コラム 2023.12.29

【コラム】あれから4年。待ちに待った晴れ舞台。

[ 直江光信 ]
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【コラム】あれから4年。待ちに待った晴れ舞台。
写真は12月27日午後の1回戦。天理は早稲田実戦を凌ぎ、2回戦で関大北陽と戦う(撮影:牛島寿人)

 そうか。あれからもう4年が経つのか。

 2023年冬。第103回全国高校ラグビーフットボール大会の開幕に際し、あらためてそんな思いが頭に浮かんだ。

 ラグビーワールドカップ2019日本大会の熱狂が続く中で迎えた4年前の年末年始、国内のラグビーシーンは大盛況だった。花園の高校大会は連日各グラウンドが多くの人であふれかえり、新国立競技場で初めて開催されるラグビーの公式戦となった早稲田対明治の大学選手権決勝の入場者は、満員札止めの5万7345人にのぼった。トップリーグの第1節8試合の合計観客数は前年比約3万増の11万6737人(1試合平均約1万4600人)。最上段までびっしり埋まったスタジアムの光景は、壮観だった。

 あの忌々しいウイルスの影が列島を覆いはじめたのは、直後の2020年2月頃だったか。その猛威はみるみる各地に拡大し、やがて必要最低限の生活活動を除くあらゆる営みが停止された。ラグビーもいったんすべてストップした。

 時が過ぎ、少しずつかつての日常が戻るにつれて、ラグビーも再開された。秋に大学の公式戦が始まり、冬には100回目の全国高校大会が開催された。年が明けた2月からはトップリーグの最後のシーズンもスタートした。そうした中、最後まで我慢と辛抱を強いられたのが、小中学校の若年層の選手たちだった。

 2020年は普段の練習すらままならず、あらゆる試合や交流の機会が失われた。ようやく活動が解禁されたかと思えば、まもなくまた自粛の繰り返し。目標となるはずだった大会は早々に中止が決定し、目指すものが見つからない中、悶々とした日々を過ごすしかなかった。

 この年は中学生ラガーにとっての集大成である9月の太陽生命カップ、12月の全国ジュニアの両大会と、その出場権を争う各地区大会も軒並み中止になった。他のカテゴリーで続々と試合が行われる中、練習の成果を発表する場を失った選手たちの無念は、察するに余りある。翌2021年も夏の太陽生命カップが直前で中止になったが、その予選を兼ねた各ブロック大会や、年末の全国ジュニア大会などは実施されている。

 そして、この2020年に中学3年生だったのが、現在の高校3年生世代である。つまり出場する多くのプレーヤーにとって、今回の花園はようやくたどり着いた集大成の舞台なのだ。念願をかなえ高校ラグビーの聖地に立つ選手たちは、どんな思いでフィールドの芝を踏みしめるのか。その胸中を想像すると、こちらも胸がいっぱいになる。

予選後、全国仕様にブラッシュアップして臨んだ青森山田、勝利には届かなかったが力を尽くした(撮影:牛島寿人)

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