【再録・解体心書⑥】もう一度、あの舞台へ。シオサイア・フィフィタ
大学でもその突破力は抜きんでていた。1年からすぐにレギュラーに。2年時には大学選手権準決勝でその帝京大を破って決勝に進出。日本一に手がかかったが、明大に17-22で涙をのみ準優勝。3年生の昨季は準決勝で早大に大敗した。
ラストシーズン、フィフィタは副将としてキャプテンの松岡大和を助ける立場に。
「サンウルブズで成長して戻ってきた」と小松監督も認める。
「BKは拓朗(松永)がリーダーなので、サポートします。まだ関西リーグがどうなるかわかりませんが、何とか試合をしたい。今年は日本一しか考えていない。とにかく早く試合がしたいですね」
来季はプロフェッショナルプレーヤーとして、日本でプレーする。
「いい環境でラグビーができるチームを考えています。もしいけるなら、もう一度スーパーラグビーにも挑戦したい」
兄のナフェさんはいまシドニーで働いており、オーストラリアでプレーすることになれば心強い存在だ。ラグビースタイルが好きなのはクルセイダーズ。
「スキルもあるし、きっとすごく勉強になると思う。6月から始まったアオテアロアも楽しみです。NZのチームはみんな強い。どこが優勝するかわからない」
今でも合宿所ではスーパーラグビーの中継に釘付けだ。そしてもう一つの大きな夢がある。日本代表として3年後にフランスで開かれるW杯でプレーしたい。
「去年のW杯もずっと観ていました。いつかその舞台に立ちたい。次のW杯を考えるなら、今年のテストマッチに出るメンバーに選ばれたい」
尊敬する選手は、トンガカレッジの2年先輩だったアタアタ・モエアキオラ。なにくれとなく面倒をみてくれた。だから日本代表でもアタと一緒にプレーしたいと願っている。
新型コロナウイルスの影響で前期はオンライン授業になったが、卒業のメドも立った。卒論は、日本とトンガのラグビー比較がテーマだ。
先が読めない今季の大学ラグビー。なんとかもう一度、漆黒のジャージーを着て思い切りプレーしたい。