海外 2023.12.13

テビタ・タタフが欧州で奮闘。ボルドーはチャンピオンズカップ大勝発進。

[ 福本美由紀 ]
テビタ・タタフが欧州で奮闘。ボルドーはチャンピオンズカップ大勝発進。
ボルドーの8番をつけるテビタ・タタフ(中央)。写真はトップ14の試合から(Photo: Getty Images)


  12月9日、欧州チャンピオンズカップが開幕した。今季オープニングを飾ったのは、日本代表経験者のテビタ・タタフが所属するボルドー(フランス)対コノート(アイルランド)の一戦で、ボルドーが敵地で41-5と大差で勝利した。

 この試合の前日、フランスのラグビー紙『ミディ・オランピック』に掲載されたインタビューの中で、「ボールを持って敵のディフェンスの間を駆け抜けるのが好き。ランメーターで1番になりたい。ラインブレイクでも、タックルでも1番になりたい。グラウンドで1番になりたい!」と言っていたように、タタフはこの試合でも80分間駆け回った。

 10回ボールキャリーをして走った距離は58メートル。この試合でそれぞれ2つのトライを決めたチームメイトのFBロマン・ビュロス(127メートル)、WTBパブロ・ユベルティ(85メートル)に次いで3番目に多い。またディフェンダービートンが2度、ラインブレイクを1つしており、3つのトライに絡み、2つはパスをつないでトライアシストした。守りでも大いに働き、タックル数は18でこの試合では1番だ。ターンオーバーにも2度成功した。

 同紙のWebメディアである『ラグビーラマ』と一般紙の『フィガロ』はタタフをこの試合の『トッププレイヤー』に挙げている。

 「テビタ・タタフ、静なる力。彼のボルドーへの加入はダミアン・プノーのように鳴物入りではなかったが、シーズン序盤から素晴らしいパフォーマンスを見せており、この試合で確実なものにした」と『フィガロ』は評する。

 「僕のプレースタイルはボルドーのスタイルに合っていると思う。まだチームメイトと完全にコミュニケーションできないこともあるけど、その時は手振り身振りで伝えるとみんなわかってくれる」とタタフは『ミディ・オランピック』へのインタビューで話している。

 ボルドーでは中核を成しているSHマキシム・リュキュ、SOマチュー・ジャリベール、PRベン・タメイフナらに加え、ワールドカップで活躍したWTBルイ・ビエル=ビアレや、U20大会でキャプテンを務めたCTBニコラ・ドゥポルテルらの若手の選手も頼もしい存在となっている。

 そこにこの夏、プノー、タタフ、またオーストラリアのFLピート・サムが加入し、選手層に厚みが増した。

 トップ14では現在5勝4敗で7位だが、第9節のオヨナとの試合で、雪が降る敵地での勝利はこの新しいグループに生まれている勢いを感じさせ、今後順位を上げていくことが予想される。プノーはボルドーに移籍してから5試合で7トライを挙げており、ジャリベールも生き生きしている。このファンタジスタのBK集団を見事に指揮しているのがリュキュである。

 ボルドーは、チャンピオンズカップでは2020-2021シーズンに準決勝に進出したが、その後はラウンド・オブ・16(決勝トーナメント初戦)敗退、昨季はプールステージを突破できなかった。今季はチャンピオンズカップでもさらに上位を目指す。

 この大会のフォーマットはパンデミックの影響を受けた2020-2021シーズン以来、毎年変更されている。フランスのトップ14、イングランドのプレミアシップ、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、イタリア、南アフリカのチームが参加するユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップのそれぞれ上位8チーム、全24チームが参加するところは昨年同様だが、昨季は12チームずつの2組でプール戦が競われていたところ、今季は6チームずつの4つのプールで、各チーム、同じリーグを避けた異なる相手と4試合、ホームで2試合、アウェーで2試合を戦う。

 各プールの上位4チームがノックアウトステージへ進出することができるが、これら16チームをまず各プールの順位で、次にプール戦で獲得した勝ち点順に、勝ち点で同点の場合は得失点差、トライ数で1位から16位までランキングし直して準々決勝へのアクセスマッチ組み合わせを決め、上位8チームがホームでおこなうことができる。

 また、上記のランキングの上位4チームを含むアクセスマッチの勝者が準々決勝をホームで、さらに上位2チームを含む準々決勝の勝者が準決勝をホームでおこなう。優勝を狙うチームは少しでもホームで試合ができるように、プール戦でより多くの勝ち点を得て、より多くトライを上げ、より多くの得点を狙う。

 ボルドーは、今週末はホームでプレミアシップ現在8位のブリストルと対戦、1月には同4位のサラセンズをホームで迎え撃ち、翌週に1日かけて移動し南アフリカでブルズと対戦する。決して楽なプールではない。だからこそアウェーでの初戦をボーナスポイント付きの勝利で飾ることができたのはとても大きい。

 フランス勢で優勝候補と考えられているトゥールーズはウェールズのカーディフに順当に勝利したが(52-7)、今大会2連覇中のラ・ロシェルが昨季決勝での対戦相手だったアイルランドのレンスターに敗れ(9-16)、今季順調に仕上がってきていたラシン92もイングランドのハーレクインズに屈した(28-31)。

 また3年ぶりにチャンピオンズカップに返り咲いたトゥーロンはエクセター(イングランド)を相手に前半18-5でリードして折り返すが、SHバティスト・セランが後半途中出場してすぐに負傷退場しSH不在の状態となり、前半の勢いを維持できず80分に逆転され18-19と苦い敗戦になった。

 一方、今大会初参加のバイヨンヌが、強豪マンスター(アイルランド)との対戦で厳しい洗礼を受けることになるだろうという大方の予想を覆し、77分に同点に追いつき、『歴史的な引き分け』をもぎ取った。

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