オールブラックスは先発に変更なし。アルゼンチンへのリベンジなるか
ザ・ラグビーチャンピオンシップ2022の優勝争いに生き残るためには、もう負けられない。
オールブラックスのイアン フォスター ヘッドコーチ(以下、HC)は、対アルゼンチンとの2戦目(9月3日)の23 人のメンバーを発表した。
B・バレット、B・レタリックがケガから復帰
対アルゼンチンの2戦目のメンバーを見ると、1戦目から先発メンバーの変更はない。
初戦に18-25と敗れたことで、ある程度のメンバー変更があると思われていた。それだけに、ニュージーランド(以下、NZ)国内でも驚きの声が多かった。
後半にメンバー変更をするまでは良い形だった第1戦。それを踏まえ、先発のメンバー選考には手を加えなかったということか。
南アフリカに勝利した2戦目から3試合連続で同じ先発メンバーとなっている。
一方のアルゼンチンは先勝にもかかわらず、4人の先発メンバー変更となった。両チームのセレクションの違いは興味深い。
▼ベンチの変更は4人
オールブラックスは後半から出場し、ラインアウトのスローイングが乱れたHOコーディー・テイラーがメンバーから外れ、代わりに大ベテランのデイン・コールズがベンチ入りとなった。
HCは依然としてテイラーを信頼していると言いながらも、先週のパフォーマンスを見てメンバーから外したようだ。
アイルランド戦で頬骨を骨折したブロディ・レタリックは、先週末にNPC(NZ国内選手権)で無事に復帰した。
しかし、ゲームから長く離れていることもありベンチスタート。コールズ、レタリックと、経験のある2人が後半からインパクトを与えてくれるか注目したい。
その他のFWでは、ダルトン・パパリィイが久しぶりにメンバーに入った。試合に飢えているパパリィイの奮闘に期待は大きい。
BKのリザーブに目を向けると、首のケガからボーデン・バレットの復帰は大きい。
一方で、スティーヴン・ペロフェタはメンバーから外れた。先週の試合では初のメンバー入りも、記念すべきデビュー戦で僅か50秒しかチャンスが与えられなかった。これに関してはSNSをはじめ、NZ国内のラグビーファンなどの間で物議を醸す結果となった。
フォスターHCがここ最近口にする「再建」という言葉は、この試合のメンバーを見ている限り、メンバーを継続して使い続けて再建していく意味と取れる。
その言葉を使うのであれば、他のメンバーにもある程度のチャンスを与え、1年後に迫ったワールドカップに向けてチームの底上げをすることも「再建」ではないだろうか。
HCがチームをどのように作っていくのか、NZ国内のラグビーファンは、今回のセレクションに困惑している。
チーム内にも困惑が起きてないかも心配される。
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オールブラックス、勝利のカギは?
前週のアルゼンチン戦の敗因は、はっきりしている。
アルゼンチンのWTBエミリアノ・ボフェリ一人にやられた感がある。
ゴールキックは失敗なしの6ペナルティゴール(以下、PG)で合計18点を与えた。
空中戦でもキックオフで相手LOと競り合い、唯一のトライチャンスを作ったのもボフェリだ。
PGによる失点を重ねないためにも、オールブラックスは、上手くいかなかったレフリングへの対応を含めた規律がカギになる。
地域、ボール支配率のスタッツで有利に立ちながらも、アルゼンチンンのディフェンスに戸惑い、後半にトライを奪えなかった点も改善したい。
アルゼンチンはブレイクダウンに人数をかけず、次の防御フェーズに備えることに徹していた。
それによりオールブラックスは、ボールをリサイクルしているものの効果的な攻撃につながらなかった。そこをどう攻略していく点にも注目だ。
スクラムは若いフロントローが育っているので心配はいらない。ラインアウトは、メンバーを代えたことにより改善するだろう。
これらを踏まえ、勝利するために求められるのは「選手たちが自分たちの能力を信じて戦えるか」だ。
南アフリカとの2戦目のような試合が待たれる。
NZは冬も終盤に差し掛かり、寒さも和らいできた。
しかし、クライストチャーチでの前週と同じくハミルトンでの2戦目も、チケットの売れ行きは芳しくないようだ。
クライストチャーチは当日の駆け込みで完売も、オールブラックスの成績不振の影響を受けている。
北島のハミルトンは、フォスターHCのホームともいえる場所。この試合でも敗れるなら、NZ国内はいままで以上の騒ぎでは済まされない雰囲気になる。
そうなれば、フォスターHCは辞任の選択をせざるを得ないだろう。