「解任」もちらつくイングランド代表、エディー・ジョーンズ監督。次戦でシリーズ勝ち越しなるか
シックスネーションズ第4節から7月2日のオーストラリア代表戦(3連戦シリーズの第1テスト)まで4連敗と、不調に喘いでいたイングランド代表。
しかし、7月9日のオーストラリア代表との第2テストマッチには25-17と勝利し、来週の最終戦でのシリーズ勝ち越しへ望みをつないだ。
辛辣なイングランドのメディアはこの夏の3連戦の結果次第でエディー・ジョーンズ監督の解任もあり得ると報じており、この日の勝利は多くのファンたちを安心させた。
試合は開始早々から激しいコンタクトと素早い球だしでイングランドが支配した。
4分、オーストラリア陣でのラインアウトからのモールを、この夏代表復帰を果たしたビリー・ヴニポラ(NO8)が押さえ、オーウェン・ファレル(CTB)のゴールも決まり7-0。その後、10分、14分、21分、32分と着実にファレルのPGでリードを広げるイングランドは、オーストラリアに何もさせないまま19-0までリードを広げた。
この間オーストラリアは、試合開始10分で負傷退場となったジョーダン・ぺタイア(FB)に代わって出場したアイザイア・ペレスが「意図的なノックオン」でイエローカードの判定を受け14人での戦いを強いられていた。
実力が拮抗したチーム同士のテストマッチでは一つの判定が試合結果に大きな影響を与えることも多いが、実はこのイエローカードの前に、判定に議論を呼ぶ場面があった。
コンタクトエリアのどさくさに紛れ、イングランドのエリス・ゲンジ(PR)がマウントポジションから肘をオーストラリアのニック・ホワイト(SH)の首もとに喰らわせるプレーがTMOにとらえられたのだ。しかし、ペナルティのみの判定。イエローカードとなってもおかしくないプレーだった。
そんな激しい肉弾戦が続く前半終盤の36分。オーストラリアはイングランド陣でのラインアウトからラックを連取し、最後はタニエラ・トゥポウ(PR)が力強くねじ込むトライ(ゴールも成功)。19-7とイングランドがリードしてハーフタイムに入った。
イングランドは後半に入ってからもブレイクダウンを支配し続ける。43分にはPGで22-7とリードを広げた。
ただ、サンコープスタジアムの大声援を受けるオーストラリアも黙っておらず、48分にはアウトサイドを攻略したサム・ケレビ(CTB)にトライを許した(ゴールも決まり22-14)。
さらに52分にはマーカス・スミス(SO)が「意図的なノックオン」でイエローカードを受け、PGで22-17と差を詰められた。
14人となったイングランドだったが、最終的にはオーストラリアのミスに救われた。ゴールドのジャージーは、猛攻を見せるも決定的なチャンスでのミスが続き、トライまでもっていくことができなかった。
そんな状況の中でイングランドは終盤、キックで敵陣からボールを出さない逃げ切りの戦術に持ち込む。その結果PGで加点し、25-17で勝負をもぎ取った。
トライ数では2対1とオーストラリアが上回ったが、PGで確実に得点を稼ぎ続けたイングランドの試合巧者ぶりが目立った。
「選手たちは、ゲームプラン通りに上手くやってくれました。激しさと情熱を持った戦いぶりには満足しています。今日は3人の選手が代表デビューを果たしたように、このチームはまだまだ経験が必要なチームです。いいチームを作り上げるには、時間が必要なものです」
試合後のジョーンズ監督は、そう話した。追い込まれながらも大胆に若手を起用した名将の采配が光った。
対するオーストラリアのデイヴ・レニー監督は、「イングランドのようなチームを相手に、前半で19点もリードを許してしまっては勝てません。序盤での当たり負けと、チャンスでのミスなどの効率の悪い戦い方がアダになりました」と振り返った。
キャプテンのマイケル・フーパー(FL)は、「今日のイングランドは熱かった。激しいバトルを挑んでくるのは分かっていたが、一歩及ばなかった。簡単に自陣に入れてはいけない相手だ。これを簡単にやらせてしまったのが今日の敗因」と悔しさを滲ませた。
不調に喘ぎ、追い込まれたチームの今週の準備期間を振り返ったイングランドのコートニー・ロウズ主将(FL)は、「今週はチームメイト同士、お互いを更によく知るいい機会になった」と、プレッシャーのかかった試合へ挑む仲間たちの姿勢を讃えた。
長年に渡るライバル関係で知られるオーストラリアとイングランドのこの夏の3連戦は、7月16日、シドニーで結末を迎える。