コラム 2023.02.17

【コラム】大物選手が活躍する条件

[ 向 風見也 ]
【コラム】大物選手が活躍する条件
府中ダービーは好勝負に。豪華な外国人も混じる2チームのノウハウは(撮影:松岡健三郎)

 

 日本ラグビー界が、SNSを賑わせている。

 大物獲得のニュースについて、である。

 今秋以降、オールブラックスことニュージーランド代表の看板選手が相次ぎ来日する。国内リーグワンのクラブへ散る。

 もっとも、現場にいる人のほとんどは理解する。当該の選手が活躍することと、当該の選手の活躍を勝利に繋げることは違う話であることを。

  では、勝つのに一番、必要な要素は何なのだろうか。

「それは、ふたつあって…」

 こう切り出すのは、東芝ブレイブルーパス東京の森田佳寿コーディネーターだ。

 現役時代は帝京大にいて、最終的に9まで伸びる大学選手権での連覇記録を3に更新した際の主将だ。引退したいまは、自らもプレーしたブレイブルーパスで攻撃の作戦を立てる。

 前年度のリーグワン元年4強入りを支え、今季も7節までに12チーム中5位と上位を争う。革新的な布陣、球の動かし方で魅する森田が思う、勝負をする前提で必要な「ふたつ」のうちひとつ。それは、「明確」なビジョンと「準備」だという。

「チームとしてどう戦うのかが明確に見えていて、それに必要なトレーニングと準備を、チームとしてやっているかどうか。当たり前ですが、週末(試合)でのパフォーマンスはそこで作られる」

 森田は、各節の対戦相手の映像を2週間前から見始める。

 自軍の基本陣形を踏まえ、最適な攻め方を考える。ライバルの虚を突くべく新しい動きも必ず採り入れ、他のスタッフ、攻撃のリーダーとなる選手へと順に示す。適宜、微修正を施す。

 このプロセスを経て創った好試合のひとつが、先の「府中ダービー」だろう。

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