動かぬLINE。イーグルスの監督、選手は、初4強決定の朗報を、どこで、どう聞いたか。
最終的にダブルスコアの勝利を手にした。
4月23日、花園ラグビー場でおこなわれたコベルコ神戸スティーラーズ戦で、横浜キヤノンイーグルスは52-26と快勝して16節に渡るリーグワンのレギュラーシーズンを終えた。
この日は先に3トライを奪う好スタートも、前半を終えて26-12。後半の立ち上がりには26-19と迫られた。
梶村祐介主将が「ボールを手放すとラインブレイクされた」と話したように、ディフェンスに激しさと精度を欠いた。
後半にあらためて流れを引き戻し、結局8トライを重ねた。
接点で上回り、モールを何度も押し込んだ。
プレーヤー・オブ・ザ・マッチには効果的なボールキャリーとトライで勝利に貢献したWTBイノケ・ブルアが選ばれた。
10勝4敗2引き分けで勝ち点54。4位となり、チーム史上初めて4強に入り、プレーオフ進出を決めたイーグルス。
朗報は、この日の結果が出る前、4月21日(金)の夜に届いた。
同日、プレーオフ進出の最後の1枠を争っていた東芝ブレイブルーパス東京が埼玉パナソニックワイルドナイツに22-34と敗れ、勝ち点を積み上げることができなかった。
スティーラーズと戦う前に、1ポイント差で上回っていたイーグルスの次ステージ進出が決まった。
沢木敬介監督は金曜の夜、ブレイブルーパスの試合を自宅でテレビ観戦していた。
落ち着いた気持ちで、その試合の結末を見届けた。
「東芝がボーナスポイントをとって勝っても、自分たちもここ(スティーラーズ戦)で(勝って)決着をつけるマインドで1週間を過ごしてきたので」と、平常心だった理由を話した。
自分だけでなく、チームの誰もが浮かれていなかったことが、「チームLINEに誰もコメントしなかった」ことからも伝わってきたと笑う。
スティーラーズ戦へ向け、「(誰もが)しっかり準備するマインドセットでいたからでしょう」と笑顔を見せた。
「特にキヤノンで長くやってきたチームの歴史を知る選手たちは、初のプレーオフ(進出)です、本当に嬉しかったと思います。でも、喜びを表に出すのはきょうまで我慢していたようです」
そう語る指揮官は、選手たちのことを誇らしげに話した。
梶村主将も自宅でブレイブルーパスの試合をテレビ観戦していた。
自分たちのプレーオフ進出が決まった瞬間に沸いた感情は、プレーオフ進出の喜びだけではなかった。
自身は、コンディション不良で直近の2試合を欠場していた。
その復帰戦となることに加え、「自分たちがトップ4にふさわしい力を持っていると証明できる、いい機会」と考えたからだ。
チームメートたちも、同じ気持ちだったと思う。
「チームのグループLINEもそうですが、選手LINEにも誰もコメントしませんでした。いい意味で、試合(スティーラーズ戦)にフォーカスしていたからだと思います」
ベテランの庭井祐輔(HO)も、チームが浮ついていなかったことを証言する。
プレーオフ進出決定から一夜明け、土曜の朝にチームメートと顔を合わせた時だった。
「お互いに『決まったな。おめでとう』と声をかけるぐらいでした。いちばん嬉しそうだったのは沢木さんだったと思います。結構、分かりやすいんですよ。顔が緩みまくっていました」
いい雰囲気。チームがここまで、快調に走ってきた理由が伝わる。
ワイルドナイツとの準決勝は5月13日。最高の準備を重ねる覚悟はできている。