桜の戦士たちをトゥイッケナムで迎える名将、そして注目選手たち。
オータム・ネーションズシリーズ初戦のアルゼンチン戦を、29-30のスコアで落としたイングランド。惜敗とは言え、ラグビー大国イングランドにとって初戦黒星は非常に痛い結果だ。
この秋の2戦目の日本戦を前に、絶対に落とせないプレッシャーにさらされている。
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現地の記者たちは、日本を世界で最もユニークな戦い方をするチームと評している。
試合メンバー発表の日に設けられた会見では、その異質なチームに対してどのような戦い方をするのか、という質問が多く出た。
イングランドは、先週のアルゼンチン戦からスタメンを何人か変えてきた。特に日本戦へ向けた入れ替えとして注目すべきは、NO8とWTBだ。
アルゼンチン戦にスタメン出場した188センチ、130キロの巨漢突破型NO8のビリー・ヴニポラに代わって出場するのは、183センチ、93キロのサム・シモンズ。代表レベルでは小柄なNO8だが、FWとは思えないほどの走力とフットワークを誇る。所属クラブのエクセターではトライを量産している。
2017年秋のテストシリーズで代表デビューを果たした。しかし、2勝3敗で5位と不振に終わった2018年シックスネーションズ後から代表から遠ざかり、この秋の代表招集は久々のことだ。
28歳とまだまだ先のある選手だけに、来年のワールドカップでの代表入りに向けて相当な意気込みで日本戦に挑んでくるだろう。
WTBの入れ替えは、192センチ、112キロと、巨漢突破型のジョー・ゾカナシンガに代わり、188センチ、90キロのスプリンター型のジョニー・メイ。
32歳とベテランの域に達しているメイだが、相手チームを全員追い越すキックチェイスのスピード、とにかく捕まえられないフットワークは日本にとって要注意だ。
両選手の出場は、スピードを武器とした日本への対策であると同時に、日本の強みであるスピードで真っ向勝負を挑んでくる闘将、エディー・ジョーンズ監督の挑戦状とも見ることができる。
ジョーンズ監督にとって日本は、かつて自身が指導したチーム。現地の記者からは、「このチームが、いつか自分のイングランド代表監督としての立場を追い込むようなことになると想像できたか」という質問も出た。
これに対し、「なんでそんなおかしな質問をするのですか? そもそも、お互いを追い込み合うような厳しい戦いこそがテストマッチであり、手強い相手が増えることは、世界のラグビーにとって素晴らしいニュースではないでしょうか?」と返答。
日本とは比較にならないような辛辣さで知られるイングランドのスポーツメディアを、「なぜあなたたちはいつもそうやってネガティブにものを見ようとするのですか?」と返した。
しかしその後は、2019年のワールドカップによって日本でのラグビー人気が上がっていることや、学生時代から面識のあるリーチ マイケルの札幌山の手高校、東海大学時代の逸話などをおもしろおかしく語り、記者たちを笑わせる場面もあった。
そんなやりとりもありながら、今週末の試合を盛り上げるため、記者たちに話題を提供することも忘れない。リーチの話題に触れた後、FL、LOをこなすマロ・イトジェが日本戦ではFLとして出場する点に触れ、「この2人の一騎打ちは、イングランド×日本のヘッドラインと言えるでしょう」とコメント。日本FWの大黒柱でもあるリーチと、卓越した身体能力を武器にイングランドFWをリードするイトジェのFLデュエル(対決)。確かに、両チームのファンたちにとって楽しみなポイントのひとつだ。
当のイトジェはこの話を振られると、「リーチが素晴らしい選手であることはよく知っている。だが、ラグビーはひとりの選手が試合の結果を決めることができるようなスポーツではない」と冷静な回答。日本戦に向けた準備の状況を聞かれると、「エディーのチームへのメッセージは、いつでも明確。先週の試合の反省を踏まえ、日本戦をどのように戦うべきか、チーム全員がハッキリと理解している」と指揮官への信頼を口にした。
先週の試合でアルゼンチンを相手に不覚をとったイングランドと、先々週の試合でオールブラックスをギリギリまで追い込んだ日本の対決は、日本時間11月13日(日)の深夜0:15にキックオフを迎える。
◆イングランド vs 日本
11/12(土)午後11:50
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ゲスト解説:田中史朗、松田力也
解説:大西将太郎