【新連載】プロクラブのすすめ① 山谷拓志社長[静岡ブルーレヴズ] 「今季のプレシーズンを振り返る」
日本ラグビー界初のプロクラブとしてスタートを切った静岡ブルーレヴズ。
ヤマハ発動機ジュビロから名称を変えて2季目を迎えた同チームは、運営面、経営面でどのようなことをしてきたのか、またこれからどのようなことを仕掛けていくのか。これは「プロ化」を進める他チームにとっても有益な情報になるだろう。
本連載企画では、代表である山谷拓志社長の考えや知見を深堀りしていく。今回は12月のリーグワン2022-23開幕まであと2か月と迫る中、半年以上のプレシーズンをどう過ごしているのかを中心に訊いた。(取材日9月27日)
●
――先日、台風の影響で静岡では大きな被害が出ました。クラブハウスやオフィスは大丈夫でしたか。
あの日(25日)はわれわれもクリタと試合をしていて、後半くらいから雨が降り始めました。試合後には本当に強い雨になって、それが5、6時間続いた。警報も何度も鳴って、かなり深刻だなと。ただ、オフィスやグラウンドに被害はありませんでした。
――社長に就任された直後(昨年7月)にも熱海で土砂災害があり、その時は募金活動をおこなった。今回もレヴズとして動くことはあるのか。
ちょうど議論していたところです。飲料水の提供、ボランティアスタッフの派遣…、どういうニーズがあるかを確認してます。地域のチームとして、力になれることはないかを探している状況です。
*以降、磐田市災害ボランティアへの参加やプレシーズンマッチでの募金活動、ボランティアの水分補給用にポカリスエットの提供などをおこなった
――10月になりました。山谷社長にとって、この時期に多い仕事は。
社長とは言いながらも小さな所帯なので、いろんな重要案件に関わりますが、ひとつは売上でかなりの割合を占めるスポンサーセールスです。今年も高い目標(ヤマハ発動機を除いて5億円)を掲げているので、新規開拓をしていく中で私も商談に参加します。
あとは経済同友会やロータリークラブといった経営者の集まる会合に、講演者として呼ばれることもあります。ありがたいことに、ブルーレヴズの話をしてくださいと言っていただける。地域の会社の経営者の方と接点を持てるのは非常にありがたいことです。
チームの練習はなかなか行けてないですけど、(プレシーズンの)試合はいまのところ全部見ていて、チームの調子や新しい選手のパフォーマンスをチェックしたりもしてます。
――加えて、リーグとの会議もある。
これは驚きなのですが、実行委員会と呼ばれるチームの代表者が集まる会議を”毎週”やってます。Bリーグのときは3か月に1回程度でした。
それだけ課題が多いということなのかもしれませんが、思ったよりも決まらない印象です。肝心の中長期的な議論はなかなかできていませんし、直近のことでもコロナに関するレギュレーションをどうするのか議論できていない。もどかしさがありますね。
――リーグワン2022-23の日程が発表されました。
来年がワールドカップイヤーなので、スケジュールが少し早まりましたね。Bリーグとリーグワンのファイナルが被ったことにも配慮した形のようです。
ただ1点、僕がずっと訴えていたことがあって。レギュラーシーズンの最終節は4月23日(21〜23日)です。つまり、ゴールデンウィーク(GW)にホストゲームがない。集客を増やしましょうと言っているのに、興行的には書き入れ時のGWに試合がないのはありえません。ホスト&ビジターであっても、GWの最初と最後のどちらかで1試合は確実にホストゲームができるはず。なので、試合を入れてほしいとお願いはしたのですが…。
――カーディングについては。レヴズのホスト開幕戦は12月25日、埼玉ワイルドナイツと対戦です。
カーディングは、僕らは何も要求できません。われわれはホスト開幕戦で前年度の優勝チームと戦える。ありがたいことです。去年も良い試合ができたので(IAIスタジアム日本平でロスタイムに25-26で逆転負け)、集客の呼び水になるし、チームとしても最初のホーム戦でチャンピオンを迎えられるのはモチベーションが上がると思います。
――12月25日はクリスマスですね。
言ってしまうとアレですけど、去年は来場者プレゼントにポンチョを渡しましたが、今年はクリスマスにちなんだもので検討してます。ほかにもクリスマスツリーや合唱団、ゲストなどなど、どんなことができるか色々検討中です。
――長いオフシーズンも残り2か月となりました。昨季はチケットサイトの開発など、ゼロから始めることが多く、なかなか広告やプロモーションまで手が回らなかったと話してました。このオフシーズンはどう過ごせましたか。
正直な話をすれば、ヤマハ発動機ジュビロから名前を変えたことで、静岡ブルーレヴズの知名度はまだまだ高くないです。なので多くの方に知ってもらうために、7月から8月にかけて3万本のうちわをひたすら配りました。
試合時間が発表予定されれば(取材時点では未発表)、今度はポスターとチラシを配布できます。ロードサイド看板や地元の電車、バスの空いてる広告スペースに何か出せないか、なども計画中です。コストをかけずにできるプロモーションとは何かを色々と検討してます。
あとは開幕の1か月前や1、2週間前には、せっかく近くに公園もあるので(移転した新オフィスの前に今之浦公園)、選手と触れ合えるイベントをやりたいと思ってます。シーズンも近づくので選手のコンディション的には厳しいけど、なんとかやらせてほしいとお願いしてます。