国内 2023.10.06

【会見要旨】釜石が名称変更。「日本製鉄釜石シーウェイブス」に。

[ 編集部 ]
【会見要旨】釜石が名称変更。「日本製鉄釜石シーウェイブス」に。
10月4日に会見に出席した桜庭GM(一番左)と新加入選手ら(提供:日本製鉄釜石シーウェイブス)

 10月2日、ディビジョン2に所属する釜石シーウェイブスが名称変更することを発表した。新たな名前は、メインスポンサーである日本製鉄の企業名を頭につけ、「日本製鉄釜石シーウェイブス」(英語表記:NIPPON STEEL KAMAISHI SEAWAVES)となる。
 呼称は釜石SWで変わらない。

 4日には会見を開き、新加入の選手とスタッフも発表した。

 国内移籍組は4人。豊田自動織機シャトルズ愛知からPR山田裕介(175㌢・105㌔、25歳)、日野レッドドルフィンズからHO郷雄貴(174㌢・99㌔、34歳)、CTBトンガ・モセセ(173㌢・105㌔、31歳)、そしてトヨタヴェルブリッツから元日本代表のWTB/FBヘンリー・ジェイミー(184㌢・100㌔、33歳)が加入する。

 海外からは、元パナソニックでクルセイダーズのLO ハミッシュ・ダルゼル(201㌢・120㌔、27歳)と、マナワツ代表のPRフリン・イェーツマナワツ(188㌢・125㌔、23歳)が加わる。

 また、新加入スタッフには2016年の日本代表とサンウルブズのディフェンスコーチを務めたネイサン・メイジャーが入閣。主にBKを指導する。

 須田康夫HCは、「FWの強化は非常に急務で、選手層も含めて非常に大事になってくる中で、経験豊富な選手が入ってくれた。FWの総合力が上がると感じている。
 BKはどちらもカテゴリAでプレーできる選手。期待していますし、BKの大型化も見込める。今季フォーカスしているコリジョンのところでは彼らがディビジョン2で力を発揮してくれると思う」と話した。

 会見では名称変更に関する質問が集中。冒頭では、桜庭吉彦GMが名称変更についてこう説明していた。

「10月2日発表した名称変更については、リリースされた内容の通りです。少し考え方や背景をお話しさせていただきます。
 われわれのメインスポンサーである日本製鉄、長きに渡ってご支援いただいてきた。今回その立ち位置がより明確になり、支援を継続的に力強く推進していくことがこのメッセージ(名称変更)に表れていると理解している。
 一方で2001年に所有から支援と移行し、スタートしたクラブではありますが、発足時の理念や地域共生型のクラブチームであることに変更はありません。あり方やガバナンスも変更はありません(エンブレムやロゴの変更もない)。
 まずは今までクラブ発足以降、チームを支えていただいたファンやスポンサー、選手に改めて感謝申し上げます。今後もご支援をよろしくお願いいたします。
 われわれの使命はラグビーを通じてファンやスポンサー、そして地域の課題解決に貢献することだと思っている。今回の名称変更をポジティブに捉え、地域貢献、地域の課題解決を力強く前に推進していきたいと思っています」

(以下、質疑応答。回答はすべて桜庭GM)
――名称変更について、いつぐらいから話し合いがあったのか。

 昨シーズンが終わった後でシーズンの報告等をする中で、だと思います。6月以降になります。

――企業名をつけることは、どちらから提案があったのか。

 どちらからということではありません。対話をする中でこのタイミングになりました。押し付けられたわけでも、われわれからお願いしますと言ったわけでもないです。

――バレーボールの堺ブレイザーズも、同日付で日本製鉄の企業名がつきました。企業サイドからの動きにも見えますが。

 同じような対話をしていく中で名称変更にいたったと伺っています。あくまで「対話」の中で名称変更にいたったとご理解いただければと思います。

――今季から企業名を外してより地域色を押し出すチーム(レッドハリケーンズ)も出てくる中で、いまあえて企業名をつけるわけは。

 現状、リーグワンの他のチームにも企業名がついている。われわれとしては2001年から企業名を外して地域クラブとして歩んできた歴史や背景があります。
 ラグビーを通してより強く愛されるチームになって地域に貢献する、ということを考えた時には企業名をつけたことでのメリットは大きいと考えています。

――より多くのサポーター、スポンサーを獲得することが、リーグワンとなって事業が拡大しているなかで大事だと思うが、チーム名に企業名が入ることで他のスポンサーが付きにくくなるのでは。

 今回の名称変更にあたって、スポンサーの方にも経緯や内容について説明しています。みなさんご理解いただいて、引き続き協賛の方を継続していただけるとお話しいただいた。
 さらに新しいスポンサーを獲得する上では、確かに抵抗感が増すかもしれないが、われわれがこの岩手県釜石市の小さな町でリーグワンにチャレンジすることに共感いただけるようなプレゼンすることで、事業規模の拡大を図っていきたいと考えています。

――スタジアムの場合ですと、企業名をつけることでその権利料(ネーミングライツ)を得ている。今回の釜石の場合は、支援金の増額や支援の形が変わったりするのか。

 その点に関してはコメントを差し控えさせていただければと思います。ただ、こうして新たに日本製鉄所属の選手を採用できたことは事実。選手が安心して長くプレーできるような環境整備なども含めて、しっかりと支援をいただいています。
 メインスポンサーとして力強く継続的に支援を推進していただくことで、競技力、チーム力は上がると思っている。試合においても良い結果がもたらされると思っている。
 それが地域の皆さんにとっては、あらためてチームを身近に感じる、もっと応援したいと感じるチームになれると思っています。
 それによって日本製鉄の目指す地域貢献、われわれが目指す地域貢献、双方が地位貢献という形でメリットを享受できると思っています。

――ネーミングライツの場合ですと何年契約みたいな形になるが。

 今回はそういう形ではありません。

――環境整備とは具体的に。

 選手がリラックスしてミーティングできる環境であったり、練習前後に選手間でよりコミュニケーションが取れるような環境を整備することを検討している。
 また現在のクラブハウスでは選手35人想定のトレーニングルームでしたが、現在は50人弱の選手規模になりましたので、課題のひとつとして対応をしているところです。

――今後選手の獲得枠が広がるなど、そういった見通しはあるのか。

 現状は日本製鉄所属の選手は増えている。契約選手(プロ選手)の割合も昨季に比べて増えてると思います。昨季は半分に満たなかったが、今季は半分くらいが契約選手に変わってきている。そういった面でのメリットもあると思います。

PICK UP