ワールドカップ 2023.10.04

ノックアウトステージでの出番かけた争いにも注目。オールブラックスがウルグアイ戦メンバーを発表

[ 松尾智規 ]
ノックアウトステージでの出番かけた争いにも注目。オールブラックスがウルグアイ戦メンバーを発表
途中出場ながら、イタリア戦で好パフォーマンスを見せたダミアン・マッケンジー。ウルグアイ戦では15番で先発する。(撮影/松本かおり)



 ラグビーワールドカップ2023(以下、RWC2023)は全日程の3分の2を終えた。9月29日(現地フランス時間)の試合でプールAに入っているニュージーランド(以下、NZ)代表、オールブラックスは、イタリア相手に前半7トライで試合を決めた。

 後半も、イチミリたりとも手を抜かず7トライを追加した。
 近年力を付けてきているイタリア相手に96-17のビックスコアの圧勝。世界中を驚かせた。

 この大勝にNZ国内のラグビーファンはご機嫌だった。NZ時間では、朝8時からのキックオフだったが、午前中からアルコールも進んだようだ。TVのニュースやトークバックラジオでも盛り上がった。
 RWC2023の開幕戦でフランスに完敗していただけに、イタリア戦のパフォーマンスを見たキウイ(NZ人のニックネーム)はホッとした。

 大勝後もチーム(オールブラックス)からは、謙虚な言葉が並んだ。
SOリッチー・モウンガは、「イタリア(試合結果)に満足するのではなく、次のステップに進み、それをさらに発展させていくことです」と語ったように、ほぼ確定している準々決勝ではなく、プール最終戦のウルグアイとの試合(10月5日)に目を向けた。
 あくまでも「挑戦者」と言う気持ちがうかがえる。

オールブラックスの『X』(旧Twitter)より

◆ローテーション再び! 代表2年ぶりのブラッカダーがRWCデビューへ

 今週からプール戦の最終ラウンドに入る。
 NZ国内では、オールブラックスがノックアウトステージに向けて主力の一部を休ませるのか、それともベストメンバーで行くのかの論議が活発になっていた。

 そんな中、試合の2日前(10月3日)にウルグアイ戦のメンバーの発表があった。
 前週のイタリア戦に続いて9人の先発メンバーの変更となりローテーション再びとなった。

 指揮官イアン・フォスターHCは、LOブロディー・レタリック、NO8アーディー・サヴェア、SHアーロン・スミス、CTBリーコ・イオアネなど、主力の一部を休ませる選択をした。

 FWから見ていくと、イタリア戦でケガから復帰を果たしたPRタイレル・ロマックス、FLサム・ケインが先発メンバーに戻ってきた。
 先週、長期のケガから復帰したFLシャノン・フリゼルは2試合続けて背番号6を付けて出場。プレータイムが不足しているだけにノックアウトステージに向けての大事な調整となりそう。

 LOの先発は、イタリア戦からがらりと変わり、150テストの節目となるサム・ホワイトロックがトゥポウ・ヴァアイとコンビを組む。NO8にはルーク・ジェイコブソンが入り、プール最終戦でアピールする機会を与えられた。

 BKでは、休養のスミスに代わりキャム・ロイガードが背番号9をつけ、SOリッチー・モウンガとハーフ団を組む。ノックアウトステージに向け、ロイガードのさらなるレベルアップが期待される。

 その他の先発メンバーの変更は、レスター・ファインガアヌクが11番、アントン・レイナートブラウンが13番、そしてイタリア戦でも良いパフォーマンスを披露したダミアン・マッケンジーが背番号15をつける。

 フォスターHCは、イタリア戦でのマッケンジーのパフォーマンスに満足しているようだ。
 ウルグアイ戦では15番で先発。控えの選手を投入する後半からSOの位置にシフトチェンジとなるだろう。

 大幅にメンバー変更がありながらも、控えには、HOサミソニ・タウケイアホ、LOスコット・バレット、FL/NO8イーサン・ブラッカダー、SO/FBボーデン・バレットなど、レギュラークラスで活躍できるメンバーを含む豪華なベンチとなる。

 その中でも、途中からスコッドに加わったブラッカダーに注目したい。
 ここ数年、何度もケガに泣かされてきたブラッカダー。しかし、出場すれば必ず良いパフォーマンスを見せていた。ケガがなければレギュラーポジションを確保していてもおかしくない選手だ。

 ブラッカダーの復帰は、近年のオールブラックスの課題であったフィジカルバトルでプラスになる事が大いに期待できる。
 ブラッカダーは、「とても試合に飢えている」と語り、ウルグアイ戦で大暴れする準備ができている様子だ。2年ぶりにブラックジャージに袖を通す。そのパフォーマンスが楽しみだ。

 主力を何人か休養させているものの、今回のメンバーはノックアウトステージを見据えてのセレクションも兼ねている。
 フォスターHCの先発メンバーは、ほぼほぼ固まっていると思われる。しかし、控え選手の選考には、それぞれが良いパフォーマンスをしているので頭を悩ませている様子だ。

 当落線上の選手として挙げると、上記で紹介したブラッカダーをはじめ、HOタウケイアホ、WTBファインガアヌク、CTBレイナート・ブラウン、この4選手は、ノックアウトステージでメンバー入りをかけての大事な試合となるので要注目になりそう。
 ウルグアイ戦は最後のアピールの場。イタリア戦のように最後まで手を抜かないプレーが見れるだろう。

 オールブラックスは、ウルグアイ戦でボーナスポイントをとって勝利すれば、他のチームの勝敗に関係なく準々決勝に進むことが確定する。
 ベストメンバーではなかったものの、チーム力充実のフランス相手に12-27と健闘したウルグアイがどこまでオールブラックスに食らいつけるか。
 それとも、イタリア戦に続いて大暴れするオールブラックスが見ることができるか。

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