U20のアタックは12番で牽引。本橋尭也[帝京大2年/U20日本代表]
助走期間を長く取った。
2024年度の20歳以下(U20)日本代表は、2月にFW限定のキャンプを開始。前ポジションの候補選手の絞り込みは3月から行われ、リーグワン勢とのトレーニングマッチ、海外の大会への参加で揉まれてきた。
本番を見据えてのことだ。
「最初はバラバラなところもありましたけど、(選手同士の)仲も深まってきた。大きな相手に対して1対1にならず、チームとして勝つのを目指している。大分、いい形になってきました」
こう語るのは本橋尭也。帝京大の2年生で、U20日本代表の一員でもある。
6月28日、スコットランドへ旅立った。ワールドラグビー主催のU20トロフィーに出るためだ。こちらが本番だ。
この大会のプールステージで、本橋らは7月2日に香港、7日にサモア、12日にはスコットランドのU20代表と激突。グループ首位に立ってその先の順位決定戦を制すれば、来季は上位大会のU20チャンピオンシップに昇格する。
いまのU20日本代表は、大久保直弥ヘッドコーチのもと「超速よりも速いコスモアタック」を唱える。
日本代表のエディー・ジョーンズ新ヘッドコーチが掲げる「超速ラグビー」というコンセプトに、よりエッジを利かせたイメージか。守備の時間を減らす狙いもあり、自陣の深い位置からでも複層的な形で攻める。走る。繋ぐ。
代表資格の取得条件の都合上、日本が年代別の代表チームで海外出身者を揃えるのはきわめて難しい。骨格や筋量に長けた海外勢を加えず世界に挑むのだから、極端な戦い方に舵を切るのも自然か。本橋はこう見立てる。
「走る面では僕たちが(優勢)。相手がヘトヘトになるまでアタックし続ける。最後の最後までトライを獲れたら」
任されているインサイドCTBのポジションは、いつ、どう攻めるか、いつ、どう蹴るかといった組織の意思決定を支える位置でもある。所属先の帝京大では司令塔のSOを務めるが、それもU20での動きに役立てているようだ。
「10番(SO)をやっていることで、10番が12番(インサイドCTB)など他の選手に何をして欲しいのかがわかった。(SOだった)自分のやって欲しいと思ったことを(インサイドCTBで)やっていければ。基本はアタックマインド。ただ、苦しい状態になった時に無理に攻めると『穴』ができてしまう。その時はキックをして、形を作り直す。蹴って、ディフェンスから…」
身長182センチ、体重86キロ。2学年上の兄でLOの拓馬とは、西神戸ラグビースクール、京都成章高、帝京大と同じクラブで活動してきた。
優しい顔立ちの兄は「父に似て」いて、眼光鋭い自身は「母に似ているのかな」。小さい頃は喧嘩が絶えなかったというが、いまは仲が良い。
「(グラウンド上では)ポジションも違うので、要求したいことをお互いに言える関係。言いやすい人が(チームに)いるので、とてもやりやすいです」
昨季まで大学選手権3連覇中の帝京大については、かねて兄から「アジリティ(走り込みの練習)がしんどい」など様々な情報を耳にしていたが、いざ’23年に入部すれば「楽しい。先輩とも差がなく、いい関係が築けている」。学生シーンの頂点を見据えながら心身を鍛えられるのがよい。
今後の目標を聞かれた。正代表入り、リーグワン参戦といった立場についてではなく、己のあり方について言及した。
「怪我をしないで試合に出続けられるのが大事です。ずっと試合に出続けることで成長できる面が増えるので。ずっとハイパフォーマンスを出し続けられるように、身体づくりから頑張っていきたいです」
スコットランドの地でも、怪我なくフィールドに立ってタクトを振るう。