サクラフィフティーンの挑戦。女子ワールドカップ2021が始まる。JSPORTSオンデマンドで全試合LIVE配信
女子ラグビーワールドカップがニュージーランドで開幕
史上最大の決戦が10月8日に始まる。
ワールドカップ2021は世界各国の女子代表がニュージーランド(以下、NZ)に集い世界一を争うものだ。同大会は2017年以来の開催となる。当初は昨年開催の予定だった。しかしコロナ禍の影響で開催が1年延びた。
冒頭のように『史上最大』と言われる理由は、その注目度だ。開幕戦はNZ最大の都市、オークランドのイーデンパークでおこなわれる。
南アフリカ×フランスで幕が開く大会初日は、2試合目のフィジー×イングランドに続いてブラックファーンズの愛称で親しまれるNZ代表が登場する。隣国でライバルのオーストラリア代表との一戦には大観衆が訪れる。チケットはすでに3万枚以上が売れ、大会史上最多観客試合になることは間違いない。それは同国女子スポーツの単独試合として過去最大の観客動員数となる。
開幕が近づくにつれ、現地の熱も高まっている。ブラックファーンズの大会連覇への期待が高まっているからだ。2017大会の優勝をはじめ、ブラックファーンズは過去8大会のうち5大会で世界一の座に就いている強豪だ。
今大会開幕前のワールドランキングでは2位と、1位。イングランドの背中をしっかりと視界にとらえている。2021年シーズンはイングランド2試合、フランス2試合の計4試合に完敗して不調が囁かれたものの、2022年に入ってきっちりチームを仕上げてきた。6月、8月に実施された5つのテストマッチで5連勝だ。セブンズで活躍したアスリートたちをスコッドに加えたことで、チーム力は大きくアップした。
9月24日にはイーデンパークで日本代表と対戦して95-12と圧勝した。その試合、一人で7トライと走り回ったWTBポーシャ・ウッドマン、FLの位置でハードワークを見せたFLサラ・ヒリニともセブンズ代表の中核選手だ。
NZラグビーの知恵袋と呼ばれ、ディレクター・オブ・ラグビーとしてチームに関わるウェイン・スミス氏の存在も大きく、国民の大きな期待に応える準備は万全だ。
それでもブラックファーンズにとって、世界ランク1位のイングランドは強敵だ。9月14日に戦った直近のテストマッチではウエールズに73-7と圧勝。その試合までテストマッチに25連勝と地力を秘める。今大会に臨むスコッドを見ればバランスが取れている。2014年大会で世界一を経験している6選手と、今回が初W杯となる19選手がチームにエナジーを与える。キャプテンでバックローのサラ・ハンターは135キャップを持つ大黒柱。強いリーダーシップで仲間を牽引する。
BKにも100キャップを超す経験値を持つ選手がいる。エミリー・スカアラット(103キャップ)はセブンズ代表の経験も持ち、トライを取る走力もゴールキックのテクニックも高い。得点力がある。
前述のブラッファーンズと、『Red Roses』の愛称を持つイングランド代表、フランス代表などが優勝争いを繰り広げるW杯は、大会を通して史上最多の観客をスタジアムに呼ぶものとなるはずだ。
そんな大会で、サクラフィフティーこと女子日本代表もファンの大きな声援を浴びる存在となるだろう。サクラフィフティーンはプールBに入り、カナダ、アメリカ、イタリアと戦う。
9月中旬に日本を発ったチームは、9月24日にブラックファーンズに12-95と大敗した。しかしPR南早紀主将は、「これがワールドカップでなくてよかった」と話し、「(本番では)この経験が活きる」と落ち着いている。
今回のチームは、史上最強の日本代表と言っていい。
2017年大会時と比べて体のサイズ、フィジカルの強さとも大きく進化。準備期間に多くのテストマッチを戦ってチームは経験値を高めてきた。昨秋からブラックファーンズ戦まで10のテストマッチを戦った。
負けた試合での学びと悔しさを血肉として前進し、激しく前に出るディフェンスを全員が自分たちの武器と言えるまでになった。8月のアイルランド戦では第1テストマッチに35点差で敗れるも、1週間後の第2テストマッチに勝利する修正力を見せた。大会前、ブラックファーンズに大敗しても南主将が動じない理由はそこにある。「最後の最後まで私たちは進化します」というリーダーの言葉は、目標とする8強入りへの決意表明だ。
サクラフィフティーンの戦いは北島の北部、ファンガレイでカナダ、アメリカとの2試合を戦い、オークランドへ移ってイタリアと戦う。
大会の決勝は11月12日。それまでにサクラの花を何度でも咲かせたい。