ワールドカップ 2023.10.15

優勝候補同士の死闘制したのはNZ! 最後は5分以上耐え世界1位アイルランド下し準決勝進出

[ 編集部 ]
優勝候補同士の死闘制したのはNZ! 最後は5分以上耐え世界1位アイルランド下し準決勝進出
攻守にわたる奮闘でオールブラックスをけん引したアーディー・サヴェア(撮影:松本かおり)


 接戦が予想されたラグビーワールドカップ2023の準々決勝第2試合は、死闘となった。パリ郊外のサンドニにあるスタッド・ド・フランスで現地時間10月14日、世界ランキング1位のアイルランド代表と同4位のニュージーランド代表が激突。最後まで手に汗握るハイレベルの攻防が続き、8年ぶり4度目の優勝を狙うニュージーランド代表“オールブラックス”が28-24で制した。
 アイルランド代表は、今大会を最後に引退することを表明していたキャプテンのジョニー・セクストンを中心に初優勝を目指したが、またしてもトップ4への壁に阻まれ、敗退となった。

 序盤、ニュージーランドは堅守のアイルランドに対して根気よく30フェイズ重ね、トライは奪えなかったものの、相手に反則がありペナルティゴール(PG)で先制した。14分にはNO8アーディー・サヴェアがブレイクダウンで奮闘してショットチャンスをつかみ、ハーフウェイからCTBジョーディー・バレットがゴールポストの間を通して加点した。

 アイルランドは16分に連続攻撃でゴールに迫ったが、ニュージーランドはLOブロディー・レタリックがボールを奪い返してピンチを脱出。18分にはキャプテンのFLサム・ケインもターンオーバーを決め、黒衣の男たちが活気づいた。

 流れを良くしたニュージーランドはさらに19分、FBボーデン・バレットがディフェンス裏に蹴ったボールを自ら確保し、クイックリサイクルでチャンスを広げ、ボールをつないでWTBレスター・ファインガアヌクがフィニッシュ。SOリッチー・モウンガが厳しい角度からのコンバージョンを決め、貴重な2点を追加した。

 対するアイルランドは、22分にキャプテンのSOセクストンがPGを決めてチームを落ち着かせ、27分にもアドバンテージを得てテンポよく攻め込み、CTBバンディー・アキがディフェンダーを次々とかわしてトライを奪い返した(コンバージョン成功)。

 しかし、ニュージーランドは33分、WTBウィル・ジョーダンの「50:22キック」により敵陣深くでのアタックチャンスをつかむと、ラインアウトを起点に攻めてゴールに迫り、テンポよくボールを動かし右外にいたNO8サヴェアがコーナーに飛び込んでトライを決めた。

 だが、このままニュージーランドペースとはならず、37分、SHアーロン・スミスが不正なプレーをしたと判定され、イエローカードで10分間の退出となってしまう。
 数的有利となったアイルランドは、39分に敵陣深くに入りラインアウトから攻めると、モールからボールを持ち出したSHジェイミソン・ギブソンパークがギャップを抜けてトライを決め、SOセクストンのコンバージョンも成功で1点差に詰めて折り返しとなった。

ニュージーランドのディフェンスを破るアイルランドのバンディー・アキ(撮影:松本かおり)

 後半、両チームとも粘り強いディフェンスで手に汗握る攻防が続いたが、ニュージーランドは52分(後半12分)、NO8サヴェアがブレイクダウンで奮闘してピンチを脱出すると、自陣でのラインアウトからのムーブでSOモウンガが抜け、ビッグゲイン、パスをもらったWTBジョーダンがゴールへ走りきり、追加点となった。サイドライン近くからのコンバージョンをCTBジョーディー・バレットが決め、25-17と点差を広げた。

 しかし、粘るアイルランドは64分、敵陣深くに入ってラインアウトからモールで押し込み、ペナルティトライを獲得。再び1点差に詰めた。ニュージーランドにはイエローカードが提示され、またも1人少なくなってしまった。

 だが、69分、ハイボールをめぐってアイルランドに反則があり、ニュージーランドはCTBジョーディー・バレットがPGを決めてリードを広げる。

 アイルランドは71分に敵陣深くに入り、ラインアウトからドライビングモールでゴールラインを越えたが、ニュージーランドはグラウンディングを許さなかった。

 そして試合終了間際、アイルランドは5分間以上、根気よく37フェイズ重ねたが、ニュージーランドも辛抱して規律よくディフェンスし続け、最後はオールブラックス史上最多キャップ獲得者となった35歳のLOサム・ホワイトロックがブレイクダウンでからんで相手の反則を引き出し、死闘はノーサイドとなった。

 敗れたアイルランドのセクストン主将は、「仲間たちと国民をとても誇りに思っている。私たちはこれ以上のことはできなかっただろう。僅差だった。 彼ら(ニュージーランド)は数回のトライで我々を見事に打ちのめした。それがチャンピオンチームのやることだ。 彼らがすばらしいチームであることはわかっていたが、残念ながらあと一歩及ばなかった」と熱闘を振り返った。

 そして、勝ったニュージーランドのケイン主将は、「本当に興奮している。クレイジーな試合だった。83分、84分におよんだ壮絶なアームレスリングで、両チームとも死力を尽くした。最後に30フェイズ以上も自陣で守ることができたのは非常に大きかった。なんてすばらしい雰囲気、すばらしい試合、すばらしい大会に参加しているんだろう。もう一週過ごせることが本当に嬉しい」とコメントした。

 準決勝進出となったニュージーランド代表は、現地時間20日に同会場で、南半球のライバルであるアルゼンチン代表と対戦する。

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