南アとの激闘でフランスに負傷者続出。レッドカードのデュポン主将は日本戦出場停止の見通し。
「レッドカード2枚、イエローカード1枚、リードして、リードされ、最後に逆転した。とんでもないシナリオだった。強度の高いハードな荒れた試合になることはわかっていたが、このシナリオは予想できなかった」
11月12日、ディフェンディングチャンピオンの南アフリカに勝利した(30-26)フランス代表のファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下HC)が試合後の会見で述べた。
「選手たちは負けることを拒み、勝利をもぎ取りに行った。負けを感じた時間帯もある。スタジアムにもその空気が漂っていた。でも選手たちは負けを拒んだ。最後の15分で何度も激しく体当たりし、難しい判断を繰り返し、試合をひっくり返した。今日経験したことを忘れず、さらに成長していきたい。試合早々レッドカードが出された(12分、南アフリカFLピーターステフ・デュトイ)にも関わらず、選手たちのスピード、ハードさ、強度の高さ、そして聡明さが見られた」とガルチエHCは選手たちを讃えた。
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しかし、激しい試合の勝利は代償を伴った。
「CTBジョナタン・ダンティーはおそらく眼窩(がんか)吹き抜け骨折だろう。PRシリル・バイユは鼠径(そけい)ヘルニアで早急に手術を受ける。また、LOチボー・フラマンはHIAのテストをパスできず脳しんとうと診断され試合に戻ることができなかった」とガルチエHCから負傷者の状態について説明された。
「来週の合宿に招集する42人の選手のリストを見直さなければならない。(今回までの合宿に招集されていない)選手も準備をしてほしい。日本と対戦するために、フランスラグビーの全ての人材が必要だ。(現在、国内リーグのトップ14が休みで)休暇中の選手も切り上げて帰ってきてもらいたい」と会見の場を利用してメッセージを発するガルチエHC。
また、キャプテンのSHアントワンヌ・デュポンはレッドカードを受けたので、来週の日本戦には出場できなくなるだろう。
「チームが苦戦していたから本来の自分のゾーンから少し外れた。自分の位置に戻る時にPRウイニ・アトニオがウィングの位置にいるのが目に入った。彼の前にいるのはチェズリン(コルビ)で微妙な状況だと感じた。ボールが蹴られ、ボールを追いかけた。そこでファールプレーになってしまった。わざとしたわけではないけど、チェズリンがバランスを崩し落下した。けがをしていたかもしれない。彼の様子を見に行ったら大丈夫とのこと。でもチームに痛手を与えてしまった。その後トライを取られ、罪悪感を感じた」とデュポンが当時の状況を語る。
「このペナルティとして、来週の地元トゥールーズでの試合(日本戦)に出られないのが残念。僕にとって大切な試合だったのに。でも僕の気持ちよりもチームが優先。今夜はみんなと一緒に勝利を祝う。最後の15分は冷や汗をかいていた。仕事をしっかりしてくれたチームメイトに感謝している」とデュポンが言うと、「アントワンヌ(デュポン)は罪を感じる必要はない。SHマキシム・リュキュがしっかり役割を果たしてくれた。選手全員が団結してキャプテンを支えた。それが大切」とガルチエHCもキャプテンを支える。
「ディフェンディングチャンピオンに勝つことができてとても喜んでいる。こんなシナリオの試合でもマインドセットを崩すことなく、また方向性を見失うことなく勝利をもぎ取ることができたことが重要。こういうシナリオは練習できるものではなく、経験するしかない。これからも気を緩めることなく前進し続けなければならない。メディアはワールドカップで優勝候補という肩書きを与えてくれるかもしれないが、すべてのチームが僕たちを倒そうとしてくる。気を緩めずに、さらに良くなりたいという気持ちと、絶対にあきらめないという気持ちを持ち続ける。これまでしてきたことを継続し、マインドセットを維持していかなければならない」と、あらためて気持ちを引き締めるデュポンだった。