最悪のシナリオから一転、ファレルはフリーにW杯へ。イングランド主将に出場停止処分なし。
最悪の場合、ラグビーワールドカップ2023(RWC2023)のプールステージ全試合に出られない可能性もあったイングランド代表キャプテンのオーウェン・ファレルだが、出場停止処分は下されず、9月17日の日本代表戦を含め、自由にプレーできることになった。
イングランド代表のプレーメーカーでもあるファレルは、SOで先発した8月12日のウェールズ代表戦(サマーネーションズシリーズ)で後半23分頃、危険なタックルをしてイエローカードを提示された。そして、新たに導入された「TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)バンカー」システムで映像を活用したインシデントの再検証がおこなわれ、数分後にレッドカードにアップグレードされ、退場となっていた。
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レッドカードを受けた場合、通常、数試合の出場停止処分が科される。
ファレルはこれまでイングランド代表として107キャップ、4年に一度結成されるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズでも6キャップを獲得した世界的なスターだが、2016年と2020年にも危険なタックルで出場停止処分を受けるなど以前から規律の悪さは問題視され、“前科”があることから、厳しい罰が予想されていた。
さらに、ワールドラグビー(国際統括団体)によるコーチングの介入プログラムへの参加を申請し、ファウルプレーの原因となった特定のテクニックや技術的問題を修正することを目的としたコーチングを受けることで処分が軽減されることはあるが、「タックルスクール」とも呼ばれるそのプログラムは一度しか受けられず、ファレルはすでに今年1月に使っており(所属するサラセンズの試合でハイタックルをしたため)、これ以上の救済措置はなく、ワールドカップ初戦のアルゼンチン代表戦や2戦目の日本代表戦に出られない可能性があった。
しかし15日、独立規律委員会はすべての証拠を検証し、プレーヤーに詳細に尋問をおこない、プレーヤーの代理人から提出された意見を聴取したあと、イエローカードをレッドカードにアップグレードしたことは間違っていたと結論付けた。
ファレルからタックルを受けることになったボールキャリアーのウェールズFLテイン・バシャムは、その直前に急に進路を変えており、その重大な方向転換を引き起こした原因はイングランドHOジェイミー・ジョージの横からのプレッシャーが関係していたことを確認。ファレルは反則行為を犯したことは認めたがレッドカードには値しないと主張し、委員会もレッドカードを支持せず、ファレルは直ちに自由にプレーできると判断された。
RWC2023でイングランドが入るプールDは、初出場のチリ以外はトップ8入りの実績があるチームがそろっており、準々決勝に進める上位2枠を目指し、日本、アルゼンチン、サモアとともにタフな戦いが予想されている。
イングランドはファレル主将を中心に、20年ぶりの優勝を目指す。