グロ先発起用の理由と考えられる。
現在アイルランドのレンスターでプレーしている右PRラバ・スリマニの5年ぶりの代表戦復帰が期待されていたが、最終的にコロンブを起用したのは、コロンブに経験を積ませたかったのではと言われている。スクラムに不安があるコロンブと組ませるために、スクラムにより定評があるマルシャンをベンチに配置したのかもしれない。
右LOにはエマニュエル・メアフー(26歳、5キャップ)が、左LOはチボー・フラマンの負傷で、普段はNO8でプレーすることの多いアレクサンドル・ルマット(27歳、7キャップ)が選ばれた。
「NO8でプレーしているが、彼は4番として私たちが求めているプロフィールを備えている。ラインアウトで圧倒的な戦力となり、運動量も多い。ゲームコントロールもできる」とガルチエHCが選考理由を説明した。ルマットは1月25日のトップ14のモンペリエ戦で終盤25分を4番のポジションでプレーし、「感触は良かった」と述べている。
第3列でFLフランソワ・クロス(30歳、34キャップ)、NO8グレゴリー・アルドリット(27歳、51キャップ)と共にスターターを務めるのは、1月4日のトップ14の試合で右膝前十字靭帯を断裂したFLシャルル・オリヴォンに代わり着実にキャップ数を積み重ねているポール・ブドゥアン(25歳、14キャップ)だ。
控えには、LO、FL、NO8をカバーできるミカエル・ギヤール(24歳、5キャップ)が夏、秋のテストマッチに続いて選ばれたが、12月1日のトップ14のポー戦で負傷してから試合に出場していないのが気になる。
CTBはガエル・フィクー(30歳、93キャップ)が12月に親指を骨折し、少なくとも第2節のイングランド戦までは欠場する見込みだ。レ・ブルーのスタッフはヨラム・モエファナ(24歳、31キャップ)とピエール=ルイ・バラシ(26歳、3キャップ)を起用した。
バラシはンタマックと共に2018年U20世界チャンピオンになり、2019年W杯で負傷離脱したウェスレー・フォファナに代わってチームに合流し初キャップを獲得。その後を期待されていたが、度重なる負傷でチャンスを逃していた。今季、トゥールーズで連戦し、高いパフォーマンスを見せている。
ANSを肺感染症で欠場したWTBダミアン・プノーだが、今回は足親指の骨折でイングランド戦まで欠場が見込まれている。その不在を11月の日本戦で負傷したテオ・アティソグベ(20歳、3キャップ)が埋める。超速WTBルイ・ビエル=ビアレ(21歳、14キャップ)も1月19日のチャンピオンズカップのシャークス戦直前にめまいを訴え、急遽欠場となり心配されていたが、検査の結果問題なしと診断され、この試合で背番号11をつける。若くてスピードがあり、知性派の2人がどこまで相手チームをかき乱せるか楽しみだ。
ANSで10番を背負ったトマ・ラモス(29歳、39キャップ)はFBに戻る。SHノラン・ルガレック(22歳、7キャップ)とCTBとWTBをカバーできるエミリアン・ガイユトン(21歳、6キャップ)がベンチに控える。
昨夏、アルゼンチンで性的暴行で訴えられ、その後不起訴処分となったLOユーゴ・オラドゥとFLオスカー・ジェグー(両名21歳、1キャップ)もリザーブに入った。
チャンピオンズカップでもトゥールーズ、ボルドーが圧倒的な強さを示しており、「これだけの才能ある選手が揃った世代で、シックスネーションズ優勝が1度だけというのは少なすぎる」という声が現地では上がっている。
「プレッシャーもわかっている。色々言われているのも耳に入っている。私は、このフランス代表チームは2020年から良いパフォーマンスができていると思っている。6年間55試合で勝率80%というのは並外れており、これまでなかった。一度しか優勝していないと言われているのもわかっているが、全勝優勝1度、2位が4度、とても良い結果だ。もちろん、さらに良い結果を目指している」とレ・ブルーの将は訴える。
フランス代表チーム ウェールズ戦メンバー
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— France Rugby (@FranceRugby) January 29, 2025