国内 2024.04.12

高本幹也、日本代表になれば「人生が豊かに」。その前にサンゴリアスで勝つ。

[ 向 風見也 ]
高本幹也、日本代表になれば「人生が豊かに」。その前にサンゴリアスで勝つ。
サンゴリアスの司令塔を務め、パフォーマンスが光る23歳の高本幹也(撮影:向風見也)


 失敗を糧にする。東京サントリーサンゴリアスの高本幹也は言う。

「やっぱり、うまくいかない時のほうが、自分にとってプラスになっている」
 
 身長171センチ、体重80キロでポジションはSOだ。昨季まで大学選手権3連覇中の帝京大に在籍し、2度の優勝を経験した。

 鋭い仕掛けからのパスやプレー選択に定評があり、リーグワン実質1年目の今シーズンは第12節終了時点で全ての公式戦に出てきた。旧トップリーグ時代から5度の日本一に輝く名門で、レギュラー格となった。

 目下12チーム中3位。プレーオフ進出圏内の4強争いに挑む立場にあって、「ファーストキャップの頃よりもいまのほうが余裕はあります。チームに対してもどんな声掛けをするのかも考えられている。心の余裕、できることの容量が増えているのは間違いないですけど、まだまだ足りないとは思っている」。こうも補足した。

「強いチームとやると自分、チームにかかるプレッシャーが多い。(週ごとに)コーチや先輩のレビューを聞き、自分でも考え、『次はこんなことをしてみよう』を増やしていく」 

 トライアルアンドエラーの日々で学んだことのひとつは、選択と集中だ。

 3月23日の第11節では、戦前5位の横浜キヤノンイーグルスに35-37で敗れた。前半を35-10と大きくリードしながら、自軍のエラーと向こうのモールやキックを利したゲーム運びで逆転された。

「(この一戦を機に)試合中に何がうまくいって、何がうまくいっていないかを考えるようになりました。キヤノン戦では、うまくいっていないことを続けていたので、次はそれをやらないでおこうと心に決めた」

 反省を活かす。

 4月7日に敵地の神戸総合運動公園ユニバー記念競技場でコベルコ神戸スティーラーズへぶつかった第12節では、接戦を強いられながら36-27で勝利。ラストワンプレーでのエラーと失点からボーナスポイントの勝ち点を失い「しっかり詰め(課題を解決し)ておかないと。(何をすべきか)頭のなかではわかっていたと思うんですけど」としたものの、イーグルス戦から進歩した点があった。いずれも先発出場の高本は言う。

「神戸戦では、うまくいっていることを探し、うまくいっていないことをやめるということをずっと考えていました。それをチームにも伝えました」

 5月下旬以降、新体制による日本代表が始動する。最近までサンゴリアスのディレクター・オブ・ラグビーーだったエディー・ジョーンズ ヘッドコーチが「超速ラグビー」を謳うナショナルチームは、6月22日のイングランド代表戦(東京・国立競技場)などの大一番を控える。

 初代表の期待される高本はこうだ。

「選ばれたいですし、選ばれるためにも100パーセントの努力はするんですけど、選ぶのは僕じゃない。いまはサンゴリアスのプレーオフ優勝が一番の目標。もちろんその先で(代表に)選ばれ、(代表戦への)出場機会があれば、もっともっと成長でき、自分の人生が豊かになるとは感じます」

 目指すステージに立って「人生」を「豊か」にする前に、したいことがある。

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