日本代表 2024.06.01

U20日本代表候補NZ遠征2連敗も、アタックで力を見せる。

[ 松尾智規 ]
U20日本代表候補NZ遠征2連敗も、アタックで力を見せる。
2戦目を終え、両チームで記念撮影。(撮影/松尾智規)


 5月19日から6月1日の期間でニュージーランド遠征していたU20(20歳以下)日本代表候補(以下、U20 Japan)は、クライストチャーチでNZ Universities (以下、NZU)と2度対戦しラグビー王国の洗礼を受けた。

※NZ Universities は、NZ全国各地にあるユニバーシティーと言う名前のクラブチームの選抜メンバー。

 初戦は5月25日、クルセイダーズ×ブルーズの前座試合としておこなわれた。
 序盤、U20 Japan が鋭い攻撃でトライを重ねて有利に進めた。しかし、優勢だったのは序盤だけだった。
 その後は、フィジカルとスキルの差を見せつけられ、NZUにボールを保持されると、一気にトライラインまで持っていかれた。タックルの甘さが目立ち、10トライを献上。結果は、38-66と大差で敗れた。
 攻撃は通用していただけに、ボール支配率とディフェンスの課題が明確になった。

初戦時のNZUのハカ。(撮影/松尾智規)

 2戦目は5月30日。場所をカンタベリー大学に移して午後2時のキックオフで行われた。平日ながらも観戦者がピッチをぐるりと囲んだ。その中には、日本人の姿も見られた。

 初戦で大差をつけられただけに、どこまで修正してくるか注目された。
 しかし開始早々、スクラムからNZU の12番に簡単に突破されてそのままトライを奪われる(0-7)。フィジカルで苦戦の立ち上がりに不安がよぎった。

 会場がどよめいたのは、U20 Japan の左PR、大塚壮二郎のビッグタックルがNZUに突き刺さったときだった。そのタックルでチームの意識が変わったのが感じられた。
  U20 Japanが敵陣深い位置でのラインアウトからチャンスを掴んだ。モールを押し込み、相手の反則を誘っう。レフリーの判定はペナルティトライ。7-7の同点に追いついた(8分)。

 12分にNZUにトライを奪われるも、17分には、U20 Japanがラインアウトから攻めた。WTB飯岡建人がスピードとキレのあるステップを見せ、個人技でトライを返した。(12-12/17分)

 スクラム、ラインアウトのセットピースで勢いを作ったU20 Japan。徐々に攻撃のテンポが良くなり、フィジカルバトルにも対抗できるようになった。
 25分に1トライを追加。U20 Japanが19-12とリードして前半を終えた。

スクラムではU20日本代表候補が優位に立つシーンもあった。(撮影/松尾智規)

 後半に入りNZUは、よりフィジカルバトルにこだわる。FWが近場で手堅く前に出る戦術に変えてきた。
 ディフェンスを下げられながらもしつこくタックルをしたU20 Japanは耐えた。しかし、自陣22メートルからのタッチキックがノータッチとなる。そこからNZUにカウンターアタックで一気にトライラインまで持っていかれた。
 19-19の同点に追いつかれる(43分)。前半に続き、立ち上がりに課題を残した。

 ディフェンスでは課題を残すも、攻撃はしっかり通用していたU20 Japanは、敵陣10メートルのスクラムから絶妙なサインプレーでSO伊藤利江人がビックゲイン。伊藤からオフロードパスを貰ったWTB飯岡建人がこの日2つ目のトライを挙げて逆転した(24-19/47分)。

 ここから上昇したかったU20 Japan。しかし勢いを増したのはNZUだった。
 疲れが見えだしたU20 Japanに対してパワーランナーが積極的にボールキャリーで突破を試みる。U20 Japanが徐々に対応しきれなくなると58分にトライを奪った。その後もフィジカル面で上回り、2連続トライを奪う(69分、73分)、40-24と大きくリードを広げて試合を決めた。
 U20 Japanが76分にトライを返すも、NZUは試合終了間際にPGを加え、ファイナルスコアは43-31。NZUの連勝となった。

 NZ遠征を2連敗で終えたU20 Japanは安定したセットピースを武器に、攻撃では十分通用するところを見せた。
 後半こそNZUが修正するも、前半はU20 Japanがスクラムでプレッシャーをかけ、反則を多く誘った。ラインアウトからのモール攻撃も十分に通用し、常に相手にプレッシャーをかけた。
 
 2試合共通してフィジカル面での劣勢が試合に大きく影響した。 それでも、1戦目から中4日でここまで修正できたことは明るい材料と言えるかもしれない。

 試合終了後は遠征の最終戦ということもあり、ピッチの上で両チームの選手が会話を交わす光景がたくさん見られた。ジャージ交換もおこなわれ、笑顔がたくさん見られた。

 U20 Japanは7月、スコットランドで開催されるワールドラグビー・U20 トロフィー2024に参加する。今回の遠征で得たものを活かし、ほしい結果を手にしたい。

ジャージー交換もあちこちで見られた。(撮影/松尾智規)


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