【フランス代表SOンタマック インタビュー②】W杯の前にシックスネーションズで自信をつけないと。「トゥールーズにお越しの際は、私のレストランへ」
自国大会のワールドカップ(以下、W杯)まで1年を切ったフランス代表、 SOロマン・ンタマックへのインタビュー。12月27日に掲載した記事に続くものだ。
「4年前からこのワールドカップを目標にして準備をしてきました」と話すンタマックは、見据えているターゲットをこう話した。
「まず(W杯に)参加することが個人的な目標になっています。一つひとつ段階を踏んで進んでいます。まだシックスネーションズがあり、W杯直前にも準備試合もある。そこでいいパフォーマンスをしてW杯へ向けて自信をつけなければなりません」
「チームの目標はもちろんエリスカップを勝ち取ること。しかも自国開催です。でも僕たちだけが優勝を狙っているのではありません。また他の強豪チーム同様、フランスチームが警戒されていることも分かっています。だから準備をしているのです。日本大会が日本チームの活躍で盛り上がったように、フランス大会も素晴らしい大会になってほしいと思っています」
元代表選手で、フランスラグビー界のレジェンドである父、エミール・ンタマックを見ながら育った。
「父が選手時代のイメージもいくつか残っていますが、コーチとしての父を見ている時間の方が長かった。トゥールーズのエスポワール、そしてフランスU20代表、さらにフランス代表でコーチをしていました。父がコーチするトゥールーズのエスポワールの練習についていき、グラウンドでボールを拾って選手に渡していました。また僕も弟も、父がコーチしているチームで指導を受けたました。父は僕のモデルになっています」
そんな父との会話の話題は、やはりラグビーが中心だ。
「次の試合について感じていることや、練習や試合の後にも父に電話して僕の考えや、いいと思ったこと、よくないと思ったことなどを伝え、彼が感じたことを聞きます。アドバイスではなく、外部から見て思ったことです。父も僕と同じことを感じていることが多い。これは子どもの頃からの習慣で、今も変わりません。このスポーツのことをよく知っていて、このレベルを経験している人です。いいことも悪いことも言ってくれるので僕にはありがたいことです」
トゥールーズの街の魅力について話すと、「とても気持ちのいい街です。南フランスの人は親しみやすくて温かいと言われていて、他所から訪れる人を歓迎します」と笑顔になる。
「食事も美味しくて、美術館、博物館、歴史的建造物もあります。トゥールーズの周辺にも観光やレジャーのスポットがたくさんあります。トゥールーズ、そしてこのオキシタニー地方は日本が好きで、日本の方を歓迎します」
観光大使並みの言葉が並ぶ。
おすすめのレストランがある。
「たくさんありますが、僕も友人とレストランを開きました。『メゾン・グッド(Maison Good)』といいます。最近、日本の方が来られたと聞いています。新しくきれいな店で、食事も美味しいし、パーティーもできます。試合観戦後に大勢で来てもらっても大丈夫。メニューは時期によって変わるので、『これがおすすめの一皿です』と言うことはできないのですが、常に充実していて、大皿で注文して友達同士でシェアできる料理もあります」
来年、トゥールーズに行かれる方はぜひ試していただきたい。「オーガニック、地産地消にこだわり、世界のレシピにインスパイアされた料理」がコンセプトと、いまの時代を感じさせるカジュアルダイニングだ。
ラグビーで連戦が続き、トゥールーズでもフランス代表でも看板選手。メディアからの要望も多い上にレストラン経営にも参加し始めた。オフの日はどう過ごすのだろう?
「とにかく休息。シーズンは長く、トップ14、チャンピオンズカップ、フランス代表と1年のうち10か月プレーしています。家で休息をとる時間があまりありません。だから休みの日はゆっくりと過ごしたい。飼っている2匹の犬の世話をして、散歩に行くのが好きです。田舎で静かに平凡に過ごしています」と、多忙な日々を送っている23歳は言う。
インタビューは彼の自宅で行われた。
トゥールーズから少し離れた小さな村で、家はぽつりぽつりと建っているだけ。とても静かだ。
家の前には畑が広がっており、何にも遮られることなく空を一望できる。
ひと息つくために必要な環境なのだろう。
この日は「映画のプロジェクトがあるから」と、撮影の合間に時間をもらってのインタビューだった。「大丈夫? 疲れていない?」と問うと、「これも仕事の一部だから」とプロの対応。3年前に会った時から大人になった。
インタビュー後、彼が庭に出ると愛犬のロップス(シャー・ペイの雄)とシシ(ゴールデンレトリバーの雌)が大喜びで駆け寄ってくる。少し犬と戯れる。
決して口数が多くはない。むしろ控えめな性格で、あまり感情を顔に出すこともなくクールに映る。時折23歳の青年の素顔を覗かせるとホッとする。
「僕、ちゃんとしゃべれてた? 日本のテレビに出演できると聞いて、ぜひ取材を受けたかったんだ。今日着ている服も日本のブランドだよ」
そう言って家の中に入ると、映画の撮影が始まった。
※このインタビューの様子は、日本テレビ『CHEERS! —気持ち高まる瞬間にー』(12月29日(木)、夜9時48分)で一部放送予定です。