修正点は「たくさん」あった。デイブ・レニー、スティーラーズに厳しさ植え付ける。
甘くない人を迎えた。
コベルコ神戸スティーラーズは昨季、海外出身者や各国代表経験者を複数、擁しながらもリーグワン1部で12チーム中9位と低迷。今季は前オーストラリア代表ヘッドコーチのデイブ・レニー氏を指揮官に招き、空気を一新させた。
WTBの山下楽平はこうだ。
「単純に求められるスタンダードが高くなった。フィットネス(走り込み)でも、ストレングス(筋力強化)でも求められるスタンダードが高くなり、そこに達成できない者はエキストラで練習しないといけなくなりました。戦術理解もしっかりできてないとダメで…」
レニー本人は、着任後の取り組みをこのように振り返る。
「フィットネスレベルを上げなくてはいけなかった。さらにディフェンス、ベーシックスキルの質を上げる必要があった。9位のチームです。正直、修正しなくてはいけないところはたくさんありました」
12月の開幕に向け、調整を進める。11月11日には、昨季3位の横浜キヤノンイーグルスと練習試合を実施(東京・キヤノンスポーツパーク)。相手の堅守で好機を阻まれ12ー38と敗れるも、ミッドフィールドで向こうの反則を誘った連続攻撃には一定の手応えをつかんだか。レニーはこうだ。
「自分たちの現実を見ることはできた。そのうえで、自分たちが自分たちの求めている形から遠い位置にいるかと言えば、そうではないことも確認できた」
新体制の発足を前向きに受け止めるひとりが、FLのサウマキ アマナキだ。
この秋は日本代表としてワールドカップ・フランス大会に出て、「世界トップレベルのワールドカップでプレーしたことで、どのリーグに戻っても自信を持って戦えるようになると思います」と話す移籍2年目。代表活動を経てのチーム合流から約1週間を経て、このように語る。
「コーチからのスキルの落とし込みがうまくいっているので、アタックでスキルを使えています。すごく、変わってきている。(レニーは)厳しい。(合流して)まだ1週間なので、僕にはまだそんなに厳しくないですけど」
同じく日本代表組のSOの李承信は、こう補足する。
「チームメイトの目つき、雰囲気が全く違います。ひとりひとりのオフの過ごし方も変わってきました。ラグビーに費やす時間が増えてきました。チームのミーティング以外のところで自らクリップ(映像)を作ってコーチとミーティングをしに行くなど、選手がより主体的に動き出している印象があります」
組織に緊張感を植え付ける手法について、クラブ関係者は「限界を引き上げて、誰がどこまで頑張れるのか、成長できるのかを見ているのでは」。5月までのシーズンで結果を出すべく、レニーは持ち前の観察眼を研ぎ澄ませているのだろうか。
PRの具智元らこの日不出場の日本代表勢は、徐々に戦列復帰の見込みだ。ワールドカップの決勝を戦ったニュージーランド代表のLOのブロディ・レタリック、NO8のアーディ・サベアは、11月下旬に合流予定である。指揮官は「層の深さを作っている。まだ成長できる」と展望した。