各国代表 2022.08.01

試練の冬。復活を期すオールブラックスは、新コーチが笑顔の活入れ

[ 編集部 ]
試練の冬。復活を期すオールブラックスは、新コーチが笑顔の活入れ
勝率8割に迫る上昇軍団。オールブラックスの復活もシリーズの見どころ?(Photo:Getty Images)

南半球ラグビー4大強国が戦う「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」がいよいよ8月6日に開幕する(WOWOWで全12試合独占放送・WOWOWオンデマンドでライブ配信)。2023年ワールドカップに向けて本格化する各国強化の大きな基礎となる2か月のバトルに目を凝らそう。ここでは、不振をかこう「王国」ニュージーランド オールブラックスの最新状況から。

「受け入れ難いパフォーマンス」

ニュージーランド代表、オールブラックスの経営トップに立つマーク・ロビンソンは試合直後、メディアにこう明かした。7月16日、ウェリントンに迎えたアイルランドに22-32で敗れた。9日の対戦では史上初となるホーム戦敗北。続くこの日の黒星で同カード史上初のホーム負け越し。直近テストマッチでは5戦4敗。前半で19点ビハインド(3-22)も珍しい――と、メディア批判の雨嵐にさらされる。

南半球は冬。今回のオールブラックスにとって8月からの「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」(TRC)は、一戦一戦に立て直しのプロセスを求められる厳しいシリーズとなる。

巷からは指揮官変更を期待されるかの国のスターチーム。最有力候補はスーパーラグビー強豪のクルセイダーズを率いるスコット・ロバートソンだ。本人は国外から代表チーム監督のオファーが届いていることを明かし、「もしオールブラックスで指揮を執るチャンスがあるならば最高。しかし、ないなら…。ワールドカップで指揮を執ることが第一」。アプローチしていると噂のイングランドへ渡る可能性もある。ニュージーランドは大きな分岐点に立たされている。

一方、NZR(ニュージーランドラグビー協会)は、我が道をゆく。

ヘッドコーチのイアン・フォスターの首のすげ替えではなく、彼を指導体制に残したまま、配下のFWコーチ、アタックコーチを解任。新たに常勝クルセイダーズのFWコーチ、ジェイソン・ライアンを招へい。さっそくウェリントン合宿に合流させ、スコッドに刺激を与えている。目の前に迫ったTRCに向けて施しているのは、焦点を絞ったいわば外科手術。ライアンFWコーチは、アイルランドとの3戦で瓦解したラインアウト・モールの防御を徹底して指導、手応えを得ている。定評あるクルセイダーズのモールディフェンスの移植を試みた格好だ。

このほかライアンFWコーチはコリジョン(ボール争奪)の分野を任されている。イアン・フォスターはかつて務めたアシスタントコーチ時代よろしく、空席となったBK、アタックのエリアの指導にあたっている。

好評のライアンFWコーチ。彼がすぐにチームに溶け込んでいるのは、その明確な指導振りゆえだ。プラス要素として、就任初日のスピーチが効いたと言われる。詳しい内容は明らかではないが、オールブラックスに関われる誇りと喜びをストレートに伝えたようだ。氏のシンプルなパーソナリティも相まって、選手たちにその言葉は響いている。

ヘッドコーチのイアン・フォスター(Photo:Getty Images)
FW担当のアシスタントコーチとなったジェイソン・ライアン(Photo:Getty Images)

選手たちは金曜日に南アフリカとのアウェー戦に向け旅立つ。この合宿にフライトに、胸についたシルバーファーンのロゴに胸高鳴らせている人物が、FWコーチ以外にもいる。

新たに招集されたタイトヘッドPRフレッチャー・ニューウェルだ。チームからの連絡電話を直接受け取れず。スマートフォンのテキストで見た22歳は飛び上がって喜び、すぐに父に電話を入れた。涙が出た。「僕たちにとって、家族にとって、それは特別な時間になりました」(NZヘラルドより)。喜びの輪は広がり、ディナーではささやかなお祝いが催されたという。キャップ50に迫るブルーズのオファ・トゥウンガファシが首の負傷、その代役とあって、責任は重大だ。フロントロー全体の経験値はぐっと下がり、不安もある。

しかし、オールブラックスはいつでも可能性に溢れている。新しく加わった仲間たちのフレッシュな喜びは、そのジャージーに袖を通し戦うことの原点を教えてくれる。ジョー・ムーディー、イーサン・ブラックアダーなどなど、本来加わるべき主要選手たちが欠けたスコッドではある。一方で、140㌔のPRタマティ・ウィリアムスや、ラグビーリーグ、ラグビーユニオン両方でNZ代表となったCTBロジャー・トゥイヴァサ=シェックら、まだ十分に活用されていない新戦力たちもいる。

サム・ケイン主将を支えるリーダーシップに注目が集まる、アーディー・サヴェア(Photo:Getty Images)
キャップなし。初めて代表遠征に呼ばれたPRフレッチャー・ニューウェルは22歳(Photo:Getty Images)

そして追い詰められた状況で、アウェーで戦えることは今のオールブラックスにとってはプラスだ。最も大きなプレッシャーは国民の期待……スターチームゆえの事情だ。新コーチの外科手術を現場で加えながら、オフィスではセレクションなどより根本的な仕組みの再考に取り掛かる。王国のパッション、プライド、そして喜びを表現するオールブラックスが見られたら、強敵・南アフリカ相手の敵地戦にも勝機は広がる。

ワールドカップまで1年1か月、これが長いか短いかは置かれた立場によるだろう。前回ワールドカップ王者の南アフリカは、1年半前まで泥沼の低迷にあえいでいた。ラシー・エラスマス監督のもと、新主将のシヤ・コリシがお披露目となったのは2018年6月16日のテストマッチだ。まだ1年以上ある――TRCのファンは、そう観た方がこの2か月を楽しめそうだ。南半球勢の切磋琢磨が始まる。

「南半球4カ国対抗戦 ザ・ラグビーチャンピオンシップ」 
8/6(土)開幕!WOWOWにて全全12試合を独占放送&ライブ配信! 

【第1節】 
「南アフリカ vs ニュージーランド」 
8/6(土)午後11:50〜[WOWOWプライム]にて生中継、[WOWOWオンデマンド]でライブ配信 

「アルゼンチン vs オーストラリア」 
8/7(日)午前3:55〜[WOWOWプライム]にて生中継、[WOWOWオンデマンド]でライブ配信 

【第2節】 
「南アフリカ vs ニュージーランド」 
8/13(土)午後11:50〜[WOWOWプライム]にて生中継、[WOWOWオンデマンド]でライブ配信 

「アルゼンチン vs オーストラリア」 
8/14(日)午前3:55〜[WOWOWプライム]にて生中継、[WOWOWオンデマンド]でライブ配信 

【第3節】 
「オーストラリア vs 南アフリカ」 
8/27(土)午後2:15〜[WOWOWライブ]にて生中継、[WOWOWオンデマンド]でライブ配信 

「ニュージーランド vs アルゼンチン」 
8/27(土)午後4:35〜[WOWOWライブ]にて生中継、[WOWOWオンデマンド]でライブ配信 

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