国内 2023.12.22

鉄人ワセダクラブ63歳、吉野俊郎最年長トライ記録更新。チームは入替戦出場逃す。

[ 見明亨徳 ]
鉄人ワセダクラブ63歳、吉野俊郎最年長トライ記録更新。チームは入替戦出場逃す。
63歳でピッチに立ち続けるワセダクラブ吉野俊郎(写真提供:ワセダクラブ)


 地域社会人リーグのトップイーストA、トップウェストA、トップキュウシュウAの上位チームによる順位決定戦と、トップイーストの各レベル入替戦が今週末から始まる。
 トップイースト3部にあたるトップイーストCは、トップイーストBとの入替戦に1位ライオンファングス、2位大塚刷毛製造が出場する。リーグ戦はライオンが6勝1敗(勝点27)、大塚5勝2敗(同22)。大塚と同じ勝ち星で勝点20に沈んだのがワセダクラブTOP RUSHERSだった。
 
 ワセダクラブは10月15日の試合で船岡自衛隊ワイルドボアーズと対戦。敵地、前日の快晴は雨15度になった。0-38と敗れ1敗目を喫した。しかし11月に全勝ライオンを19-13で破ると、12月3日も大塚を22-21と1点差で制し5勝1敗(勝点20)とした。

 最終節(12月10日)、この日まで6戦全敗の最下位JAL WINGSに勝てば勝点24か25となる。ライオン(同23)と大塚(22)の直接対決の結果次第で1位から2位の可能性もあった。
 しかし、12時キックオフの試合はJALが優勢になった。前半から攻め続け44-19で今季、初勝利をあげた。ワセダクラブは勝点20にとどまった。ライオンが22-8で大塚を下し1位、大塚が2位となった。
 この試合、後半30分にピッチにたったのが背番号20をつけたワセダクラブ左WTB吉野俊郎だった。1960年9月5日生まれ、実に63歳3か月での出場はリーグ最年長記録だ。そして5分後の35分、グラウンド左中間に攻めあがったワセダクラブ。ボールが左に位置した吉野に渡ると、ディフェンスを破りチーム2本目のトライを奪った。

後半35分、グラウンド左でボールをもらう背番号20の吉野俊郎(写真提供:ワセダクラブ)
リーグ最年長トライを自ら更新した(写真提供:ワセダクラブ)

 吉野は茨城・日立一高から早大、サントリーへ進んだ。日本代表として第1回ワールドカップに出場した日本ラグビー界のレジェンドのひとり。今も「ラグビーは趣味」として身体を作り一線で走り続けている。
 クラブチームのワセダクラブ。メンバーはそれぞれ企業などに勤めているため、個々の事情で必ずしもベストメンバーが揃うとは限らない。JAL戦でもチームを声で鼓舞する前主将のLO池田良(早大)、前副将CTB丹野怜央(早大)が欠場し、「元気が足りない」(チーム関係者)状況だった。
 それだけに吉野の存在はチームに喜びを与える。交代アナウンスの際、ワセダクラブBK今駒有喜(早大)の父親、早大、サントリー後輩で楕円球を追った5歳下の今駒憲二氏や敵にいた早大後輩たちからも喝采を浴びた。試合後、「負けましたが、よっさん(吉野)がトライを取って盛り上がったのが救いでした」と声をかけられた吉野。「ホンマやな」と笑顔で答えた。来季もウエートで体を絞りピッチに立つことをみんなが待っています。

試合後、後輩・今駒憲二氏(写真左端)らと記念撮影(写真提供:ワセダクラブ)

<トップイーストリーグ入替戦日程>
■12月23日(土)
・サントリーフーズSUNDELPHIS(Cグループ7位) vs 警視庁(関東社会人1部2位)

■12月24日(日)
・秋田ノーザンブレッツ(Aグループ5位) vs 日立Sun Nexus茨城(Bグループ1位)
・横河武蔵野アトラスターズ(Aグループ4位) vs 丸和運輸機関AZ-MOMOTARO’S(Bグループ2位)
・クリーンファイターズ山梨(Bグループ4位) vs 大塚刷毛製造(Cグループ2位)
・明治安田生命ホーリーズ(Bグループ5位) vs ライオンファングス(Cグループ1位)
・JAL WINGS(Cグループ8位) vs JR東日本(関東社会人1部1位)

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