国内 2023.05.08

5月14日の『春早明』は見逃せない。王者・帝京大を追え。J SPORTSで大学春季交流大会A・Bグループ配信中!

春の早明戦は5月14日。J SPORTSで大学春季交流大会配信中!

5月14日の『春早明』は見逃せない。王者・帝京大を追え。J SPORTSで大学春季交流大会A・Bグループ配信中!
この人がボールに絡むとゲームが動く。早大SO伊藤大祐主将。(撮影/松本かおり)

 新入生が加わって、1か月が過ぎた。大学ラグビーの2023年度チームの足取りが、そろそろしっかりとしてきた頃か。
 関東では春季大会が4月中旬以降に開幕した。昨季大学チャンピオンとなった帝京大は、初戦の東洋大戦に92-14と大勝し、今季の戦力も充実していることをあらためて証明した。

 東洋大は、関東大学リーグ戦1部に昇格した昨季、すぐに大学選手権出場を果たした。多くの卒業生が出たとはいえ、海外出身選手も多く、芯の太いチームを圧倒したのだから、昨季王者の充実には目を見張る。新シーズンのスタート時点では、今季もトップランナーであることは間違いない。

 

 帝京大は、4月16日におこなわれた宮崎県招待試合で同志社大にも89-0と圧勝している。最上級生となったHO江良颯主将、東洋大戦でゲームキャプテンを務めたFL奥井章仁らは心身ともに真のリーダーで頼りになる。新人のFB青栁潤之介(國學院栃木)も東洋大戦でデビューし、トライを奪った。チーム全体が、試合を重ねるごとにスケールアップしそうだ。

 磐石に見える王者を追うのはどこか。

 東日本大学セブンズを制した筑波大は接点に強く、NO8・CTBと幅広く才能を発揮する谷山隼大が主将に就いた。昨季大学選手権4強に入ったスカイブルーのジャージーは、今季も爆発力のあるチームとして存在感を示しそうだ。

 昨季の大学選手権準優勝チームである早大も、前年から試合経験を積んでいる選手が多く残っている。大田尾竜彦監督体制3年目の今季こそ、覇権を取り戻したいところだ。5月14日に熊本でおこなわれる明大戦が注目される。

 永遠の好敵手である紫紺のジャージーは、今年が創部100周年。なんとしても頂点に立ちたいところだ。有望な1年生たちも多数加わった。昨季は大学選手権の準々決勝で早大に敗れて年越しもならなかった。春の対戦で勝ち、勢いをつけたいところだろう。

 早明両チームは、5月7日に春季大会初戦を戦った。雨の中での試合となったが、早大が東海大に33-19で勝利し、明大は流通経済大を58-12と圧倒した。

 明大は雨の中で力強かった。足をよく掻き、序盤からよく前に出た。先制トライから、集中力の高いところを見せた。
 前半4分過ぎ、中山律樹、松下潤一郎、為房慶次朗の4年生が組んだフロントローがグイッと押し込み、相手の反則を誘う。PKで敵陣へ入ると、ラインアウト後のモールで圧力をかける。最後はPR為房がインゴールに入った。

 この試合、明大は前半で勝負を決めた。最初の40分で奪ったのは6トライ。すべてのスクラムで圧力をかけ、FWが短く、少ないパスでダイレクトなプレーを選択した。防御を押し下げたところにBKが走り込み、トライを重ねた。SO伊藤耕太郎は周囲の力を引き出した。
 前半23分に1年生WTB海老澤琥珀が奪ったトライは、ラインアウト時、ショートサイドからタイミング良く走り込んで得たもの。非凡さを感じさせた。FWのセットプレーの強さと、前への圧力を軸に戦うスタイルを、粘り強く守り、切り返す展開が得意な早大戦でも貫けるか注目される。
 2年目の神鳥裕之監督、主将に就いたCTB廣瀬雄也が引っ張るチームのスローガンは『ONE MEIJI』。熊本の地で勢いを得る勝利を手にしたい。

 雨の小田原で東海大を破った早大は、悪天候の中でもバランスの良さを見せた。開始5分での先制トライは、ラインアウトからのモールで20メートル近くを押し込んだ。11分にはフェーズを重ねた後、SH宮尾昌典が防御裏にキックを転がすとWTB磯崎錬太郎が反応してインゴールで押さえた。14分にはキックカウンターから攻め。最後はCTB岡本大輝がトライを追加した。序盤に得点を重ねてゲームの流れをつかんだのは収穫だった。


 大田尾監督は試合後、その点について評価した。「春季大会の初戦に勝ったのは監督になって初めてですし、東海大に勝つのも初めて。メンタル面を含めて、いま出せることはしっかり出してくれたと感じています」
 昨季の大学選手権決勝では20-73と帝京大に大敗した。その直後は、「攻撃に特化するか、思い切りディフェンスを突き詰めるか」と偏ったものを考えていた。時間をおいて、少し感覚が変わったという。試合を何度も見返し、ミーティングもした。「自分たちしかできないことを突き詰めよう」となった。
 「そもそも早稲田らしさってなんだろうと。それは集中力だったり、ボールへのハングリーさ、こぼれ球への反応」東海大戦では、それを出せた。

 思い切りのいい判断としなやかさの両面を見せたSO伊藤大祐主将は東海大戦後、「できていることいないことがあり、自身のプレーも含めてしっかり分析したい。自信をつかめた部分もあります」と話した後、翌週の明大戦に目を向けて言った。「相手を見るより自分たちのすべきことに集中して、いい状態で試合に入れるようにしたい」
 今季のスローガンには、『WASEDA FIRST』を掲げている。

東海大を率いるFB谷口宜顕主将。センスと強さのあるアタックでチームを牽引する。(撮影/松本かおり)

 早大には敗れたが、東海大も潜在能力の高さを見せた。特に前半20分のトライは、チームの目指しているものが垣間見られるものだった。キックチェイスで圧力をかけてターンオーバー。すぐに攻撃に転じ、ボールを動かす。最後は、FB谷口宜顕主将のラストパスを受けたWTB中川湧眞が鋭く走り切った。LO中村竜太朗の猛タックルも印象深い。WTB岡村優太の力強い走りもあった。SO武藤ゆらぎは、相変わらず独創的にゲームを進める。

 春季大会は6月下旬まで続く。王者・帝京大は6月3日に明大と戦い、同25日には早大と戦う。
 秋、冬シーズンの展開をより深く楽しむためにも、見逃せない。

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