ふたたび勝負の世界へ。春口廣氏、女子ラグビー『YOKOHAMA TKM』の監督に就任
勝負の世界に戻り、エナジーが湧き出ている。
女子ラグビーチーム『YOKOHAMA TKM』(以下、TKM)を率いることになった春口廣監督だ。
2月28日、新指揮官の就任がお披露目となった。
その場が記者会見でなく懇話会とされたのは、本人の希望によるものだ。
質問にただ答えるだけでなく、わくわくしている胸中の吐露や、ユーモアのある語り口で会場を和ませた。
春口監督は73歳。
関東学院大を強豪チームに育て上げた人だ。大学日本一の座に6回就いている。
2013年に同大学の監督を退任した後は、横濱ラグビーアカデミーで子どもたちにラグビーの楽しさを伝えていた。
ラオスに足を運び、現地の子どもたちに指導したこともある。
ラグビーへの愛情は、以前と何も変わっていない。
しかし今回、勝負の世界に戻ってきたから勝負師の熱が高まっている。
TKMは2022年の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズで年間総合順位3位に入ったトップレベルのチームだ。
熊谷大会では優勝している。
そのチームを年間チャンピオンへ引き上げる。
そして、15人制大会でも頂点に立たせる指導力を期待されている。
チームの横川秀男代表(横浜未来ヘルスケアシステム理事長)は何人かの候補者の中から、「横濱ラグビーの顔と言っていい存在にお任せしたい」と決断し、就任依頼をしたという。
「最初は、女子ラグビーの指導をするイメージを持っていない感じでした。しかし、すぐに力が湧いてこられたようで、エナジーを感じることができました」
3年でしっかりとした下地を作ってほしいと話す。
春口監督は、チームの始動日となった2月13日から精力的に動いている。
「(ラグビーへ、勝負の世界へ)戻ってこられた。ラグビーが大好きです。発展する女子ラグビーの監督。嬉しい」と話し、あらためて「ラグビーを一生するつもり」と話した。
日本一を目指す。その状況にパッションが溢れ出している。
「ああしよう、こうしようという思いが次々に出て、夜も寝られない」と、胸の高鳴りを伝えた。
ただ、女子ラグビーの世界に足を踏み入れたばかりと、足元も見つめる。
チーム、そして選手たちを正しい方向へ導くために、まずは見て、知り、決断し、動く。
「先走りしないようにしないと」とはやる気持ちを抑える。
「女子ラグビーの力を発信していきたい。子どもたちがラグビーをしたい、と思うような活動をしていく」と抱負を口にした。
チーム作りのモットーをエンジョイとする。
「元気よく、声を出して、明るくやろうと思っています」
その上で勝利を追求する。
歩んできた道を思い出すミッションに力がみなぎっている。