姫野和樹、日本代表主将になるかは「わからない」。リーダーシップの理想形は?
ワールドカップ・フランス大会を今秋に控えるラグビー日本代表は、今季の主将を発表していない。
6月12日から約3週間あった浦安合宿のさなか、本人への打診こそ済んだものの正式なリリースはなされなかった。
昨季主将の坂手淳史ら複数の候補者が注目されていたキャンプ終盤、ひとりのリーダー格がトレーニングにフル参加した。
姫野和樹である。まもなく29歳の誕生日を迎えるFW第3列。HOの坂手にとっては、帝京大時代の1学年後輩にあたる。
所属するトヨタヴェルブリッツでは、1年目から主将を任された。2021年にはハイランダーズへの期限付き移籍により、国際リーグのスーパーラグビーも経験した。
今回、自身が日本代表主将に就く可能性については「わからないです」としながら、自分なりのリーダーシップを発揮したいという。
「情熱を燃やし、愛情を注ぐ。グラウンドに出て、誰よりもハードワークして、『行くぞ』と声をかけることで僕のリーダーシップは成り立つ。常にベストなプレーヤーであるのを目指すのが、大事だと感じています」
浦安合宿の序盤は一部別メニュー調整だった。本格的に復帰したのは、3週目に入ってからだ。2週目までおこなわれていたジョン・ドネヒュー スポットコーチによるタックルセッションには、ドネヒューの帯同期間が終わりそうな頃合いに合流できた。
約1時間ぶっ通しの、身体をぶつけ合うトレーニング。各選手が「歴代でもっともきつい」と漏らすこのセッションを体験し、姫野は苦笑していた。
「想像の4倍は、きつかったですね。1時間であれだけ追い込めるというのは…すごいですね。えぐいです。本当に倒れそうなくらいにやりました。きついなかで、自分たちのやりたいことをやりきる。ラグビーでのタックルの方が楽と言えるくらいのセッション。…メンタルのところ、かなり鍛えられると思いますよ」
猛鍛錬をテーマとした浦安合宿は予定より1日早い29日に終わった。7月3日からは宮崎合宿が始まり、8日以降は5週連続で土曜に対外試合が組まれる。
メンバー選考も本格化し、ワールドカップ本番への地固めがなされそうだ。
姫野は展望する。
「(自身の)コンディションはいい状態に戻れている。僕としては(試合に)出たいです。この5試合は全選手にチャンスがあると思いますし、それを掴むか掴まないかが大事になると思います。この5試合で現状も知れて、自信をつけられると思います」
個人的なフォーカスは、「チームで強化するディフェンス、コリジョン(衝突)」だという。秋のワールドカップ本番では、大型選手の揃うイングランド代表などと対峙する。パワフルな突進を跳ね返すさまを、夏のうちから披露したい。