『第2回 U19フレンドリーエリアマッチセブンズin福岡』開催。ラグビーを続ける場所がある
11月12日(日)、福岡市東区にある日本代表チームの強化拠点「JAPAN BASE」で、第2回 U19フレンドリーエリアマッチセブンズin福岡が開催された。
同交流戦は、試合の機会が少ないクラブチーム所属の高校生世代や、部員が15人に満たないラグビー部に所属する高校生を対象に、試合の機会を増やすことで競技継続に繋げることを目的として、昨年から日本ラグビーフットボール協会の主催大会として始まった。
神奈川で開催された去年に続いて、今年は男子3チーム(福岡ユースRFC、香椎高校、博多高校)、女子2チーム(福岡レディースRFC、CHEERS)の合計5チームが参加した。
開会式のあと、はじめに日本ラグビーフットボール協会のセブンズストラテジーアドバイザーである徳永剛氏によるラグビークリニックが始まった。
「選手をどれだけ夢中にさせられるか」を指導モットーとする徳永氏のクリニックが始まると、間もなくグラウンドにはラグビーボールを追いかける選手たちの声が響き渡った。
新しい聖地「JAPAN BASE」。
今年一番の冷たい風が時折揺らす芝生の上で、楽しい時間があっという間に流れた。
選手たちは楽しみながらセブンズラグビーのエッセンスが込められた練習メニューを数種類こなして、約1時間のクリニックを終えた。
ちょうど同じ時間帯、すぐ隣のグラウンドでは今週末大阪で開催される、2024年パリオリンピックの出場権をかけたアジア予選に出場する、男子セブンズ日本代表チームがトレーニングを始めていた。
目の前にいるのは、世界で戦うオリンピアン。
JAPAN BASEだからこその貴重な経験だった。
クリニック後に徳永氏は、「特に男子の中高生世代は、夏季オリンピック種目であるセブンズラグビーをプレーする機会が少ないので、これからもその楽しさを広めていきたい。人数が少ないチームでも大会に出場することができて、ラグビーを続けるきっかけにできると思う。福岡に新しくできたJAPAN BASEを、これからも有効的に活用していきたい」と話した。
正午から始まった男女別のリーグ戦では、日ごろのトレーニングの成果を発揮して、それぞれのチームが特色を活かしてフィールドを駆け回った。
福岡ユースRFCは男子チームで唯一、学校部活ではなく週末のみ活動するクラブチームだ。同クラブは2001年4月に発足し、進学した学校にラグビー部がなかったり、色んな制約でラグビーを続けたくても続けられない少年たちにとって、貴重な受け皿となってきた。
多い時には20名を超えるメンバーが在籍、今年も12名が登録しており遠くは北九州から通う選手もいる。
そのうちの一人、チームのキャプテンを務める横尾信侍君(よこお・しんじ/高3)は、中学まではヤングウェーブ北九州という北九州市のラグビースクールに所属していたが、進学先の高校にラグビー部がなかったため、高校1年から福岡ユースRFCに入部した。
横尾君の紹介で今年8月に入部した、同級生の岸川隼人君(きしかわ・はやと/高3)も同じく北九州から通っている。彼らはコロナ渦の影響で入部以降一度も公式戦ができなかった世代だ。練習すらできない状況で、部員数も減ってしまった。
だからこそ、今日の試合に向けた準備もすごく楽しかったそうだ。
2人とも「福岡ユースがあることで、週末だけでもラグビーができる環境があるのが嬉しい。練習では上手い先輩たちやコーチの方が、わからないことも沢山教えてくれたから、色んなプレーができるようになった。大学に進学してもラグビーを続けたい。」と屈託のない笑顔で話してくれた。
地元福岡市内の城南中学校でラグビーをした太田凱吏君(おおた・かいり/高1)も、今年から進学した高校にラグビー部がなかったため入部を決めた。
「今はまだ身体が細いので、もっともっと身体を大きくして、相手を吹き飛ばせるくらい強くなりたいです。」と話してくれた。
インタビューを終えて一度立ち去ったあと、再び戻ってきた彼は、「すみません。さっき言い忘れたことがあります。ラグビーに興味のある人がいたら、福岡ユースにいつでも参加してください!」と、大切なメッセージを伝えに来てくれた。
Rugby For All.
誰でも、いつでも、どこでも楽しめるラグビー社会をつくる。
日本ラグビーフットボール協会の中長期計画には、<普及、育成>が5つ目の目標に掲げられている。
地域のラグビースクールでラグビーを始めた子どもたちが、進学や色んな環境の変化の中でも、ラグビーを楽しめる環境をどうすればもっと作っていけるか。
11月の寒空の下、関係者のそんな熱い想いが伝わってきた一日だった。