国内 2022.10.17

東京学芸大が14トライ84-7で東京海洋大を圧倒 地区対抗関東1区1部

[ 見明亨徳 ]
東京学芸大が14トライ84-7で東京海洋大を圧倒 地区対抗関東1区1部
この日5トライを奪った東京学芸大のWTB光宗竜助、1トライ目(撮影:見明亨徳)


 毎年1月、愛知・瑞穂ラグビー場で開催される「全国地区対抗大学大会」。今年度は第73回となる。関東でも瑞穂を目指す戦いが始まった。2012年度以来、関東1区連覇を続ける王者・東京学芸大。10月16日、自校に東京海洋大を招き2022年の初戦を戦い、前後半7トライずつ計14トライの猛攻で84-7(前半41-7)と圧倒した。次節30日に東京都市大を破れば1位通過、12月4日の決勝トーナメント決勝(関東1区代表決定戦)に進める。

 「思い通りにできた。バックスに回せばスピードがあるのでトライを取り切れる」。ほっとした表情を浮かべたのは12番をつけた主将CTBの梅本魁成(4年、北見北斗)。

 試合開始から学芸大ボールキャリアーにからむ海洋大。しつこさがあった。先制は学芸大。自陣からFB岡田喬一(3年、桐蔭学園)が蹴ったボールが敵陣22メートル内でバウンドしてタッチライン外へ出る。50/22ルールで学芸大ボールの右ラインアウトへ。モールで攻めると海洋大の反則で学芸大スクラムに。スクラムから出たボールが岡田に渡る。右中間へ先制トライ。コンバージョン(G)も自ら決めた。

前半9分、学芸大FB岡田喬一は自らのキックで得たチャンスを先制トライで終えた(撮影:見明亨徳)

 3分後には自陣PKからSH北澤陽斗(2年、茗渓学園)が仕掛け、最後はHO内田隼平(2年、横須賀)がファイブポインターに。Gは岡田にかわり左WTB光宗竜助(3年、都青山)が成功した。
 16分には主将・梅本が海洋大のパスをインターセプトし、40メートル走り切った。19-0とするも、この後も海洋大の気持ちは切れない。ブレークダウンで絡み続けた。

 「大学の規制で練習を再開できたのは7月から。社会人チームと練習してブレークダウンを体感できた」と海洋大・鶴留洋一監督は話す。船に乗り込み長期実習がある海洋大ならではの苦労だ。
 海洋大の努力が実ったのは20分、相手のノットリリースで得た敵陣左ラインアウトを起点に攻めると、SO三日月一志(2年、長崎北)がトライラインを越えた。Gも山田聖也(4年、八王子東)が決めて19-7へ。応援に訪れた海洋大OBが沸く。

 25分、学芸大はラインアウトを190センチのLO安達航洋(3年、桐蔭学園)がキャッチしアタックを継続する。SO渡部颯斗(大学院2年、秋田)が海洋陣22メートルからトライを取り切った。
 やや疲れも出始めた海洋大に対し広くグラウンドを使い展開する学芸大に追いつけなくなる。NO8田口大洋(3年、小倉)、WTB光宗、右WTB園田啓太(大学院1年、八王子)がインゴールへ駆け込んだ。前半だけで41-7とし、試合の行方は決まった。
 海洋大は29分にラインアウトからモールでゴール左隅へ運ぶも、トライセーブで追加点を奪えず。

海洋大、鶴留洋一監督は後半「フォワード勝負」を伝えた(撮影:見明亨徳)
学芸大の岩本悠希監督。「バックスは外にスピードがあるランナーが揃っている」。3大会ぶり全国制覇へ(撮影:見明亨徳)

 「後半はフォワードで戦う。モールになったらバックスも入ろう」とハーフタイムの円陣で海洋大・鶴留監督は伝えた。しかし、後半も学芸大の勢いは止まらず。「前半最初はややてこずりましたが、後半は相手に疲れが見えた」(学芸大・岩本悠希監督)。グラウンドを駆け回ったのはWTB光宗。6分にラインアウトから出たボールをもらうと左中間へ2本目のトライ。15分には海洋大の自陣ラインアウトをスチールし、最後は光宗へ。ハットトリックトライとなった(56-7)。19分、30分とHO内田が連続トライでこちらもハットトリックを決める。30分、海洋大が学芸大ゴール前ラインアウト。指示通りに愚直に押し込むも前にボールをこぼすと光宗へ。90メートル走り切った。さらに38分に5トライ目。最後は梅本がトライを奪った。14トライ中バックスで10本取り切った。

学芸大スキッパー梅本魁成。母校・北見北斗高校の花園出場も糧になる(撮影:見明亨徳)

 梅本は今季途中からスキッパーを引き継いだ。「下級生ともコミュニケーションを多く取るように変えました」という。自身にも嬉しいことが9月にあった。今年、冬の花園(全国高校大会)を目指す母校・北見北斗が北北海道地区大会決勝で4連覇中の旭川龍谷を23-14で制した。今年学校創立100周年の古豪が13大会ぶり38度目の花園を決めた。「6月に3週間、教育実習で母校を教えました。ラグビー部も教えたので嬉しい」。教育実習中、学芸大が東京地区国公立大学体育大会の決勝で東京都立大に17-19で敗れて連覇を逃すも、足跡を母校に残した形だ。学芸大は全国地区対抗大学大会で3大会ぶりの全国制覇を狙う。

海洋大は後半、モールで攻めるもトライを奪えず。左端は安永幸太主将(撮影:見明亨徳)

 敗れた海洋大にもチャンスはある。初戦で都市大と28-28で引き分けた。決勝トーナメント1回戦で勝ち決勝への道だ。「きょうはトライを取り切れた。ブレークダウンでも対抗できました。都市大には次は勝ち切る。そして学芸大に勝てるように練習していきます」と海洋大のスキッパーSH安永幸太(4年、飯田)、進むのみだ。

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