国内 2025.01.24

上位常連だったサンゴリアス、今季は5節で初勝利。リーグワンの現実は?

[ 向 風見也 ]
上位常連だったサンゴリアス、今季は5節で初勝利。リーグワンの現実は?
節目の100キャップでの勝利を喜ぶ垣永真之介とゲームキャプテン流大©︎JRLO

 ついに勝った。

 東京サントリーサンゴリアスが今季のリーグワンで初白星を掴んだのは1月19日。休息週前にあたる第5節だ。

 昇格2季目の三重ホンダヒートを、敵地の三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 で下した。スコアは27-19とした。

 プレイヤー・オブ・ザ・マッチにはNO8のショーン・マクマーンが輝いた。好突進を繰り返し、8-7と1点リードで迎えた前半25分には約40メートルもの突破でトライを決めていた。

 殊勲者には他に、LOのハリー・ホッキングスが挙がる。

 ラン、高低のタックル、空中戦で献身したほか、前半19、40分頃には効果的なモールディフェンスで自軍ボールをもぎ取っていた。本人はこうだ。

「味方のFWとともに、練習通りにやった結果です」

 旧トップリーグ時代に5度優勝し、現行のリーグワン発足以来も3シーズン連続で4強以上と実績を残してきた。しかし最近は、苦しんでいた。

 その理由のひとつは、競争力の高まりだ。

 各クラブが実績十分な選手やコーチを集める現状を踏まえ、サンゴリアスで主将経験のあるSHの流大は言う。

「全チームが強い。それに尽きます。フィジカルのレベルも高くなっているし、いいコーチングスタッフも増えている。…表現するのは難しいですが、どの試合を見てもクロスゲームが多いですし、どのチームが優勝するのかまったく予想もできないリーグになっています。日本のラグビーにとっては、いいことです」

 この日も、今年度開幕2連勝だったヒートとタフなゲームを繰り広げた。

 18-7と11点リードでハーフタイムを経てからは、ミットフィールドにおける防御でよくペナライズされるようになった。

 後半の反則数は、攻撃中のものを含め相手の「3」に対し「7」と増やした。イエローカードも2枚、もらってしまった。ゲーム主将だった流は反省する。

「事前に、今回のマーカス・プレイル レフリーはディフェンスのブレイクダウン(接点)で厳しい笛を吹くと分析していました。ですので、中(グラウンド)ではその部分をクリアにして、あまり『グレーゾーン』を攻めないようにと声かけをしていました。ただ、いざファイトしてしまうとエキサイティングになり、プレーをしすぎてしまい…となっていた。そこではもっとリーダーシップを取れたかな…と思います」

 さかのぼって過去2戦では、試合をコントロールしながら決定機を逃していずれもドローに終わっていた。前年度までの強豪クラブにとって、自軍に不備があった際に足元をすくわれるリスクが高まっていると言えよう。

 厳しくなったコンペティションを生き抜くには、原点に立ち返ることが必要だと流は言う。ゲーム主将として応じたヒート戦後の会見で、自身が感じてきたサンゴリアスのよさを再確認していた。

「傍から見ればサンゴリアスは、チェスリン・コルビ、松島幸太朗(それぞれ南アフリカ代表、日本代表のキャップ保持者)といったスター選手が多い。ただ、根本では泥臭いラグビーをアイデンティティにしています。しっかりボールを繋ぐ。皆で走る。そこにこだわりを持ってできるかどうかです」

 2月1日、アウェーのヤマハスタジアムで静岡ブルーレヴズと第6節をおこなう。ここまで4勝のブルーレヴズは、伝統のスクラムと複数のアイランダーからなるスリリングなアタックを長所とする。サンゴリアスは粘り、出足の鋭さといった「アイデンティティ」の発露が請われる。

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