その他 2024.06.30

足形を知ってラグビー上達!アシックスの取り組み

[ 向 風見也 ]
足形を知ってラグビー上達!アシックスの取り組み
正しいサイズのシューズを選ぶことがパフォーマンスアップにつながる(Photo by Ken Shimizu)

 文字通り、日本ラグビー界の足場を固めてきたと言えよう。

 アシックスジャパン株式会社はリーチ マイケル、田村優、齋藤直人といったワールドカップ日本代表の経験者たちをサポート。シューズをはじめとしたギアで競技活動を支えてきた。 

 大学選手権で最多の優勝回数を誇る早大とも、山下大悟監督時代の2016年に手を組んだ。それを皮切りに、いまでは大学の体育会全体とも協定も結んでいる。

 日本人の足にフィットするスパイクに定評のある同社は、アスリートのシューズ選びを滑らかに運ぶ仕組みも作っている。

 モバイル3Dフットスキャン。ユーザーが専用のシートと手持ちのスマートフォンを使い、足の全長のほか横幅、かかとの幅など細部まで調べられるシステムだ。計測したデータはユーザーがスポーツ用品店などで靴を選ぶ際の参考にできる。

「モバイル3Dフットスキャン」で使用する専用シート(Photo by Ken Shimizu)

 同社スポーツマーケティング部の橋本丈氏が説明する。

「単純に足の長さと幅を測るだけならメジャーを使っておこなえますが、それにもブレがある。もともと3Dでデータを採るには大きな機械が必要でしたが、いまは携帯端末などで手軽に計測できます。利便性はよくなったことで、海外の電源のない場所にいるマラソン選手も利用できます」

 利用者が正確に足の形や大きさを理解し、それに見合った自社製品を選んで競技に取り組んでもらうことが狙いだ。競技者のパフォーマンスアップと同時に、自社のシェア向上も目指せる。

 橋本氏はさらに続ける。

「他の競技の選手に『いま履いているシューズのメーカーはいつから利用しているか』をヒアリングしたことがありましたが『小・中学生から』と答える選手が多いのです。育成世代からプロモーションしていくのが大事だと考えます」

 スポーツ用品に然り、電子機器に然り、子どものうちに気に入ったブランドやメーカーから他社に鞍替えする人はそう多くないのだろう。

モバイル3Dフットスキャンを活かして正しいサイズの一足を選んでもらう習慣を、若年層にも伝えたいと橋本氏は考える。

 そのため3月下旬、佐賀に出向いた。小中学生を対象としたトップ選手育成機関「アルゴススポーツアカデミー」の第1回合宿に携わるためだ。予定を上回る50名超の参加者の足型をとり、各自にとってぴったりな一足を履いて練習してもらうようにした。

適正サイズのシューズを履くことは怪我の予防にもつながる(Photo by Ken Shimizu)

「選手の方には、正しいサイズのシューズを履くことでパフォーマンスを上げたり、怪我を防いだりできるということを知っていただきたいです。年齢が下になればなるほど、適正より大きめのシューズを履いているためあまりパフォーマンスにいい影響を与えていないというケースはあります。『(靴の)先っぽが余っていて、もったいないな』と。そんな中、保護者を含め高い意識を持ったアルゴスの選手たちに我々がアプローチできるのはよいことだと考えます」

 かねてプロジェクトのスタッフと橋本氏に業務上の関係があったことから、この取り組みが実現したという。アルゴスは夏にもキャンプを開く見込みだ。学生時代はバスケットボールに親しんだ橋本氏は、「これから参加する選手が入れ替わる中、今回やらせていただいた活動を継続的にしていくのが大事」と展望する。

 現代のスター選手に認められた技術を、未来のスター選手にも体感して欲しい。アルゴスのキャンプは第2回も実施予定で、8月19~22日、福岡・グローバルアリーナを拠点とする。

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