ワールドカップ 2022.09.08

ワールドカップ開幕1年前。ジェイミーは、切磋琢磨の環境を自ら作る。

[ 編集部 ]
ワールドカップ開幕1年前。ジェイミーは、切磋琢磨の環境を自ら作る。
日本を率い2度目の大舞台に臨むジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ(撮影:松本かおり)
開幕戦は9月8日、フランスvsオールブラックスが飾る(撮影:松本かおり)

 2023年にフランスで開催される第10回ワールドカップ(W杯)まで、きょうでちょうど1年。大会は9月8日にホームのフランスとオールブラックスの豪華な対戦で幕を開ける。1年後のターゲットに向けて日本代表ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが記者の質問に答えた(取材は9月2日)。

 2019年の日本大会では史上初めてとなる8強入りを果たした。その存在が社会現象とも言えるラグビーブームを引き起こした。さらなる躍進が期待される日本代表ではあるが、当然、前回と今回では違いがある。

「前回はホームでのW杯とあって、自分たちのエナジーを感じていたし、オリンピックも控えていて、メディアの注目も今以上であったと思う。パンデミックでほぼ1年間の強化プロセスが欠けてしまったことも大きな違い。ただ、その中で私たちはティア1チーム(フランスなど)に接戦ができているのも確か。大会までにあと6試合もあるので、これを生かしてチームを成長させていく。スーパーラグビーがあれば、その他にもう16試合できたはずだけれど…」

「客観的に見れば前回のW杯(の1年前の時点)よりは、遅れをとっている思う。それは私たちがハードワークしていないからではなく、さまざまな環境の要因も(パンデミック、スーパーラグビーの舞台の不在、選手のケガなど)。そこも一つのチャレンジ。たとえば、今回の日本代表には52人の選手を集めて、お互い高めあうことを意識している。もちろん、これがベストではないが、やれることをやるだけだ」

 すでに9月4日に大分・別府でスタートしている日本代表合宿には52人の選手が招集され(前回合宿の招集はNDS合わせ68名:開始時)、3チームに分けての実戦形式など、選手同士が切磋琢磨する競争環境が作られている。

 日本の特徴である戦術面について聞かれると、ディフェンスへの注意もうかがわせた。

「大会までの試合を含めて一戦一戦を、ベストな戦い方で勝っていくことが重要。ウルグアイ、フランス戦では日本のジャージーを着た多くのファンがサポートしてくれたことも大きな後押しになった。戦術面においては、新しい流れにアジャストしていくとはもちろん必要だと考えている。南半球のチャンピオンシップを見ても、ディフェンスの良いチームが結果を残している。こうしたトレンドをしっかり見極めながら、自分たちの戦い方を組み立てていきたい」

 ジェイミーHC自身、2019年の成功には手応えも自信も掴んでいる。前回とは大きく変わった環境にもチャレンジしながら、チームを成長させることに専心する。

「ターゲットの置き方は強豪国と同じ。まずはノックアウトステージ(8強)に残ることが第一で、そこまで辿り着けば、あとは1試合1試合を戦うのみ。グループステージにはイングランドに、オールブラックスをも倒してみせたアルゼンチンもいて簡単ではない。私たちにとって重要なのは、いい準備を続けてチームを成長させること」

 7月9日には、来日したフランス相手に第2戦で15-20の好試合を見せるなど、一定の成果も上げている日本。10月1日からは、若手育成の意味合いを込めたオーストラリアA代表との3連戦(準代表のJAPAN XVとして対戦)に臨む。再び合宿を挟んだあとは強豪との3連戦だ。10月29日には東京・国立でオールブラックス、11月12日にトゥイッケナムでイングランド、11月20日はスタジアム・ド・トゥールーズでフランスとの再戦だ。

 2シーズン目を迎えるリーグワンを挟んで、選手たちをどう休ませるかも課題となる残り365日。カウントダウンは始まっている。

「チームの強化にマジックはありません。前回(2019年大会)の結果はスターティング・ポイント。今は新しいチーム、新しい環境でスタートを切っている。コーチが『こうすべき』と与えるのではなく。チームが主体に一丸となって一戦一戦ポジティブな戦いをすること。そして勝つことが、重要だと思っています」

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