海外 2024.04.12

ブルーズの永田虹歩がNZ女子『スーパーラグビー・アウピキ』決勝のメンバー入り

[ 松尾智規 ]
ブルーズの永田虹歩がNZ女子『スーパーラグビー・アウピキ』決勝のメンバー入り
ハリケーンズ戦でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたブルーズの永田虹歩。(Getty Images)



 4月13日にニュージーランド(以下、NZ)のラグビーの聖地、イーデンパーク(オークランド)でおこなわれるスーパーラグビー・アウピキの決勝のメンバーに永田虹歩の名前があった。

 NZの女子ラグビーのレベルは高い(ワールドカップ優勝6回)。野球でいうなら、日本人がメジャーリーグで、ワールドシリーズの頂点をかけて戦うくらいの快挙だ。

 今年で3年目となる、NZ女子【スーパーラグビー・アウピキ】のレギュラーシーズンは、ホーム&アウェーのラウンドロビン方式で6試合(昨年は、3試合)となり拡張された。その影響もあり試合を重ねるごとに各チームのレベルが上がった。

 参加チームは、ブルーズ・ウィメン、チーフス・マナワ、ハリケーンズ・ポルア、マタトゥ(クルセイダーズとハイランダーズの連合軍)の4チーム。レギュラーシーズンの上位2チームで決勝をおこなう。

 昨年の覇者マタトゥは今季、まさかの開幕4連敗というスタートだった。初勝利は5節目で、ハリケーンズに37-17と勝った。
 最終戦はクライストチャーチのホームのファンを前で、チーフスを相手に22-20。激戦を制して2連勝と復調したが、序盤の不振が響き2勝4敗の3位でシーズンを終え、決勝進出はならなかった。

 ハリケーンズは攻撃力があり、前半は善戦するものの、フィットネスが落ちてくる後半からの失点が目立った。1勝5敗の最下位でシーズンを終えた。

 2022年の初代チャンピオンで、昨年のファイナリストのチーフスは開幕から4連勝スタートで勢いがあった。
 しかし、第5節にブルーズに26-40と敗れ、最終戦はマタトゥ相手にFW戦でプレッシャーを受けて20-22と2連敗。序盤に勝ち星を重ねた貯金のがあったため、4勝2敗の2位通過で決勝に駒を進めた。

 今季ワンランクステップアップしたブルーズは第2節でチーフスに10-17で敗れるも、第5節では40-26でリベンジに成功。最終戦もハリケーンズ相手に爆発力のある攻撃が炸裂して41-29と勝利した。
 5勝1敗で1位通過となり決勝に駒を進めた。

◆今年は日本代表の2人がアウピキに参加。

 今季から、齊藤聖奈、永田虹歩のふたり(ともに三重パールズ)がスーパーラグビー・アウピキに初参加している。
 第2節の直接対決ではともに試合途中から出場し、スクラム最前列の真ん中で、対面対決をした。

 チーフス・マナワに所属の斎藤(日本代表40キャップ)は、開幕戦で背番号8を付けて先発で出場したことを皮切りに、レギュラーシーズンの半分の3試合に先発出場(2試合ベンチスタート)した。

 本職はFL/NO8だが、チーフスでは、HOのポジションを任されることが多かった。
 レベルの高い大会に出場する事だけでも快挙であるが、このレベルで3つものポジションをカバーしている事に驚く。

ハリケーンズ戦でトライを挙げたチーフス・マナワの齊藤聖奈。(Getty Images)

 レギュラーシーズン最終戦、クライストチャーチでおこなわれたマタトゥ戦の直後にピッチで話を伺った。
 NZラグビーの印象を聞くと、「フィジカルが強いだけでなく、スキルのレベルが高い」と返ってきた。
「こちら(NZ)は、ハードスケジュールで、みんな凄いタフです。日本では、シーズン中は、リカバリーに重点を置くが、NZでは、フルコンタクトを週2回行い、試合の2日前にもフルでコンタクトをする」
 日本との違いに驚きを隠せない様子だった。

 齊藤は4節のハリケーンズ戦で背番号2付けて先発。その試合で2トライを挙げた。
 その事に関しては、「ラッキーなトライです」と謙遜するも、ボールを貰うタイミングとコース取りの巧みさを見せるなど、常に冷静にプレーをしている印象だ。

「このレベルで、フィジカル面で対応できているか分からない」と言いながらも、タックル、ブレイクダウンで激しいヒットを見せるなど、サイズのハンデを感じさせないくらいのガッツを見せていた。

 ブルーズに所属する永田(日本代表13キャップ)は、シーズン直前でケガ人のカバーとして呼ばれた。
 5節まで毎試合16番を付けてベンチ入りをして、後半途中からピッチに立ち常にひた向きなプレーを見せていた。

 レギュラーシーズン最後のハリケーンズ戦では、背番号2を付けて先発だった。決勝前にチャンスを与えられた。永田は、コーチの期待に応えるかのように最初からハッスルした。
 この試合のハイライトは、永田のラインブレイクだろう。凄かったのはディフェンスの裏に抜けた後も続いた。しっかり周りを見てサポートプレーヤーに絶妙なパスを送りトライに繋がるプレーをした。

 その後も、何度もゲインラインを越える力強いボールキャリーを見せた。永田のパフォーマンスは、Sky Sportsの実況も絶賛した。結果、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた。
 初めての先発でHOと右PRのふたつのポジションをこなし、80分間フルに動き回った。試合を重ねるごとに進化している事は確かで、永田本人も自信を付けている様子がうかがえる。

◆ブラックファーンズのメンバーがずらりと並ぶ決勝メンバーに永田の名前も。

 決勝のメンバー発表があった。ホームのブルーズの先発メンバーにはブラックファーンズ(女子NZ代表)の選手が10人名を連ねた。ベンチにも2人の代表経験者が控える充実ぶりだ。

 豪華なメンバーの中に混じって16番に永田の名前もある。
 前週のパフォーマンスでインパクトを残している。接戦が予想される決勝でも、後半途中から起用される可能性も高い。

 チーフスのメンバーに目を向けると、12人のブラックファーンズが先発メンバーに入った。ベンチにも3人が控えるほどこちらも充実したメンバーだ。
 主力のケガからの復帰もあり、齊藤のメンバー入りはならなかった。

 試合を重ねるごとに勢いが増したブルーズの攻撃力は、決勝でも見られるだろうか。
 昨年までの課題のディフェンスは、今季は改善傾向があり、決勝はブルーズのディフェンスがカギとなりそうだ。

 一方のチーフスは、終盤に2連敗。その敗因は、スクラム、ラインアウトのセットピースでプレッシャーを受けていたことだった。
 ラインアウトの核のLOチェルシー・ブレムナーがケガから復帰、HOルカ・コナーも決勝に間に合った。2人の復帰がセットピースの改善に繋がれば勝機が見えてくるか。

 両軍とも、サイズのあるフロントローの突進が得点源になっている。それらを止められるどうかも勝負のカギとなる。
 そしてハンパない決定力を持つWTBが両軍とも14番を付けてプレーする。ブルーズは、ケイトリン・ヴァハァコロ、チーフスは、ルビ・トゥイ。この2人にどれだけボールが供給されるかが最大の注目になりそう。

 豪華なメンバーを見てもわかるように、激戦になる事は間違いないだろう。
 どちらが勝つのか全く予想がつかない。ワクワクする!

Super Rugby NZの『X』より



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