国内 2024.03.04

花園L、連敗脱出ならずもディフェンスに光。39歳のLO松岡勇が火をつける。

[ 直江光信 ]
花園L、連敗脱出ならずもディフェンスに光。39歳のLO松岡勇が火をつける。
ゲインラインバトルでの奮闘に加え、ラインアウトでもジャンパーとして存在感を示した(撮影:松村真行)


 後半25分、28分の連続トライで32-31と逆転すると、花園ラグビー場はこの日一番の熱気に包まれた。結果的にはそこから3トライを奪われ32-50で敗れたものの、間違いなく今季ベストといえるパフォーマンスに、観客席の地元サポーターは沸きに沸いた。

 開幕から7戦全敗の花園近鉄ライナーズが、ここまで7連勝中の東芝ブレイブルーパス東京に真っ向から挑んで好勝負を演じた。乗り切れない試合が続いていたチームを勢いづけたのは、39歳のLO松岡勇だ。鋭い出足で気迫みなぎるタックルを連発し、仲間たちに火をつけた。

 試合後のミックスゾーン。腫れ上がった右の眉が奮闘を物語る殊勲者が、朴訥な口調でゲームを振り返る。

「チームとしてラインスピードを上げることに取り組んできて、みんながそこを意識できていたのは成長した部分だと思います。個人としては今シーズン初めて花園で試合をさせてもらって、ホームの空気を作ってくださるファンがたくさんいらっしゃるので、自然と力が入りました」

 2月のリーグ休止期間はハードなトレーニングでディフェンスの改善に取り組んだ。再開2戦目で、その成果が表れつつあると手応えを語る。

「ミスタックルを恐れず前に出る意識があったし、それによって試合中の雰囲気もよかった。やろうとしていることは間違ってない。あとはそれを80分間続けられるかだと思います」

 生え抜き最年長の大ベテランが先陣を切って体を張る姿を見れば、チームメイトも燃えないわけがない。そう話を振ると、こう苦笑する。

「勝手に歳をとって、勝手にラグビーやってるだけですけど(笑)。口でいうのはあまり得意じゃないんで、そういう姿勢を見せられたなら、よかったと思いますね」

 体を張る局面で黙々と痛い仕事をこなす姿は、まさにLOのお手本。これからも背中で仲間たちを鼓舞し、チームを浮上させる。

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