決勝は目黒VS久我山。東京都高校新人大会
2024年末、冬の花園を目指す高校生の戦いは始まっている。1、2年生が参加する2023(令和5)年度東京都新人大会。1月28日に準決勝2試合をおこなった(会場・東京朝鮮高)。くしくも昨年秋、「第103回全国高校大会東京都第1、第2地区予選決勝」を争った4校が勝ちあがった。
先週の氷雨降る中、おこなわれた準々決勝から晴天に恵まれた。第1試合は國學院久我山高と早稲田実業高が対戦、久我山が後半突き放し26-14(前半 7-0)で決勝へ。2試合目は目黒学院高が成城学園高の追い上げをかわし43-26(前半 24-14)で制した。決勝は2月4日、葛飾区総合スポーツセンターで実施される。
『國學院久我山が接戦を制した』
久我山と早実の戦いは両チーム主将、久我山CTB齋藤航と早実SO山口滉太郎によるエリア取りの蹴り合いで始まる。久我山がテリトリーを支配するもノックオンや早実が絡んでゴールラインは遠かった。最初の得点は終了前30分を経過していた。久我山が早実陣へ入りPKを得るとすぐにタップからボールを動かす。右中間から左大外で待ち構えるFL水沢洋太へ飛ばしパス。フェーズを重ねる。再度、水沢に渡るとフォローした右WTB宮下隼へ。宮下が中央へ先制トライを奪った、コンバージョンも齋藤が決めて7-0とし後半に入る。
なかなか久我山陣が遠かった早実。7分、久我山陣でPKをもらうと山口がPGを選択し狙う。ボールは外れるも追いかけた早実の圧力にインゴールで久我山が反則を献上。つづくゴール前5メートルのスクラム、早実がボールを出しCTB高橋玄がインゴールへと運んだ。山口のコンバージョンも決まり振り出しに戻った。
リスタートのボールを確保した早実山口、ランを選択した。そこに久我山が襲いかかりノットリリースを奪う。左ラインアウトへつなげるとモールでHO笠井大志が仕留めた。ゴールキックも決めて14-7。17分には右ラインアウトからボールを出しWTB宮下が2トライ目。昨年の第2地区決勝、後半に目黒の逆転劇で12-15と花園出場を絶たれた試合。宮下はFBで出場していた。「悔しい気持ちをずっと持っています。勝ちたい気持ちが強い」とチームの勝利を目指す。4分後、早実はWTB白崎颯太がトライし7点を加える。「大差がつくかもしれないと思ったが良い形でトライを奪えたことが収穫」(早実・大谷寛監督)。それでも最後は久我山がゴール前スクラムから5点を加え26-14で終えた。
『目黒学院NO8ロケティは健在』
目黒VS成城。最初に仕掛けたのは成城だった。目黒のキックオフを確保し敵陣へ。パスされたボールが成城右WTB猿田龍之資の足にあたる。目黒ディフェンスの間を突く形となった。ボールを持った猿田がそのまま中央へダイブ、開始1分35秒の出来事。成城が7-0とした。
「新チームは1月1日に花園で負けて戻ってきてから始動した。自分たちが、強いのか弱いのかわからないと選手に話しています。公式戦1試合ずつ成長していきたい」。目黒・竹内圭介監督は語る。
5分、成城ゴール前でPKを得るとすぐにタップから運び、LOフィッシャー慶音が同点につなげるファイブポインターに。さらに勢いづけたのは、NO8ブルースネオル・ロケティだ。花園大会3試合で6トライを決め全国区の顔になった1年生。「花園での疲れはありません。調子はいい」と言い切る。3分後、左サイドでボールをもらうとそのままゴール前までゲイン。またも成城が反則、タップから持ち込んだラック。最後は自分が仕留めた。「去年よりも良い成績を」。すでに心は花園においているようだ。
続いて魅せたのはWTB中澤謙心。まずは15分に右隅へ飛び込む(19-7)。29分に成城がゴール前ラインアウトから押し込んで5点差に迫ると、3分後にラックからボールをもらい今度は左隅に運ぶ(24-14)。
後半も最初に成城が攻めあがる。1分50秒で猿田が2トライ目。小気味よいパスでアタックを率いたCTB井手晴太が3本目のコンバージョンも成功し、24-21と3点差にする。
昨年は、自由なステップで魅了した大駒SO村井健人(帝京大進学)がいた。井手は話す。「健人さんが抜けた穴は大きいけど自分たち2年生は『我』が強いメンバーが多い。それが、まとまりチームを良い方向にもっていきたい」
しかしここでもリスタートから成城エリアへ進んだ目黒。ボールを動かし続けると中澤がハットトリックを実現した。13分にロケティがとどめを刺した(36-21)。その後は1つずつトライし、43-26。敗れた成城・仲西拓監督は「決して勝てない相手ではない。去年とラグビースタイルは変えていません」。春へ向けて磨きをかけていく。
決勝は昨年の第2地区と同じ対戦だ。久我山・土屋謙太郎監督は「フィジカルバトル、基本で負けないこと」。一方、「1月の練習試合(8日)で負けました(目黒14-49久我山)。チャレンジャーとして臨みます」(目黒・竹内監督)。
『今年の新人大会は予選プールを実施』
今年の都新人大会。昨年秋の大会で両地区ベスト4、計8校(新人大会準決勝の4校以外は明大中野高、東京朝鮮高、東京高、本郷高)をシードした。昨年中にトーナメントに進める8校を選ぶ予選プールをおこなった。単独21校と合同11チームの32チームが8プールに分かれて戦った。明治学院東村山高、成蹊高、大東大一高、青山学院高、早稲田学院高、都青山高、都小山台高、桐朋高がトーナメントへ進出。1月14日の1回戦でシード校がすべて勝ち、21日の準々決勝は早実47-0明大中野、久我山57-0東京朝鮮、目黒35-8東京、成城33-0本郷の結果となった。