「キョウ」と「オカちゃん」。順調な仕上がり見せるトヨタの両輪
何でもできて、どこでもこなせる。
ともにトヨタヴェルブリッツ在籍5年目。「キョウ」こと吉田杏と、「オカちゃん」こと岡田優輝の共通点だ。
ともに大阪桐蔭から帝京大に進学。大学選手権優勝を手土産にトヨタに加わった。今季のポジション登録は吉田はNO8、岡田はCTBだが、試合では吉田は4〜8番をカバー、岡田は昨季はWTBでの出場、CTBは1試合だけだった。
吉田はコンタクト、ジャッカルに秀で、ラインアウトではコーラーも努める。今季は姫野和樹、古川聖人共同キャプテンの留守を預かるリーダーも任された。
岡田はパス、タックルなどのスキルはもちろん、チームのピンチを未然に防ぐ危機管理能力でチームに欠かせない存在。
二人に共通するのは、ポジションへのこだわりがないこと。
「ボールタッチの回数はポジションで変わってきますが、4番から8番まで基本的なキャリーやタックルは関係ない。そこはエンジョイしながらプレー出来れば問題ないかなと」(吉田)
「ここ、というポジションを持っているのも大事ですけど、僕はどこでもできることを強みにしたい。ポジティブにとらえています。臨機応変にできれば、それだけ試合に出られるチャンスも増える」(岡田)
複数ポジションをそつなくこなす二人がいることで、23人のメンバー構成に、幅を持たせられる。代表を多く抱えるチームにとっては、代えがたい存在だ。
チームはプレシーズンを負けなしで終えた。横浜E、神戸Sとの最終2試合は、どちらも大差のビハインドから逆転勝ち。白星とともに本番への課題と収穫を得た。
今季、新たに就任したベン・へリングHCは「ブラザーフッド」を掲げ、チームの一体感を作ることに力を注いだ。二人ともその成果を感じ取っている。
「一人が倒れていても、仲間が手をとって一緒に立ち向かう。仲間思いの強さを鍛えているところが、これまでとは違う。去年とは全く別のチームになりました」と吉田。
岡田も「ベンのチーム作りはシンプル。一人ひとりやることが明確。明確だから修正もしやすい。それがトヨタのチームにはまって、皆のびのび出来ている。その雰囲気が広がって、チームが一つになってきている」と、自信を見せる。
二人は中学時代からの顔見知り。岡田は伊丹RS、吉田は大阪中学校代表として何度か対戦していた。
「高校も大学も社会人も一緒。普段は必要なことしか喋らないです(笑)。中学から一緒にプレーしているので、試合中も、どういうプレーをするのかわかる。信頼してます」
お互いについて尋ねると、ほぼ同じコメントが返ってきた。
チームは昨季、無念の5位。プレーオフトーナメントに進むことはできなかった。
今季はプレシーズンの流れを止めず、頂点まで駆け上がる。