ワールドカップ 2023.09.09

チリ代表“ロス・コンドレス”の魂を見せる! ラグビーW杯初出場、初戦の相手は日本代表。

[ 編集部 ]
チリ代表“ロス・コンドレス”の魂を見せる! ラグビーW杯初出場、初戦の相手は日本代表。
コンドルのタトゥーを見せるチリ代表キャプテンのマルティン・シグレン(Photo: Getty Images)


 楕円球の世界に新たな歴史が刻まれる。チリの情熱的な男たちが初めてラグビーワールドカップの舞台に立つのだ。アルゼンチン代表、ウルグアイ代表に続いた南米勢3チーム目の快挙。世界では26番目のワールドカップチームとなった。国鳥コンドルのエンブレムを胸につけ、“ロス・コンドレス”の愛称で知られるチリ代表は、2023年9月10日にフランスのトゥールーズで、初めてのラグビーワールドカップを戦う。歴史的一戦に全力で挑む相手は、日本代表だ。

 ヘッドコーチを務めるのは、ウルグアイのレジェンドであるパブロ・レモイネ。かつてプロップとしてワールドカップ2大会でプレーし、2015年大会は母国代表の指揮官として参加した。2018年8月末に現職に就いてチリ代表を大舞台に導いたレモイネ ヘッドコーチは、「チリは競争力があることをワールドカップで証明したい」と語っている。

 海外のビッグクラブに在籍している選手はいない。それでも、キャプテンのFLマルティン・シグレン、PRマティアス・ディトゥス、そしてFBイニャキ・アヤルサはヨーロッパでの経験を代表チームにもたらした。さらに、34歳のパブロ・ウエテはかつてニュージーランドで武者修行し、フランスでも学んだベテランLO。SHマルセロ・トレアルバは北米プロのメジャーリーグラグビーに参戦したことがある。その他の選手は南米リーグに属するセルクナムで一緒にプレーし、切磋琢磨しながらコンビネーションを磨いてきた。
 チリ代表トップのラインブレイカーであるアヤルサは、「私たちのほとんどは幼い頃からの知り合いで、長い間一緒にプレーをしてきた。団結力が我々の強みだと思う」と語る。「相手のことよりも自分たち自身に集中している。もちろん、満員のスタジアムや人々の叫び声など、我々にとって新たな出来事が起きるだろうが、フィジカル面でもメンタルの部分でも確実に準備を進めてきた。可能なかぎり最高のレベルで立ち向かいたい」

 日本代表との初戦で10番をつけるロドリゴ・フェルナンデスは、2022年のワールドラグビー年間最高トライ賞を受賞した男だ。アメリカ代表とのワールドカップ予選プレーオフにて、雨でぬかるみとなったグラウンドを鋭いステップとスピードで次々とタックラーをかわし、7人抜きで約70メートル走りきってスタジアムを沸かせた。そんな強気の10番は、ディフェンス時はFBに位置することもあってキックレシーブからのカウンターを得意とし、日本にとって要警戒のひとりとなりそうだ。

 ワールドカップ開幕直前に193センチ、103キロの大型WTBニコラス・ガラフリッチが負傷で離脱となったのは痛いが、弟のCTBマティアス・ガラフリッチが日本戦で12番をつけて兄の分まで奮闘するはずだ。「我々はディフェンスが特徴のチームだ。この大会でそれを示して、我々の強さを人々に語ってもらいたい」

 3番をつける体重127キロのマティアス・ディトゥスは、フロントローのなかで最も経験豊富で、スクラムも非常に強いが、ボールキャリアーとしても魅力的な選手。
 FLライムンド・マルティネスはブレイクダウンで果敢にジャッカルを狙い、疲れ知らずのハードタックル連発でチームを鼓舞する。
 そして、6番をつけるキャプテンのマルティン・シグレンは堅固なディフェンダーで、ラインアウト、ボールキャリーでも仕事量が多い。ゴールに迫ればチャンスを見つけてピック&ゴーでトライを狙う。そして、独特の冷静さがある頼もしいリーダーだ。

 日本戦ではいかにボールを奪うかに焦点を当てる。犠牲を払い、団結して一つになる。チリ代表“ロス・コンドレス”の魂を見せる時が来た。

ラグビーワールドカップ初出場を決め誇らしげなチリ代表(Photo: World Rugby)

≪ラグビーワールドカップ2023 チリ代表≫
※ 選手名の前に記した【 】内数字は日本戦の背番号

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【1】ハビエル・カラスコ Javier Carrasco(セルクナム/26歳/19 caps)
【17】サルバドール・ルエス Salvador Lues(セルクナム/23歳/11 caps)
【3】マティアス・ディトゥス Matias Dittus(CAペリグー〔FRA〕/30歳/21 caps)
【18】イニャーキ・グルチャガ Inaki Gurruchaga(セルクナム/27歳/11 caps)
ヴィトリオ・ラストラ Vittorio Lastra(セルクナム/27歳/22 caps)
エステバン・イノストローサ Esteban Inostroza(セルクナム/29歳/1 cap)

<HO>
【2】ディエゴ・エスコバル Diego Escobar(セルクナム/23歳/5 caps)
【16】アウグスト・ボフメ Augusto Bohme(セルクナム/26歳/22 caps)
トマス・ドゥサイジャン Tomas Dussaillant(セルクナム/32歳/37 caps)

<LO>
【5】ハビエル・エイスマン Javier Eissmann(セルクナム/26歳/21 caps)
【19】パブロ・ウエテ Pablo Huete(セルクナム/34歳/30 caps)
【20】サンティアゴ・ペドレーロ Santiago Pedrero(セルクナム/22歳/6 caps)
アウグスト・サルミエント Augusto Sarmiento(セルクナム/30歳/15 caps)

<FL/LO>
【4】クレメンテ・サーベドラ Clemente Saavedra(セルクナム/25歳/20 caps)

<FL>
【6】マルティン・シグレン Martin Sigren(ドンカスター・ナイツ〔ENG〕/27歳/27 caps) ※主将
【21】イグナシオ・シルバ Ignacio Silva(セルクナム/34歳/38 caps)

<FL/NO8>
【7】ライムンド・マルティネス Raimundo Martinez(セルクナム/23歳/10 caps)
【8】アルフォンソ・エスコバル Alfonso Escobar(セルクナム/26歳/18 caps)
トマス・オルチャルド Thomas Orchard(セルクナム/26歳/12 caps)

<SH>
【9】マルセロ・トレアルバ Marcelo Torrealba(セルクナム/27歳/12 caps)
ニコラス・へレロス Nicolas Herreros(セルクナム/33歳/5 caps)

<SH/SO/FB>
ベンハミン・ビデーラ Benjamin Videla(セルクナム/22歳/uncapped)

<SH/WTB>
【22】ルーカス・カルバージョ Lukas Carvallo(セルクナム/22歳/6 caps)

<SO/FB>
【10】ロドリゴ・フェルナンデス Rodrigo Fernandez(セルクナム/27歳/23 caps)

<SO/CTB/FB>
フランシスコ・ウロス Francisco Urroz(セルクナム/30歳/11 caps)

<SO/WTB/FB>
【14】サンティアゴ・ビデーラ Santiago Videla(セルクナム/25歳/25 caps)

<CTB>
【13】ドミンゴ・サーベドラ Domingo Saavedra(セルクナム/25歳/24 caps)

<CTB/WTB>
【12】マティアス・ガラフリッチ Matias Garafulic(セルクナム/23歳/12 caps)
【23】ホセ・イグナシオ・ラレーナス Jose Ignacio Larenas(セルクナム/33歳/47 caps)
パブロ・カサス Pablo Casas(セルクナム/31歳/15 caps)

<WTB>
【11】フランコ・ベラルデ Franco Velarde(セルクナム/28歳/16 caps)
クリストバル・ガメ・ヒメネス Cristobal Game Jimenez(セルクナム/21歳/1 cap)

<FB/WTB/CTB>
【15】イニャキ・アヤルサ Inaki Ayarza(SAXVシャラント〔FRA〕/24歳/14 caps)

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