早大が今季15人制初戦、14トライ88-7で韓国・高麗大との定期戦を圧勝で飾る。
「WASEDA FIRST」を2023年度のスローガンに掲げる早大ラグビー部。今季、15人制の初戦を4月22日、ホームに韓国から高麗大を迎え定期戦をおこなった。定期戦は2004年から始まり両国間の政治的事情による中止を除き2019年まで続いてきた。しかし2020年に起きたコロナパンデミック、感染予防で中断。今年4年ぶりに試合ができることになった。
試合開始からテンポよく早大がボールをつなぎ続ける。ラックでのリサイクルも素早く高麗にからませない。昨年も大学シーンで魅せたSH宮尾昌典、SO伊藤大祐(本当は示偏に右)主将のハーフ団もパス、キックを織り交ぜて味方を敵陣へ送り込んだ。
早大は「ゲインラインバトル」をこの試合のテーマにした。前半開始6分がトライラッシュの始まり。自陣からのキックリターンから継続し、NO8村田陣悟から左へラストパスが左WTB磯崎錬太郎へ。左隅に仕留めた。リスタートのボールもつなぐと、SO伊藤の右サイドへのアタックから最後はインサイドFL粟飯原(あいはら)謙が右中間インゴールへ運んだ。12分にはWTB磯崎が2本目のトライ、20分はFL粟飯原が続く。24分、キックパスを受けたCTB岡﨑颯馬のチーム6トライ目で38-0と試合を決める。前半はさらに2つのトライを加え、50-0と折り返した。
後半も早大が7分に磯崎がハットトリックトライを決めると、磯崎は16分、28分にもゴールラインを越え、計5トライで訪れた早大ファンを喜ばせた。締めはFBに交代で入った守屋大誠のトライ・ゴール。14トライ9ゴール、88-7と高麗を退けた。
高麗は今年3月末から開催された「2023 コリアスーパーリーグ」で、ライバル延世大を43-15で破り春の大学王者になっていた。それだけに4年ぶりとはいえ「自信」があるスクラム、ラインアウトモールで早大に挑む気概はあった。しかし、その自信は前半で崩れてしまった。前半28分、早大の反則でゴール前ラインアウトから攻める。再び早大の反則でスクラム。高麗が押しゴール前へ迫るも阻まれる。組み直しなど数回、スクラムが続く。高麗NO8ファン・ジョンウクが持ち出し進む。早大陣22メートル内、主将FLキム・チャンジュにつなぐも早大がタックルし阻む。さらに継続するも、HOイ・スンウンがFL永嶋仁にブレークダウンで絡まれるとノットリリースを献上し、唯一のトライチャンスを逸した。
後半もなかなか早大陣へ入れない。35分、81-0とされたリスタート。高麗が自陣からCTBホ・ドンらがゲインする。オフロードパスが右ライン際で待ち構えるWTBイ・ジュニへ渡る。早大ディフェンスをかわし右中間へ飛び込んだ。イは自らコンバージョンも成功しゼロ封を免れた。
今季就任3年目の早大・大田尾竜彦監督は快勝に「交流戦ができることに感謝する気持ちで臨みました。対外試合の初試合だったので春にやってきたディフェンスをしっかり出すこと。『WASEDA FIRST』という今季のスローガンを態度で示すことが大事だと話して準備してきました。選手たちは初戦にしてはミスも少なく、クオリティーも高くできていた」と話した。
高麗については「もう少しガツガツ来るかなと思った」というが、訪日時の厳しい交通手段などもある中で「一生懸命プレーしてくれた」とリスペクトする。
敗北の高麗・李光紋(イ・グァンムン)監督は大田尾氏の2学年後輩にあたる。学生時代は、佐々木隆道主将率いる早大と定期戦で戦った。LO、FLとしてトヨタ自動車ヴェルブリッツ、東芝ブレイブルーパス在籍時はヤマハ発動機ジュビロSOの大田尾氏と対戦した経験もある。
李監督は「完全に負けました」と流ちょうな日本語で振り返った。「早稲田はテンポが早く何もできなかった。スクラムのところでもうちょっとがまんできればよかったが。ディフェンスのセットもできなかった。韓国に戻ったらワセダのようにテンポ早くできるように準備したい」と、チームとして向上する道標を見つけた。
両チーム試合後の記念撮影の後、高麗がまさっていたスクラムとラインアウトの合同練習を30分間ほど実施した。「個人スキルで早稲田が上でした」と試合後、悔しさを噛みしめて言葉少なに語った高麗のキム主将もセッションで残りの力を出し尽くした。
2004年以来の対戦戦績は早大14勝1敗となった。来年は早大が韓国を訪れる。
早大は翌日4月23日、BCチームが白鷗大と早大グラウンドで対戦し、Bは52-21、Cも14トライ92-5で連勝した。この日は高校ラグビーシーンを沸かせてきた新入部員FB矢崎由高らが大学デビューを果たした。次戦は5月7日、関東大学春季大会で東海大とあたる。高麗も5月6日から始まるスーパーリーグ2次大会で今季2度目の優勝を狙う。