ワールドカップ 2023.08.15

ラグビー日本代表ブレイブブロッサムズ、覚悟を持ってW杯に挑む。目標は「優勝」

[ 編集部 ]
ラグビー日本代表ブレイブブロッサムズ、覚悟を持ってW杯に挑む。目標は「優勝」
W杯2大会連続で日本代表を指揮するジェイミー・ジョセフHC(撮影:松本かおり)


 日本中がラグビーに熱狂してから4年。「ブレイブブロッサムズ」と呼ばれる勇敢な桜の戦士、ラグビー日本代表が再び最高舞台のワールドカップに挑む。今度はフランス開催で、9月8日に開幕。前回初めて準々決勝に進みトップ8入りを果たした日本代表がめざすのは、優勝だ。今夏の強化試合は1勝4敗と苦しみ、ワールドカップではイングランド、アルゼンチン、サモアといった強敵と一緒の組に入ってプールステージを突破することも簡単ではないが、チームジャパンは自分たちを信じている。

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 副キャプテンを任されたSHの流大は、「現実的じゃないと思われるかもしれないが、僕らはできると信じている。2019年のときも、誰も僕らがアイルランドに勝てるとは思っていなかったと思うし、スコットランドに勝って全勝でベスト8に行くなんて誰も想像できなかったと思うが、僕らは準備ができている。見ててください」とコメントした。

 日本代表を指揮するジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチも同じ気持ちだ。
「どのチームもそうだと思うが、しっかりと試合に勝っていき、優勝することがゴール。前回トップ8に入ったということもあるし、ワールドカップはいろんなことが起こりうる大会だと思っているので、まずはトップ8に行きたい」

 今夏の国内での5試合を振り返り、「高いレベルの強度やスピードのなかで自分たちを試すことができた。ミスが多く改善すべき点は多いが、一貫性を持ってできた部分もあった。けが人が出たり、レッドカードを出されプレッシャーを感じ困惑した試合もあったが、ワールドカップへ向けていい経験になった」と指揮官は言う。スピード、スキル、フィットネスをしっかり使い、ジャパンラグビーの強みを発揮したい。速くボールを動かし、アタッキングマインドセットを持って戦う。カードが出た場合など非常事態にどう対処していくかは、4大会目のワールドカップ出場となるHO堀江翔太やFL/NO8リーチ マイケル、3度目の大舞台に臨むPR稲垣啓太やWTB/FB松島幸太朗、それにキャプテンを任されたFL/NO8姫野和樹など、経験豊富な選手たちのリーダーシップが重要となる。

W杯へ向け強い気持ちを述べた日本代表キャプテンの姫野和樹(撮影:松本かおり)

 大会登録選手枠は33人だが、8月15日に発表された日本代表のメンバーは30人(FW15・BK15)だった。けが人が多く、出場停止処分を科された選手もいて、3人を未定とした(大会登録期限は8月21日)。

 フロントロー(PR、HO)やSH、SOといったスペシャリスト以外で、セレクションで重視されたのは複数のポジションをカバーできること。候補選手のひとりで今夏の国内試合にはひとつも出場しなかったレメキ ロマノ ラヴァが選出されたのは、2019年のワールドカップに出場した経験のほかに、WTB、FB、CTB、そしてSOとしてもプレーできるユーティリティであることが重宝された。
 23歳の新鋭CTB長田智希はWTBもカバーでき、ジャック・コーネルセンはFWの2列と3列で貴重な存在となる。
 同じくユーティリティBKの松島については、指揮官はFBの一番手と考えており、FBとSOをカバーできる山中亮平と小倉順平では、小倉が選出された。山中を外す決断をしたジョセフ ヘッドコーチは、「山中は本当に質の高い選手で、すばらしいラグビーをしてきた。ただ、神戸(所属するコベルコ神戸スティーラーズ)で彼が10番(SO)をカバーしているところを自分としては見たかったが、実際はなかなか10番としてプレーしていないというのが現状。山中に関してはすごく残念だしアンラッキーな部分があったと思うが、しっかり評価しなければいけない。十分な準備ができなかったというのが最終的に彼が選ばれなかった理由」と説明した。

 大会登録メンバーに入れる残りの3人については、けが人が多いのが悩み。
 特にLOでは、身長2メートル超の21歳で、指揮官が「将来の日本代表をけん引する逸材」と認めるワーナー・ディアンズが肩(肩鎖関節)を痛め、足首もけがしてしまった。状態はよくなってきているというが、現時点でワールドカップへの切符は与えられなかった。前回ワールドカップの経験者であるヘル ウヴェは7月29日のトンガ戦で肩を負傷、今夏デビューで大ブレイクしたアマト・ファカタヴァも8月5日のフィジー戦で足首を痛めてしまった。そして、代表キャプテン経験者であるFLピーター“ラピース”・ラブスカフニはフィジー戦で危険なタックルをしたためレッドカードを受け、ワールドカップにも影響する3試合の出場停止となり、処分が軽減される可能性はあるが確定していないため、今後の状況次第で判断されることになった。

 ワールドカップ開幕前に、世界中から選手を集めてチームを結成するバーバリアンズの試合がヨーロッパで予定されており、日本代表のジョセフ ヘッドコーチはそこに選手を送り出す考えがあることも明らかにした。けがなどでゲームタイムが少ない選手たちにとっては強度の高い試合を経験する貴重な機会となる。

 開幕まであと24日。
 日本代表キャプテンに選ばれた姫野は、「落選した選手の思いやファンの皆さんの期待を感じながらワールドカップでプレーしたいと思う。自分の情熱やリーダーシップでしっかりチームを引っ張っていきたい。キャプテンとして、覚悟を持ってやっていく。これから生きるか死ぬかの戦いになってくる。自分たちがしっかり生きていくために、残りの時間をチームとしてしっかり過ごすことが大事だと思う」とコメントした。
 そして、目標を問われ、「優勝です」とはっきり口にした。


▼ラグビーワールドカップ2023 日本代表(8月15日時点)
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