各国代表 2022.11.11

W杯王者・南アフリカを迎え撃つフランス、先発メンバーは前週から不動。

[ 福本美由紀 ]
W杯王者・南アフリカを迎え撃つフランス、先発メンバーは前週から不動。
第一子誕生でモチベーション高いジョナタン・ダンティー(Photo: Getty Images)


 11月12日(現地時間)に南アフリカを迎え撃つフランス代表のメンバーが発表された。

 先週はオーストラリアのキックを多用する戦術に驚かされ、またSHアントワンヌ・デュポンをオーストラリアのプレッシャーから守ることができず、内容ではオーストラリアが勝ってもおかしくない試合だったと言われているが、『フィニッシャー』と呼ぶベンチスタートの選手にPRレダ・ワーディーとLOバスチャン・シャリュローが新たにメンバーに入った他は不動のメンバー構成となった。

■11月の日本代表戦はWOWOWで! 12日イングランド戦&20日フランス戦を生中継!■
世界トップ10が参戦「オータム・ネーションズシリーズ」全21試合を放送・ライブ配信

 「先週の試合での選手たちの行動に満足している。難しい試合だったがオーストラリアに勝つことができた。同じメンバーで世界チャンピオンと対戦することにした」とファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下HC)は述べた。

 今週水曜日未明にCTBジョナタン・ダンティーが父親になった。そのため今週はチームの練習には参加しておらず、試合前日練習でチームに合流する。

 「ジョー(ダンティー)は合宿の第1週と第2週に参加し、CTBガエル・フィクーと組んで練習をしてきたし、オーストラリア戦でも80分プレーした。オーストラリアの最後のボールをジャッカルした後、車に飛び乗りラ・ロシェルのパートナーの元に駆けつけ、無事に第一子が誕生しその後も妻子に付き添っていたが、(試合会場である)マルセイユでチームに合流してキャプテンズランに参加して、世界チャンピオンと対戦すると本人が決心した。私自身も2001年に同じ経験をしている。オーストラリアとの試合の翌日に息子が生まれ、3日間パリにいる家族と一緒に過ごした後、サンテチエンヌでチームに合流してフィジー戦に出場した。初めての子を授かり父になる。こういう時は信じられないパワーが湧いてきて、それがチームの大きな力となる」とガルチエHCは自身の体験談も交えて選考理由を語った。

 今回、初キャップとなるLOバスチャン・シャリュローはそのフィジカルの強さとアグレッシブさで昨季のモンペリエの優勝に大きく貢献しており、LOロマン・タオフィフェヌアと同じくフィジカルバトル系の選手だ。オーストラリア戦ではモールで劣勢になる場面も見られ、今週はタオフィフェヌアが先発に入るのではと予想するメディアもあったが、今回もカメロン・ウォキとチボー・フラマンを選んだ。

 「シャリュローはモンペリエに移籍して2年で変わった。代表チームに呼ばれるレベルの選手になり、ジャージーを掴み取った。先週の試合前のウォーミングアップでキリアン・ジェラシが膝を傷めて欠場となり、FW6人+BK2人のベンチ構成を急遽5+3に変更したが、彼がいることによってベンチを6+2にできる。またウォキはフランカーもできるし、フラマンは左右どちらでもプレーでき、試合の状況に合わせてオプションを持てる。屈強なフロント5(FWの1列と2列)でスタートして、屈強なフロント5で試合をフィニッシュすることが目的だ」とレ・ブルーの名将は述べる。

 「先週のロマン・ンタマックのパフォーマンスから試合の感覚が戻っていないことが感じられたが、マチュー・ジャリベールをスターティングにすることはオプションとしてないのか」という質問に対しては、「もちろん、それもひとつのオプション。ジャリベールは後半出場で決定力と絶対に勝つという強い意志をチームに与え、落ち着いてゲームコントロールし、チームを勝利に導いた。ンタマックは負傷からの復帰戦だったが、我々が期待していた通り、チームが難しい状況の中でもタフなゲームをしてくれた。このチームの扉は開かれていて、いろいろな選手がジャージーを掴み取りにくることができる。しかし、これまでの集団で積み重ねてきた経験値も重要視している。チームの統一感がこのチームの力になっているから」という回答にポジションごとの序列が明確になってきていることが見て取れる。

 「このチームが最初に集合した2020年シックスネーションズの準備合宿の時に、南アフリカチームのドキュメンタリー映画『チェイシング・ザ・サン』を全員で見た。ラシー・エラスマスを中心にチームが再建されていくところから世界チャンピオンのタイトルを獲得するまでの素晴らしいストーリーで、彼らは全てのチームが夢見ている世界チャンピオンになるということを実現した。それから3年たち、土曜日に我々が対戦するスコッドには、数人の新しい選手も入っているが、その頃のメンバーがほぼ全員残っている。レガシーを分かち合い、スプリングボックスのジャージーを着て闘う誇りを分かち合っている。
 エラスマスはスプリングボックスが彼らのDNAで、彼ら本来の力で再びプレーできるようにした。どんな状況でも、ボールを持っていようがいまいが関係なく常に前身する。ラッシュディフェンスで試合開始から80分まで対戦相手に飛び掛かってくる。この執拗な攻撃があるから彼らは世界チャンピオンになれた。彼らは素晴らしいラグビー選手であり、素晴らしい戦士だ。しかし我々は彼らに挑む準備ができている」と、南アフリカチームを称えながらも戦いの準備はできていることを伝えてガルチエHCは会見を締めくくった。


▼フランス代表 南アフリカ戦メンバー

PICK UP