国内 2024.02.15

男子15人制トレーニングスコッド合宿に最多選出。トヨタ5戦士、それぞれの声。

[ 森本優子 ]
男子15人制トレーニングスコッド合宿に最多選出。トヨタ5戦士、それぞれの声。
W杯の時とは打って変わって柔らかい表情を浮かべていた姫野和樹(撮影:松本かおり)

 2月6、7日の2日間、福岡のJAPAN BASEで実施された男子15人制トレーニングスコッド福岡合宿。クロスボーダーマッチに出場するリーグワン上位4チームの選手を除いた34名が参加。トヨタヴェルブリッツからは7人が選ばれ、5名が参加した(SH福田健太、CTBシオサイア・フィフィタは不参加)。

 2019年W杯で日本代表FBとして開幕のロシア戦に出場したウィリアム・トゥポウはFLでの招集。

「合宿に呼ばれて自分が一番驚きました」

 エディー・ジョーンズHCとはトゥポウの高校生時代、ブリスベンでジョーンズ氏がレッズのコーチをしていた頃からの知り合いで、再会して昔話に花が咲いた。

「彼は当時、ブリスベンにいる選手なら誰もが教わりたいと願っていた存在でした」

 2019年W杯の後、ジェイミー・ジョセフ前HCと話し合い、家族を優先したいと代表活動から退いたが「素晴らしいコーチの下でラグビーができるのは選手として素晴らしいこと。自分に出来ることがあれば貢献したい」と今回の参加を決めた。

 トヨタでも今季からFL専任に。代表合宿にFWとBKのポジションで選ばれる前例のないケースだが「リーグ出身なのでもともとタックルは強み。まだ学んでいる最中ですが、どんなことも前向きに受け止めている」と意欲を見せた。

2019年W杯ではFBで活躍したウィリアム・トゥポウ。33歳にしてFLで再出発(撮影:松本かおり)

 CTBチャーリー・ローレンスは、今年の6月で日本居住6年。代表資格のエリジビリティをクリアしての招集だ。父はイングランド、母はフィリピン出身。本人は父の勤務地だった香港で生まれ、4か国の代表資格があるが「初めて日本に来て神戸でプレーしていた頃から、日本代表を目指していました。やっとチャンスが来た」と喜んだ。

 高校時代はNZで過ごし、ハミルトンボーイズ高のセブンズで活躍。NZセブンズでもプレーしていたが15人制を優先、神戸製鋼からの誘いを受け来日。’22年度からトヨタでプレーしている。

 WTB髙橋汰地は、最初のメンバー発表ではCTB。リーチ マイケル(BL東京)がジョーンズ氏からLOを言い渡されており、髙橋もCTB転向かと話題を呼んだが、誤りと判明(後日、訂正)。「練習は普通にWTBでやりました」

 参加メンバーを見て若い選手が多いことに驚きを受けた。

「ジェイミーのときは、僕は下の方で引っ張ってもらっていたんですが、今回集まってみて、自分で引っ張っていかないとダメだな」と、中堅を自覚した。「若手より経験はある。ハイボールキャッチやキックの精度といった細かな部分を見せていけたら」。 

代表定着なるか。WTB髙橋汰地(撮影:松本かおり)

 久々の合宿招集となったのは、PR三浦昌悟だ。「シャキッとします。率直にまだ見てもらえていたんだ、と」。素直に招集を喜んだ。
 1対1の面談でスクラムの話は出なかったが、持ち味である強いボールキャリー、ディフェンスをさらに極めるように言われた。「プロップにも超速が求められますが、不得意な分野ではないので、これからもいいアピールが出来る」と自信を見せた。

 合宿1日目は選手全員が取材対応。最後に登場し、囲みで「おっさん」を連発したのは、NO8姫野和樹だ。

「みんな若くてビックリしました。“俺、おっさんじゃん”って。19歳の選手もいて。僕が成人式のとき、まだ9歳ですよ。“10歳も下ですよ”とリーチに言ったら、“おっさんと思ったら負けだ”と(笑)」

 昨秋のW杯ではキャプテンを務め、桜のエンブレムに精魂を傾けた。「あっという間にジャパンが始まった。早いなという感じ」。月日の速さに戸惑いつつも「新しいラグビーを学んでる感じで楽しいし、超速ラグビーは違った観点で面白い。理解、判断、スキルは経験も加味してくる。そういったところは力になれると思う」と、新体制にも積極的にコミットしていく。

 ジョーンズHCの口から、若手のいいお手本として名前が挙がったのが、リーチ、稲垣啓太(埼玉)、姫野の3人。「常にベストな人間であり、ベストなプレーヤーであるよう努力していきたい」

 それぞれ、リーグワンの試合の合間を縫っての貴重な時間だった。

 次のスコッドとしての活動は、リーグワンのシーズン終了後となる。

PR三浦昌悟。代表キャップ9を持つ(撮影:松本かおり)

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