欧州ファンを味方につけて、イングランド戦に向かえ。五郎丸歩、日本代表へエール。
元日本代表の五郎丸歩さんが9月7日、NHK放送センターでW杯の見どころを語った。
冒頭、「みなさんは日本代表のことを聞きたいと思いますが」と笑った上で、「フランスとニュージランドの開幕戦に興奮している」と話した。
フランスが過去に2度W杯でNZを破っている歴史的背景を説明し、「その試合を小さい時に見ていた。ニュージーランドって負けるのかと感じたことを覚えている」と胸の高鳴りを伝えた。
過去9大会で南半球の国が8大会を制していることにも触れ、「(北半球の)フランスが自国開催で念願の優勝を期待している空気感を感じる」と語った。
ただ、五郎丸さんは「充実し過ぎている」として優勝国に南アフリカを挙げた。「まずレッドカードが全然出ない。日本がやりたいような速いブレイクダウン、低いプレーを大きな選手たちがやっている。それをされたら日本はやりようがないというくらい完成度が高い」
日本代表の印象について聞かれると、「世界と普通に戦える肉体や精神状態にあるメンバーが揃ってきた」と答えた。
「2019年の時と比べ、勝敗は圧倒的に負け越しているけど、ハイパフォーマンスユニオンに入れてもらえたことで、これまでと全然違うレベルの相手と戦うことができた」
この夏の国内5戦とイタリア戦では、1勝5敗という結果に終わったが、「スタッツは悪くない」という。
「リーグワンが終わってからは、国内で戦う選手を世界レベルに上げなくてはいけなかった。だから基本調整はしていない。追い込むだけ追い込む。なので結果は出ていないが、スタッツは悪くない。パズルのピースは揃ってるので、あとはどう組み立てるか。期待していいと思っています」
唯一、「崩壊中」と苦言を呈したのはBKのディフェンスだ。「イタリア戦から2週間でどのくらい修正できるか。鍵になるのは中村(亮土)選手と松島(幸太朗)選手。彼らにしっかりリードしてほしい」と話した。
ジャパンが前回大会に続き、プールステージを突破するためには、「レッドカードを出さないことが大事」と言った。
「他国と比べて層は薄いので。この大会の大きなキーワードになるとも思う」
その上で、日本はプール戦「3勝1敗」と予想した。
「体の疲労を考えた時に、(2戦目の)イングランドに勝っておくべきだと思います」
「歴史的に見てもイングランドを嫌うファンは多い。フランスやヨーロッパのファンを味方につけて、ニースに乗り込むことが大事」とエールを送る。
そのためにはチリとの初戦が重要になる。ただ、五郎丸さんは初戦の難しさを語る。
「2019年のロシア戦は誰もが圧倒するだろうと思っていたけど、納得する形では勝てなかった。初戦のプレッシャーはとてつもないものがある。ロシア戦に近い形の試合展開になるのではと思っています。チリは初出場ですし、全力で初戦にぶつかってくる。一方で日本は先も見据えないといけない。(両者の思惑も考慮すると)すんなり勝てる相手ではないと思います」
あらためて日本代表の強さを語り、エールを送った。
「日本の強みは、組織のために自分を犠牲にできるところ。他国もそうだと思うが、レベルが違います。日本はメンバーが選ばれてからグッとひとつになれる。選ばれたメンバーしか分からない、緊張感も楽しんでほしい」