合同チームに190超えの両LO。マクレラン奨音&今田武蔵[南山高校2年]
リーグワンのチームでもなければ、強豪大学でもない。
愛知県にある中高一貫の私立校、南山高校には190㌢超えのロックが2枚揃う。
ともに2年生の今田武蔵とマクレラン奨音(ショーン)だ。
日本人の母とスコットランド人の父を持つマクレランは190㌢、100㌔。いつも同級生より頭ひとつ分、背が高かった。小学校卒業時にすでに175㌢。止まることなく伸び続けた。
一方の今田は192.8㌢、101㌔。小学6年時に164㌢とマクレランほど大きくはなかったが、中学2年から3年にかけて急成長。一気に190㌢近くまで伸びた。マクレランを追い抜き、まだまだ成長中という。
ラグビーファンにとってはあまり聞き馴染みのない学校かもしれないが、それもそのはず。南山高校は長らく合同チームだ。
9月9日から始まる花園予選でも、愛知朝高と星城とチームを組む。
単体では「中高合わせて10人いるかいないか。高校だけだといつも練習しているのは5、6人」と少ない。勉学に熱心な学校ゆえに文化部の方が人気が高く、勧誘活動もうまくいかないそうだ。
中学からラグビー部に所属する今田(こんた)は、「やれるメニューも限られているので練習の質が高いとはいえない」と話すも、辞めたいと思ったことは一度もないという。
「この体だとチヤホヤされる(笑)し、相手も吹っ飛ばせる。時に倒されてしまうこともあるので、それが悔しくてまた頑張ろうと思えたり。それが楽しいです」
試合後には決まって相手に「デカいね」と言われるのも嬉しい。
高校からマクレランを誘ったのも今田だ。「こんなデカいやつ、そりゃ欲しいじゃないですか」と笑う。
「ずっと誘っていたけど、1年かかりました」
マクレランは、中学時代はアメフト部だった。南山中はマクレランが入学する前年に、甲子園ボウルの前座試合としておこなわれる中学生招待試合に初出場を果たした強豪。その分、練習はタフだった。
中学3年時の秋の大会で敗れたこと、同期が続々と退部したことを機に、マクレランもアメフトから卒業。約1年間は帰宅部としての日々を過ごした。
今田の勧誘がはじめ、マクレランの心に響かなかったのは「遊ぶのが楽しくて(笑)、帰宅部の味を占めてしまった」からだ。
「ただ、秋の文化祭が終わったら入ると約束をしていたし、こんなんで高校生活を終えたら面白くないなと。どうせなら部活で楽しもうと思いました」
2人が揃って目をつけられたのが、7月30日から8月1日に開かれたビッグマン&ファストマンキャンプだった。ともに大いに刺激を受けたようだ。
「普段は体もでかいので、俺らできるかもと思うことの方が多いです。でもここでは、自分たちがかわいく見える。この世界を知れたのは貴重な経験です」(マクレラン)
「足の太さが全然違う。みんな、パンパン。ウエートが足りてないと痛感しました」(今田)
目線が上がった。普段はエンジョイ重視の部活だけれど、「より強くなりたい」と思えるキャンプになった。
「大学でも競技を続けたいと思うようになりました。このキャンプに選ばれたのは大きい」(マクレラン)
「高校代表も目指せるなら目指したい。このキャンプで一歩踏み出した感じがある」(今田)
同キャンプも始まって6年目。日本ラグビー界への貢献は、ますます大きくなっている。
2人は間違いなく、そのモデルケースだ。