巨大な観音様にびっくり。日本代表ファウルア・マキシが大きな相手に挑む。
朝、窓の外に大仏が見えたと思ったら違った。周りに聞けば、それは観音様のようだった。
ファウルア・マキシがラグビー日本代表の仲間と宮城に来たのは7月11日の日没後。ユアテックスタジアム仙台でのジョージア代表戦を2日後に控えていた。
市内の大観密寺にある名物の仙台大観音に気づいたのは、その翌日のことだ。白く飄々とそびえる地上100メートルのシンボルにただ驚いた。
「こんなに大きいの、初めて見たので…。昨日は夜やったので見ていなかったんですけど、今朝、見て、びっくりしました」
語ったのはその日の夕方。試合会場で記者会見に臨んだ。はじめて仙台を訪れた所感を問われ、隣に座る長田智希とマイクを譲り合いながらこの話をした。
トンガ出身だ。関西風の言い回しなのは、大阪府出身の選手が多い北陸の日本航空石川、奈良で活動する天理大でプレーしてきたからである。
現在クボタスピアーズ船橋・東京ベイ所属の27歳は、身長187センチ、体重112キロで運動量、防御力に定評がある。
遠征先の部屋で荷物を散らかさない几帳面さ、気配りでも知られる。
’22年秋に日本代表の海外ツアーから自宅へ帰ってきた夜は、自身が疲れて動きたくなかったとはいえ、妻に夕食を作ってもらうのも悪いからとデリバリーでたこ焼きを頼んだという。
「日本食が食べたかったので。でも、ウーバーイーツを見たらたこ焼きしかやってなくて」
今度の「観音様」にまつわる談話を残す直前までは、ゲーム前最後のトレーニングをしていた。
対するジョージア代表は、世界ランクでは14位と日本代表より2つ下回るものの、フィジカリティに長ける。スクラムとモールで力強さを活かす。
FLで先発のマキシは、相手の強みに真っ向から対峙しなければならない選手のひとりだ。
「チームに貢献できるような、勝ちに繋がるプレーをしたいです。自分たちにフォーカス。(練習で)やってきたことは、通用する。フィジカルで負けないように、セットプレーなどで圧倒できるようにしたいです。相手はモールでガンガン来る。日本は、待ったら負け。自分から仕掛けてモールを潰す。そうしたら、自分たちのやりたいラグビーに繋がってくると思います」
4年に1度あるワールドカップの次回大会は、2027年にオーストラリアで開かれる。昨秋のフランスでの前回大会時、マキシは登録メンバーへの最終選考に絡むも落選していた。
心機一転。約9年ぶりに復帰したエディー・ジョーンズヘッドコーチのもと献身する。
「毎日の練習にいい姿勢で取り組んで、自分たちがやりたいラグビーを目指してやっている。去年は悔しい思いやったんですけど、いまは、先を見ずに、目の前のことにフォーカス。(その都度)試合に出られるように練習でハードワークをしています」
過去形の動詞を「だった」ではなく「やった」とするあたりにも年輪をにじませる。まずは13日、東欧の巨漢を跳ね返すことに集中する。