日本代表屈指のハードワーカー。ジャック・コーネルセンの存在感
この日も日本代表の屋台骨を支えた。4番のジャック・コーネルセンだ。
メンバーの平均体重で約9キロも上回るサモア代表へ、果敢に刺さった。踏ん張った。
「相手のフィジカルが強かった。身体中が痛いです。何日間かしっかり休まないと、治らないです」
コーネルセンが退いた後半23分以降、レッドカードで数的不利を強いられていたはずのサモア代表は突進また突進。結局は日本代表が28-22と逃げ切ったものの、一時17点あった勝者のリードはじわじわと詰められていた。
「80分間をかけて(サモア代表のプレッシャーが)来るとわかっていた。自分たちも自分たちのラグビーをし続けなければいけなかったですが、彼らは彼らで最後まで勢いを止めず、圧力をかけ続けてきました。フィジカルでした」
仲間、さらには対戦国の奮闘をこう振り返るコーネルセンは、2017年にオーストラリアから来日した28歳だ。
最初に所属先の埼玉パナソニックワイルドナイツ(現名称)のテストを受けた時は、当時の日本人スタッフが心配になるほど細身だった。
しかし一時帰国から戻るや、サイズアップに成功した。ワイルドナイツのS&Cコーチを務める吉浦ケイン氏のトレーニングに愚直に取り組み、2021年、日本代表に初選出された。
ワールドカップは今回が初出場も、ここまで2勝1敗のチームで出色の働きを示す。
FW第2、3列の複数の位置をカバー。195センチ、110キロと、2メートル級がひしめく国際舞台にあっては大柄とは見られないなか、渋く光る。
3試合を通し、実に43本ものタックルを放った。
NO8に入った初戦では、自陣から果敢に攻めてくるチリ代表に対し両軍最多の19本を繰り出した。
LOへ回ったイングランド代表との2戦目では、キックを多用するチーム戦法に沿って15本を放った。その時点では、全チーム中1位のタックル成功数を記録。チームとして防御の時間が多かったサモア代表戦でも、9発のタックルがあった。
奮闘ぶりについて聞かれても、淡々と応じるのみだ。
「(相手が)自分のところに来るから、タックルする。そういう形で自分の仕事をやり続けているだけです。周りの選手がしっかりと仕事をしてくれるから、自分も自分の仕事に集中できるんです」
10月8日には、スタッド・デ・ボージョワール(ナント)で予選プール最終戦に挑む。次に対戦するアルゼンチン代表も、コンタクトの激しさで知られる。ぶつかり合いは焦点のひとつになりそうで、コーネルセンのハードワークは不可欠となろう。
「何日間か、しっかり休む。次戦はマストウィン。今大会で一番、大事な試合になると思います。勝つためにいい準備をします」
本人はそう述べて、サモア代表戦のあったスタジアム・ド・トゥールーズを後にした。