「優勝するチームだと思っていた」(廣瀬)。スピアーズ新人入団会見、各選手の声。
報道陣とともに会見に参加していたフラン・ルディケHCは、ルーキーたちの声に耳を傾け、時折メモを取りながら何度もうなずいていた。
3月1日、クボタスピアーズ船場・東京ベイがアーリーエントリー選手の入団会見をおこなった。
新たにオレンジ軍団に加わるルーキーたちは、そうそうたる顔ぶれだ。
先の大学選手権決勝でぶつかった帝京大と明大の両主将、HO江良颯、CTB廣瀬雄也をはじめ、その決勝で紫紺の3番をつけた為房慶次朗も加わる。
この世代のエースランナーで、慶大では副将を務めたユーティリティBKの山田響、筑波大で副将のFL梁川賢吉と、関東対抗戦の実力者たちも入団。オーストラリア出身で190㌢、120㌔とポテンシャルの高い拓大のPRイジー・ソード、関西大で1年目からプレータイムを得ていたSH溝渕元気もスピアーズ入りした。
石川充GMは「本当に良い採用ができたと思っています。(昨季の)優勝前に返事をもらっていたメンバーたちです。前川(泰慶/チームディレクター)をはじめ、リクルーターのみんながうちのチームの良さや方向性を説明してくれた結果、来てくれた。楽しみで仕方ないし、うちの時代が来るのではないか」と笑みをこぼした。
会見ではそれぞれの選手が加入の理由や意気込みを語った。
「日本一に貢献できるように、少しでも早く試合に出られるように頑張りたい」と意気込んだ江良は、クロスボーダーラグビーのチーフス戦に出場し、9日のトヨタヴェルブリッツ戦でもリザーブ入りを果たした。
加入の理由には、今季はケガで離脱している南アフリカ代表HOの名を挙げた。
「マルコム・マークスという世界的なフッカーがいる。幼い頃からの夢で目標の日本代表になりたいので、そこでいろんなことを勉強し、吸収して世界で活躍したい。デイン・コールズにもいろいろ教えてもらってます」
一方の廣瀬は、入団の決め手はチームの雰囲気だったと明かした。
「たくさんのチームを見てきましたが、ここが一番雰囲気が良くて、ウェルカムな温かい空気感がありました。(チームに合流後は)日本人選手だけでなく、外国人選手も1対1でアドバイスをくれる。誰も自分のことを見捨てない、新人を置いてけぼりにしない。決めたのは大学3年生の時だったのでまだ優勝する前でしたが、いつか優勝するチームと感じていました」
「フランさんをはじめ熱いオファーをもらい、自分が必要とされてるところでやりたかった」とも話し、「ルーキーというのは関係なく、いちはやくファーストキャップを得て、将来的に50キャップ、100キャップを狙えるようになりたい」と力強く語った。
狙うポジションは学生時代と変わらずインサイドセンター。キャプテンの立川理道や、東福岡の先輩でもある永富晨太郎らと争う。
「12番は誰にも譲りたくないと思っています。いろいろなスキルを聞いて、プレーを見て、自分のものにしたい。近いうちに(先輩たちを)追い越し、自分が12番を着たい」と話した。
山田響は、加入の理由に意外な理由を明かした。「スピアーズのラグビーはFWがどんどん前に出てBKが縦横無尽に走り回る。自分もそういうラグビーをしたいと思った」とも語ったが、「慶應の先輩があまりいないのがすごく魅力的だった」と報道陣の笑いを誘った。
「先が見えないところに飛び込むのは好奇心といいますか、面白そうと感じます。新しいところで自分の力を試す良い機会になる」
慶大出身者では2005年入団の清野輝俊以来の加入となる。仲の良い選手はいるか、との質問には「(二村)莞司さんはユース五輪(セブンズ)に一緒に参加しているので、一番親しいのかなと勝手に思っています」と笑顔で答えた。
山田は、慶大ではCTB以外のBKのポジションをすべて経験。「そこはアドバンテージだと思っています。常にどこのポジションでもできるように準備する」と話し、「(中でも)バックスリーで勝負したい。とても素晴らしい選手が多いですが、キックでは優位に立てると思っている」と熾烈なポジション争いへ名乗りを上げた。