セブンズ 2023.10.16

アジアセブンズシリーズ・タイ大会 セブンズ日本代表は男子2位、女子は2大会連覇。

[ 見明亨徳 ]
アジアセブンズシリーズ・タイ大会 セブンズ日本代表は男子2位、女子は2大会連覇。
決勝に進んだ男子セブンズ日本代表だったが、前半のリードを守り切れず優勝を逃した(Photo: Asia Rugby)


 10月14~15日、アジアラグビーセブンズシリーズ2023の第2ラウンドであるタイ大会が首都バンコクで開催された。男女8か国・地域の代表チームが参加。
 男子セブンズ日本代表は決勝で香港代表を前半12-7とリードするも、後半3トライを奪われ12-26で逆転負け。香港には9月のアジア競技大会準決勝でも7-12で敗れている。一方、女子セブンズ日本代表は同じく香港代表と決勝で対戦し、29-5(前半10-0)と圧倒して8月の韓国ラウンドに続き大会を制覇した。
 来月の11月18、19日に大阪市でおこなわれるパリ2024オリンピック・アジア予選に向けて、日本は男女で明暗が分かれた。

<男子>
 日本はプールAでフィリピンを24-0、難敵・中国を26-21で制したあと、UAEを38-14で退け1位通過した。準決勝でもプールB・2位のマレーシアを24-10で下し、順調に決勝へ駒を進めた。
 香港との一戦はアジア競技大会のリベンジとともにパリオリンピック予選を占う戦いでもあった。
 キックオフから3分間、日本陣内での攻防になる。そして、日本エリアに入った香港ボールのラインアウトとなり、ボールが一瞬ルーズになるが、香港のドゥヘルティが拾うとそのまま45メートルを駆け抜け、先制トライを奪った。日本は5分すぎ、ラインアウトから仕掛け林大成が左中間へ仕留めた。コンバージョンは吉澤太一が丁寧に蹴り込んで同点。さらに前半終了前、松本純弥がポスト右へ運び12-7と逆転し折り返した。

 しかし後半、日本のペナルティで勝負が分かれた。1分、日本は福士萌起が危険なタックルをとられてイエローカードを受けてしまう。再開後のスクラム、香港は左サイドを攻めクリスティーがファイブポインターに。ウェブのコンバージョンも成功し12-14と再逆転した。3分過ぎには日本陣22メートル内で日本ボールのスクラムだったが、香港がからみノットリリースを奪う。ウェブはすぐにリーへボールを渡し中央へ仕留めた。7分にもスクラムを起点にクリスティーがダメ押しの5点を奪い終了した。

 サイモン・エイモー ヘッドコーチは「個々のミスが多く、香港に負けたのは残念でしたが、そこから学んでいきたいと思います。これからは大阪でのオリンピック予選に集中し、今年最高の パフォーマンスをお届けできるよう全力で取り組んでいきます」とコメントした。
 林主将も「アタック・ディフェンス共に満足のいくパ フォーマンスではなく悔しい思いですが、チームとして成長し機能していることとしていないことをしっかりと把握し、来月のオリンピック予選に向けて進んでいきます」と11月に気持ちを切り替える。

 3位にはマレーシアが浮上した。韓国は期間が韓国の国体と重なったため、国体に出場しない高麗大がチームを作り参加した。プール戦を1勝2敗で下位トーナメントに回り、7位・8位決定戦でもシンガポールに5-36で敗れ最下位。オリンピック予選は香港を中心に日本、まだ今季日本と対戦がないアジア競技大会銀メダルの韓国が切符を争うことになりそうだ。

女子セブンズ日本代表は決勝で5トライを挙げ香港を圧倒した(Photo: Asia Rugby)

<女子>
 日本が順当に頂点に立った。プール戦ではマレーシアを36-0、カザフスタン26-7と下し、難敵の香港は17-7で破った。
 苦しんだのは準決勝、地元タイ戦だった。前半3分、タイは、日本エリアでのスクラムをオープンサイドへ。右隅にメチョックが飛び込んだ。前半はタイのリードとなった。
 後半、日本は打開した。キックオフ後、自陣のラックから三枝千晃がボールを受けると、80メートルを走り切って中央へトライし、コンバージョンも決めて7-5と逆転。3分の水谷咲良のトライは須田倫代のラストパスがスローフォワードとなり認められなかったが、終盤、ゴール前へ持ち込むとタイが反則を犯してPKを得、大橋聖香がタップしポスト右へ仕留め、14-5と接戦を制した。

 決勝の香港戦。開始1分30秒で田中笑伊が原わか花とのパス交換からトライし先制。6分、自陣スクラムからボールを手にした吉野舞祐が大きくゲインすると三枝が仕留めた。後半も2分に自陣10メートルのスクラムを起点にSH原が持ち出し、キレの良いランで60メートル独走し中央インゴールへ。これで17-0とすると、さらに2トライを追加し、香港を試合終了前の1トライに抑え29-5で快勝した。

 今大会、ヘッドコーチ代行を務めた兼松由香アシスタントコーチは「今大会のチームは、初キャプテンの吉野選手を中心に、さまざまな想いを持ったほかの選手11名もバイスキャプテンとして、短期間でチームを創り上げてくれました。優勝という目標だけではなく、自分たちが今ここで戦う目的を全員で確認し、オフフィールドでも 最後までサクラセブンズを体現してくれた選手たちを誇りに思います」と選手を称えた。
 吉野キャプテンは、「日本がこだわり続けてきたリアクションスピードやプレーの質を体現していこうと臨んだ大会。一人ひとりが体現しようとしたことが優勝という結果につながったと思います。 オリンピック予選に向けて、またこれからチーム全員で頑張っていきます」とコメントした。

 3位決定戦は、アジア競技大会の覇者である中国がタイを19-0で制した。女子は日本、中国、香港、タイの4強がオリンピック争いを続ける。

PICK UP