ワールドカップ 2023.07.20

多くの秘密兵器不在も侮れないサモア代表。資格変更した豪州とNZの英雄が札幌でデビューへ。

[ 編集部 ]
多くの秘密兵器不在も侮れないサモア代表。資格変更した豪州とNZの英雄が札幌でデビューへ。
白血病を乗り越え、フィールドでも勇敢に闘い続ける35歳のクリスチャン・リアリーファノ(Photo: Getty Images)


 ラグビーワールドカップ2023で日本代表と同組に入るサモア代表のセイララ・マプスア ヘッドコーチは、「世界クラス」と評価するキープレーヤーの数人を日本には連れてこなかった。国際統括団体のワールドラグビーが国代表の選手資格に関する規定を改定したことで代表チームを変えることが可能となり、かつてニュージーランド代表やオーストラリア代表などでプレーした選手でサモアにルーツを持つ者が“マヌ・サモア”に新しく加わった。強力な布陣でワールドカップに挑むことが予想されている。

 だが、ワールドカップへ向けたトレーニングスコッドのうち、元ニュージーランド代表“オールブラックス”のSOリマ・ソポアンガ、FL/NO8スティーヴン・ルアトゥア、PRジェフリー・トゥーマンガアランは来日していない。
 サモア代表キャプテン経験者のPRマイケル・アラアラトア、FL/NO8ジャック・ラム、ワールドカップに2大会出場しているユーティリティBKティム・ナナイウィリアムズ、それに、かつてオールブラックスに選ばれるもけがにより黒衣を着てプレーできなかったFL/NO8ジョーダン・タウフアも両親の故郷であるサモアの代表となって大舞台を見据えるが、今回のジャパンツアースコッドには入らなかった。

 “本番”まで、強力な持ち札を見せてはくれないようだ。
「我々にとって、自分たちがどの位置にいるのか、そしてフランスへ向けた準備のために何をしなければならないのかを知る、よいテストとなるだろう」(マプスア ヘッドコーチ)

 それでも、7月22日に札幌ドームでおこなわれる日本代表との前哨戦には、2人のビッグネームが名を連ねた。
 司令塔は、2019年のワールドカップでオーストラリア代表の10番をつけたクリスチャン・リアリーファノ。そして、2015年のワールドカップでニュージーランド代表の右PRとして優勝に貢献したチャーリー・ファウムイナがベンチで待機する。両選手にとってはこの試合がサモア代表デビューとなる。

2015年ワールドカップの優勝メンバーであるチャーリー・ファウムイナ(Photo: Getty Images)

 試合登録メンバー23人のテストキャップ総数は「202」(そのうち50キャップはファウムイナがNZ代表で獲得したもの。平均9キャップ未満)と少ないが、海外のクラブでキャリアを積んだ選手は多く、モアナ・パシフィカとしてスーパーラグビー・パシフィックでタフな戦いを経験した選手たちが力をつけている。

 キャプテンを務めるのは、南半球のスーパーラグビーとヨーロッパでのプレー経験も豊富なPRポール・アロエミール。
 今回のメンバーのうち、ワールドカップに出場したことがあるのは7人で、リアリーファノ、ファウムイナ、アロエミール以外には、先発のPRジョーダン・レイ、CTBウルパノ・ジュニア(UJ)・セウテニ、リザーブのHOレイ・ニウイア、WTBエド・フィドウが2019年の大舞台を踏んでいる。

 29歳のLOブライアン・アライヌウエセは代表キャップこそ少ないが、フランスの名門トゥーロンで100試合以上出場してきた201センチ、137キロの巨漢。
 豊田自動織機シャトルズでプレーしたことがあるLOマイケル・カリーとFLタレニ・セウも要注意で、モアナ・パシフィカの年間最優秀新人に選ばれた23歳のFLミラクル・ファイランギにとってはサモア代表デビュー戦であり、燃えている。

 サモア代表の世界ランキングは日本代表より2つ下の12位だが、過去の対戦成績はサモア代表が11勝5敗と勝ち越している。昨年のパシフィック・ネーションズカップでは、ライバルのフィジー代表やトンガ代表だけでなくオーストラリアAも倒して全勝優勝しており、手強い相手だ。

セブンズでも鍛えた走りが魅力の新星、ミラクル・ファイランギ(Photo: Getty Images)

<サモア代表 試合登録メンバー>
1.ジョーダン・レイ Jordan Lay(ブルーズ〔NZ〕/24 caps)
2.ルテル・トライ Luteru Tolai(モアナ・パシフィカ/1 cap)
3.ポール・アロエミール Paul Alo-Emile(スタッド・フランセ〔FRA〕/17 caps) ※ 主将
4.ブライアン・アライヌウエセ Brian Alainu’uese(トゥーロン〔FRA〕/2 caps)
5.マイケル・カリー Michael Curry(モアナ・パシフィカ/2 caps)
6.タレニ・セウ Taleni Seu(ワラターズ〔AUS〕/3 caps)
7.アラマンダ・モトゥンガ Alamanda Motuga(モアナ・パシフィカ/3 caps)
8.ソオタラ・ファアソオ So’otala Fa’aso’o(ロンドン・アイリッシュ〔ENG〕/―)
9.ジョナサン・タウマテイネ Jonathan Taumateine(モアナ・パシフィカ/7 caps)
10.クリスチャン・リアリーファノChristian Leali’ifano(モアナ・パシフィカ/豪代表 26 caps)
11.トゥムア・マヌ Tumua Manu(ポー〔FRA〕/4 caps)
12.ダンカン・パイアアウア Duncan Paia’aua(トゥーロン〔FRA〕/2 caps)
13.UJ・セウテニ UJ Seuteni(ラ・ロシェル〔FRA〕/9 caps)
14.ネリア・フォマイ Neria Fomai(モアナ・パシフィカ/7 caps)
15.ダニー・トアラ Danny Toala(モアナ・パシフィカ/6 caps)

16.レイ・ニウイア Ray Niuia(モアナ・パシフィカ/16 caps)
17.ティエティエ・トゥイマウンガ Tietie Tuimauga(モントーバン〔FRA〕/2 caps)
18.チャーリー・ファウムイナ Charlie Faumuina(トゥールーズ〔FRA〕/NZ代表 50 caps)
19.ジェネシス・マメア=レマル Genesis Mamea Lemalu(ペルピニャン〔FRA〕/3 caps)
20.ミラクル・ファイランギ Miracle Fai’ilagi(モアナ・パシフィカ/―)
21.エレ・エナリ Ere Enari(モアナ・パシフィカ/4 caps)
22.マルティーニ・タラプシ Martini Talapusi(ATL〔USA〕/―)
23.エド・フィドウ Ed Fidow(ユナイテッド・ニューヨーク〔USA〕/14 caps)

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